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【ハーブ天然ものがたり】フェンネル


香りを回らせる薬草


セリ科のフェンネル 学名 Foeniculum vulgare は、よもぎ、オオバコと同じで神聖な9つのハーブのひとつ、と推測されています。
日本では茴香ウイキョウとよび、独特な甘みと樟脳しょうのうをブレンドしたような香りがします。

フェンネルは古代エジプト、古代ローマで栽培されていた記録が残っており、現在ではインド、アジア、オーストラリア、アメリカと、広範囲に分布し野生化しているものも珍しくありません。
海岸や川沿いでも、土壌が適度に乾燥していれば元気に育ちます。

一般的にウイキョウと呼ばれるものは数種あり、植物学上セリ科とは縁遠いスターアニスもダイウイキョウと呼ばれます。

スターアニス・八角


諸説ありますが、茴香ウイキョウは中国名で、香りを回らせる薬草という意味があるそうですから、おなじ芳香成分をもつスターアニスにも、おなじ呼び名がついたのではないかと思います。
もうひとつセリ科のハーブでオオウイキョウと呼ばれる種もあります。

・ウイキョウーフェンネル
・ダイウイキョウースターアニス(八角)、トウシキミ、マツブサ科。
・オオウイキョウ(巨茴香)セリ科のハーブ、学名 Ferula communis
茎は直径3~7cm、高さ2~ 3mに育つ。

熱(温度)のきざはし


ギリシア神話ではプロメテウスが神界から火を盗み、オオウイキョウを火口ほくちとして、あるいは大きな茎の中に隠して人間界にもちこんだお話が有名です。

プロメテウスの神話をソープオペラ成分排除して要約すると、
1.ゼウスは人間と神を区別しようと考え、プロメテウスはその役割を任せて欲しいと願い出た。

2.プロメテウスは大きな牛を殺して、一方は肉と内臓を皮で包み、もう一方は骨の周りに脂身を巻きつけ、どちらかを神々の取り分として選ぶようゼウスに求めた。

3.ゼウスは脂身に包まれた骨を選び、人類から火を取り上げた。

4.人類の取り分である肉や内臓のように、人は死ぬと腐ってなくなってしまう運命を持つようになった。

5.プロメテウスは鍛冶の神ヘパイストスの作業場の火を、オオウイキョウをつかって地上にもちこみ人類に渡した。

6.ゼウスはプロメテウスを山頂に磔にし、毎日肝臓をテューポーンとエキドナの子である巨大な鷲(アイトーン)に食べさせた。

7.プロメーテウスは不死なので肝臓は夜中に再生し、のちにヘラクレスに解放されるまでの3万年間、鷲はまいにち肝臓を食べ続けた。

ルカ・ジョルダーノの1660年の絵画
『縛られたプロメテウス』
ブダペスト国立西洋美術館所蔵

プロメテウスはティタン族の一柱神で人間を創造した神とも言われています。
天地が明確に分かれることで光も音も熱も、振動数の高低に広がりが生まれ、光は色として、音は周波数として、熱は炎として地上世界で認識できます。
プロメテウスの物語は天界から地上世界のあいだの、火加減調節をあらわしたものじゃないかと考えています。

2つに分けられた大きな牛は、古代エジプト神話、天空女神ヌトの象徴で、ヌトと分離した地球男神ゲブの壁画は、たくさんのバージョンが遺され、誰もが一度は目にしたことがあると思います

ウィキペディアーヌト



燃えにくい骨と燃料になる油は天界の取り分、燃えやすい肉と内臓は地上界の取り分。
天地が分かれたばかりのころは火加減がむずかしく、各界の領域内をしっかり創造するために火はいったん天界が回収し、天地のあいだに火、風、水、土の四大元素界がセットされ、役割分担できるようになってから、熱(火)は地上世界にそろそろと降ろされたものの、それには火力調節などたいへんな工夫が必要だった。

わざわざ天界の火を「ヘパイストス神の火」というあたり、火元素の扱いは天界人といえど、いかにむずかしいことであったのかを示しているのではないかな、と。

ヘパイストス神には主要な天界の神々、ヘラやアフロディーテ、軍神アレスなどを拘束してしまうエピソードもあるので、天界をも揺るがす境界破りのパワーがあるのだろうと思います。鍛冶の神という役職がつくまえは雷と火山の神でした。

地上世界が地上世界でありつづけることを大前提に、自ら発光・発火することのない惑星世界に火をつなぐためには、天界との境界線をきっちり区切ることと、1柱分の供儀ともいえるお役目が必要だったのでは、と考えています。
ギリシャ神話ではプロメテウスの肝臓(血)が媒介となり、火力調節しながら天地が明快に分かたれるのに3万年くらいかかったよ、ということではないかと。

ヘパイストスの炎が、天界をおびやかすほどの超絶型破り炎だとしたら、よくぞオオウイキョウはそんな炎を収めることができたもんだと、おののきとともに感服します。
それは天界の炎を受けとめられるほどの、土元素の力をもっているハーブ、ということだし、火種を長時間もたせるために燠火おきびにして灰に保持する火止めのように、炎のエッセンスを伝搬する力もあるんだろうと思います。

