良い大学案内を作って、オープンキャンパスで刈り込む”だけ”の時代は終わった
大学の入学者確保に用いられていた方法は以下のような形が王道でした。
良い大学案内を作り、媒体に掲載して、興味をもってくれた高校生がオープンキャンパスにきて、そこで説明して出願する。
ただし、少子化や学びの細分化により、従来のステップがだいぶ変わってきています。具体的にどんな方法なのか、一挙解説します。
オープンキャンパスに行かない高校生たち
コロナ禍により、多くの高校生が大学のオープンキャンパスに行く回数が減っていると報告されています。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、多くの大学がホームページ、SNSなどを活用して、オンラインでの説明会やイベントを開催するようになったこともあり、高校生はオンラインで大学の情報収集をすることが増えています。
また高校生は部活で忙しく土日に開催されるオープンキャンパスに行くことができないこともあります。
大学案内やオープンキャンパス、HPだけでなく、SNSやYoutubeなどから大学の情報を得ることができます。オープンキャンパスで活きた情報を得なくてもそれなりに大学のことはわかるようになってきました。
以前に記事に書きましたが、コロナ禍になり
・オープンキャンパスに行く回数が減った
・オープンキャンパスの時間が短くなっている
ことからも、オープンキャンパス内で伝えられる情報量自体も限られてきています。
大学の特長がコモディティ化している
また高校生の学びの思考の多様化も広報の難しさに繋がっています。
これまでは、まず大学の特長ありきでマーケティングをかければ良かったのですが、大学自体が同質化、コモディティ化したことで、高校生の興味・学び・職業に合わせて、学部、学科がかなり細かくなっているのはその流れです。
そのために従来であれば、大学案内でその大学全体のイメージを掴み、オープンキャンパスに行き、説明を聞いてから自分の興味のある学問を決めることが既に古くなっています。
先述したように、高校生は様々なメディアから自分の興味があるものを事前に調べ、インプットしてからオープンキャンパスに来ています。
つまり既に大まかな情報はキャッチしている可能性が高いということになります。その上で、
では、大学自体よりも学びや職業に興味がある高校生には伝えたい情報も届かなくなってしまいます。ミスリードとしては、メイクに興味がある高校生に栄養士の情報を送ってしまったりしてブロックされる。
私はこちらが出している、伝えている情報の30%程度しかターゲットである高校生に届いていないと考えています。
その確率を高めていくためには、あなた(高校生)にとって最適な情報を最適なタイミングで届けることで「心地よいリコメンド」を行うことが大切です。
資料請求後にPCからの閲覧ログを取り、オープンキャンパスに来るまでに、その高校生がどのような「記事」「ページ」に興味があるのか?またオープンキャンパスで掴んだ情報を元に次に「何を」インプットすればいいのか?
図で解説すると以下のようなフローになります。オープンキャンパスの前後が今の募集広報戦略の最重点ポイントになります。
詳しくはお見せできませんが、本学の高校生の属性セグメントフローです。
高校生1人のセグメンテーションを考えてみても以下のように細かく属性を分ける必要があり、細かい部分を突き詰めてこそ、one to one マーケティングは成功します。
オープンキャンパスの後のCRMが本当の勝負
資料請求からオープンキャンパスに来るまでに、カスタマイズされた高校生に合わせた情報を提供し、実際に来校した際に仮説とすり合わせ、更にカスタマイズされた情報を提供し大学のことを”相手に合わせてファンにしていく”ことが求められています。
つまり1回のオープンキャンパスで高校生を落とすことはしないのが、今のCRMマーケティングです。1回のオープンキャンパス来校で将来を決めるほど、今の高校生は情報弱者ではありません。
これを突き詰めることは凄く大変ですが、例えば経営学に興味がある学生に起業のHP記事を送るメールを作ってしまえば、それが仕組み化されます。
大学は学部や学科が多ければ多いほどその引き出しがたくさんあります。
記事、教授、イベント、論文、企業コラボ…
その引き出しをどのように活用するかは、大学マーケティングの腕の見せ所となります。
最後までご覧くださり有難うございます。これまで20年間、コンビニやヘルスケアベンチャー企業でマーケティングやブランディングに携わってきた澁谷の経歴やストーリーはこちらをご覧ください
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