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【ハーブ天然ものがたり】オオバコ


みんなお宝


オオバコ(大葉子)は、学名 Plantago asiatica、
オオバコ科オオバコ属の多年草、どこにでも、よくみかける野草です。

みかける場所が道端やのっぱら、校庭のすみっこ、ワダチに沿って生えていたりして、踏みつけられ、汚れてる印象も強いので、オオバコと呼ばれるより「雑草」認定されてる感がつよいでしょうか。

ほかの植物が育ちにくい、人や動物(昔は馬車など)が行き交う場所、つまり踏みつけられる場所をあえて選んだオオバコは、茎を地中にしまいロゼット状に葉を広げて集光します。
花だけは茎を立てて伸びますが、水にぬれるとゼリー状の粘液をだすので、雨上がりやつゆの降りたころにさわるとベタベタします。
花が終わると種を落とし、また風に運ばれ、さらにはベタベタ作戦で靴底や動物、車輪にくっついて種を運んでもらいます。

地方によっては「オンバコ」「カエルッパ」と呼ばれるのを聞いたことがあります。車前草しゃぜんそう相撲取り草すもとりぐさの異名もあります。
子どもの頃、棒状の花茎を二つ折りにして交差させ、引っぱりあっこして切れなかった方が勝ち、という遊びをしていましたが、スモトリグサという別名があるのは、ハーブの勉強をはじめてから知った名前です。

十勝で農業を営んでいた祖母は、オオバコの葉を摘んで煮だしたものを、のどの痛みに良いと作ってくれました。
祖母はオオバコやイタドリ(スカンポ)、ヒレハリソウ(コンフリー)など摘んできては煮たり茹でたりしながら「クサはみんなお宝」と、誰にともなく、よくつぶやいていました。


温故知新


オオバコは車前草という名で日本薬局方に収録されている生薬ですが、最近では水を含んで粘性ゲル状になる性質が着目され、満腹感が得られることや食物繊維が豊富なダイエット食品として出回るようになりました。
また小麦に代用されるグルテン・フリー食品として、サイリウムの名でも販売されています。

おからとサイリウムで作るパンや、サイリウムとお砂糖でつくるゼリー(というか、もちっと感があるのでわらび餅風)。
ほかにもお好み焼きや、タコ焼き、ピザ生地など、米粉でつくるときに少し混ぜるなど、いろいろな使い方があります。

チアシード、バジルシードと、ゲル状になるスーパーフードはいろいろ流行りましたけど、つぎにサイリウム(オオバコ)がきたら「雑草」認識も変わるかもしれませんね。

オオバコ属は世界に200種ほど確認されており、南極大陸をのぞいて世界中に自生しています。
もともとの日本在来種は一般的なオオバコのほかに、海岸砂地などに生育するエゾオオバコ、高山植物に分類されるハクサンオオバコ、日当たりのよい海岸地帯に生育する無毛で少し大きめのトウオオバコがあり、そのほかにも帰化したオオバコは10種類ほどあると思います。

そこいらの道端はもちろん、海岸砂地や荒地、高山草原、湿地でも乾燥地でも、どんな環境にも適合して繁殖し「地表のことならまかしてくれ、おいらたちは土壌という土壌を知り尽くしているのさ」と、世界を渡り歩く吟遊詩人よろしく、いつでも上機嫌で鼻歌を歌っているような気配を醸し、こどもだった私と祖母は親しみを込めてオオバコを「風来坊」と呼んでいました。

泥だらけでひしゃげていても、足形の泥がこびりついていても、気の毒だとか、可哀そうと思わせない存在感に心服し、カッコイイなぁと思っていたゆえのニックネームだったと今ならわかりますが、田舎のばぁちゃんと子供にはそんな語彙力もなく、ただただ胸の内に自然と芽生える敬意を伝えたくて、ニックネームに精いっぱいのリスペクトを込めて、声掛けしていたように思います。
わたしはうんと小さいころ、札幌の生家を離れて十勝の祖母宅で暮らしていたこともあるせいか、コトバにしなくてもそんな気配を共有できる祖母に、深いつながりを感じていました。


9つの薬草


よもぎの記事に少しだけ紹介した、北欧神話が色濃くのこる医学書「九つの薬草の呪文」にはオオバコも登場します。

九つの薬草の呪文とは、10世紀のラクヌンガ(en、「治療法」の意)の写本に記録された古英語の呪文である。
この呪文は九種の薬草を用いて毒や感染を治療することを目的とする。
なお「9」と「3」は、この呪文やゲルマン人の異教信仰、ゲルマンの民間伝承(en)に頻繁に現れる数字である。
この詩はキリスト教とアングロ・サクソンの異教信仰(en)の両方の要素を含み、ゲルマン神話(en)の神ウォーデン(en)について触れられている。