大地の密度、大地の磁気、大地の重力は、上方に向かうことによって、下方にむかう愛および供儀の力と地上で合生する。
その協同をとおして両者が出合う地表で、植物は成長する。
植物は宇宙の愛、宇宙の供儀、宇宙の重力、宇宙の磁気の協同を表現するものなのだ。

「天使たち妖精たち」R.シュタイナー


ちなみに魁神かいしんディオニュソスの杖「テュルソス」はオオウイキョウの茎で作られているという伝承もありますから、梯子を下ろして地上世界に介入してきた神々にとって、長いこと支えになってきたハーブなのではなかろうか、と。


人が人型であるために


歴史や物語に登場するフェンネルのお役目を鑑みると、天界の炎を運んだり、半神デュオニュソスの杖だったりして、天界の炎エッセンスを熾火にして保持できる得意技をもっているのかなと思います。
ただ、炎エッセンスを封じ込めるほどの土元素パワーがある、ということは、フェンネルを人が使うときは固形物の方に親和して、逆においそれと脱魂しないようタマシズメ的な力を発揮するのかもしれません。
肉でつくられた人間のかたち、輪郭を、しっかり維持するような。

それ(フェンネル)は男たちに力と、何者をも恐れぬ勇気を与えた。
荒々しい戦いに明け暮れる剣闘士たちは
日々の食事にそれを混ぜこんだ。
そして戦いに勝利した者はフェンネルの冠を戴くのだった。

アメリカの詩人
ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー(1807 - 1882)


飽食の時代といわれる古代ローマで、兵士たちは胃腸の働きをよくするため、そして活力と興奮作用を期待して、フェンネルの種を常備していました。
女性たちは満腹感をおぼえるフェンネルの風味をダイエット・サポートに、肥満防止にいそしんでいました。
同時代の博物学者プリニウスは、フェンネルは目をきれいにするハーブで、自然の美しさを実感できるようになる、と記述しました。

食べたものはきっちり消化し、血肉を活力でみなぎらせ、人間同士の摩擦を恐れず、美しくあるために肥満を避け、世界のスバラシサを実感するために感覚世界にコミットする、と。
現代社会(のなかの合意的現実・集合意識)と、そう変わりばえしない気もします。
人間万歳、肉体サイコー、リア充生活まっしぐら!2000年、3000年をかけてとりくんできた肉体(個体)化計画は、みごとに成就したのである、という感じもします。

肉体存在を応援してくれるハーブ、さらに五感も刺激して、フェンネルはグラウンディングする方へ、肉体にしっかりコミットする方向へ、五感の使い方に没入するために、その役割を地上世界で果たしてきたのではないかと考えます。

肉体(物質)方向に中層重心をおとしてゆくことが、時代の最先端だったギリシャ・ローマ時代には、四大精霊もエーテル成分も、見えなくなり、わからなくする必要があったのかもしれませんし、もうエジプト時代は終わったんだから、人間の頭が鳥とか獣にみえたりするのは、時代遅れ極まれりですよ、という感じだったのではないかしらん。

人を人型たらしめるために、霊魂をしっかり肉体に鎮めて、ふらふらさまよい出ないようにするためにフェンネルは最先端を走るハーブで、エーテル界を見えなくして、地上世界の美しさに開眼するのにちょうどよい興奮剤にもなったのかな、と。

フェンネルは魔除けにも使われていたハーブで、種は強力な守護魔力をもっており、悪霊やゴーストが棲む屋敷の鍵穴にフェンネルの種をつめておくと、すぐに消えてしまうというエピソードが面白いです。

消える?それとも見えなくなる?

あらゆる存在は「在る」と考えているわたしは、相手が消えるのではなく、自分の立ち位置が変わるのだろう、と思っています。


フェンネル・レシピいろいろ


フェンネルの種子はスパイスとしてソースや魚料理、パン生地に混ぜて風味づけに使えます。
葉や、若くて柔らかい茎は細かく刻んでスープに散らしたり、魚の詰めものにしたり、そのままサラダにしても美味しいです。

また別種ではありますが、野菜のフローレンス・フェンネル(スイートフェンネル)は、球根状の水気の多い根をそのまま根野菜として煮たり、薄くスライスしてサラダにも。お味はセロリに似ています。

フェンネルシードが手に入らないときは、精油をドレッシングに1、2滴たらして風味をつけることもあります。(精油の飲用は個人的な逸脱使用方法で、アロマ協会ではお勧めしていません)。
冷えによる肩こり関節痛のときは、乳液に1滴たらしてすり込みます。ぽわっと温かみを感じて、即効力があるので重宝します。

一般的に精油には健胃作用、駆風作用、利尿作用があるとされ、からだを温めてくれるので冷えによる不調によいと思います。
仕事や社会的なおつきあい、合意的現実をしっかり共有しなければならないとき、フェンネルの香りはたしかに頼もしい感じがするので、アロマスプレーにして持ち歩くこともしばしばです。

*フェンネル精油は強力なはたらきがあるので、一度に大量使用せず、継続使用も避けた方がよいです。皮膚刺激を起こす場合もあるので、精油の使用はゆっくりちょっとづつにしてください。なにとぞ自己責任でお願い申します。

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お読みくださりありがとうございました。
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