ウィキペディアー九つの薬草の呪文

現在は写本が大英博物館に所蔵されているそうです。
9つの植物については

・マッグウィルト(Mucgwyrt、ヨモギ)
・アトルラーゼ(Attorlaðe、R.K.ゴードンによればカッコウソウ、他の研究者はベトニー(en)と定義している)
・スチューン(Stune、ミチタネツケバナ)
・ウァイブラード(Wegbrade、オオバコ属)
・マイズ(Mægðe、カミツレモドキもしくはカミツレ、カモミール)
・スティゼ(Stiðe、イラクサ属)
・ウェルグル(Wergulu、リンゴ属)
・フィレ(Fille、タイム)
・フイヌル(Finule、フェンネル)

と、(いまのところ)解釈しているそうです。

オーディンは北欧神話に登場する中心軸の神様キャラクターです。
神々の主神であり、戦争と死、詩文、吟遊詩人のパトロンで、魔術に長け、知識を得るためには自らの目や命を代償に差し出すほどの貪欲さがある、とウィキペディアに記載があります。
ひげをたくわえ、つば広帽を目深にかぶり、長い杖とマント姿の賢老爺。
シャーマンのあるじでもあり魔術師の元型として、現地球史の集合無意識に深く棲みついている印象があります。

そんなオーディンが創出したハーブならば、さぞかしの魔力をもつものなんだろうと、9つの魔法陣にハーブをあてはめ9マトリクスに対応できないものかと、20年ほど昔にあれこれ試行錯誤してよく遊んでいました。
9マトリクスはタロットカードで自分や家族の体調管理に、いまでもときおり使用します。

右の書籍は「大アルカナで展開するタロットリーディング」松村潔著
左の表は20年以上昔にまとめたマトリクス図です


上部が精神性、中部は社会性、下部は日常、プライベート。
右は行動・発信力、まんなかは意志・意図、左は理解・受容性です。
タロットカードで見るときは、9マトリクスを人体に見立ててカードを並べ、たとえば頭痛があるときは上部に展開される3枚のカードでヒントを探ります。

タロットカードは4つの元素、火、風、水、土と数字の組み合わせです。
火元素があばれているなら発熱や炎症を沈静化するハーブを。
逆に熱が不足していたら血行を良くするハーブを。
風元素があばれているならめまいや耳鳴りをともなうので、地に足をつける滋養強壮ハーブを。
逆に風が不足して閉塞感があるときは呼吸器に親和するハーブを、という具合にハーブを選んで、飲んだり塗ったり、お風呂に入れたりします。
9つの呪文薬草にこだわる必要はないんですが、ハーブストックがあるときは、なんとなく9つのなかから選んでしまいます。

現代で手に入るものとして、りんご、よもぎ、カモミール、タイムは周知され、流通の大台にものりました。
フェンネルも精油が市販されていますし、スパイスで探すとフェンネルシードが手に入ります。
イラクサはハーブティーのネトルをつかっています。
カッコウソウは藿香かっこうで、パチュリのことだと思いますが、ベトニーだとしたらヨーロッパではなじみ深いハーブのカッコウチョロギです。園芸店で目にすることがありますが、塗ったりお風呂に入れたりするならパチュリ全草を乾燥させた、薫香用のカッコウか精油のパチュリを使います。

オオバコとミチタネツケバナはさすがに都会暮らしとなってから、その辺で摘んでくるというわけにもいかず、かといってハーブティをわざわざ買いするかというと「ぐぬぬ」となってしまいます。

小さい頃はあちこちで目にしていた食べられる「風来坊」たち。
祖母の家にいたころは一歩外に出ると世界は食材の宝庫でした。
祖母の目には、どんなクサもお宝に見えていたのかと思うと、もっと生前にいろんなお話がしたかったとしみじみします。
それでもこうしてハーブに親しんでいると、祖母のあたたかい気配を思い出します。
祖母は「クサ」ということばといつも一緒にいるような気がして、ときおり「クサ」とつぶやいては思い出に浸っています。
「クサはお宝」とつぶやいていた印象が、深く心に刻印されています。

☆☆☆

お読みくださりありがとうございました。
こちらにもぜひ遊びにきてください。
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