知らない世界に、出会いたい。
たとえば、現代に生きていて、身近におこるその瞬間の代表は「見向きもしなかったジャンルの動画コンテンツ」に出会うこと。
ステイホームが主流のいま、自分はもちろん、会社の上司や同僚も、自宅で動画を観てすごす時間が圧倒的に増えた。そのため、会社で顔をあわせれば「アレがおもしろいよ、コレがおもしろいよ」とオススメ合戦が尽きない。
なかでも「異世界もの」は、自分ひとりだったらぜったいに手を出さなかったジャンル。
「転スラ」「ダンまち」など、同僚からゴリ押しされ「はあ…そんなにおもしろいもんですか」と乗り気ではなかっけど、じつは奥さんも異世界ものが大好きなことが判明し、いまではふたりで「次のシーズンはまだか」と待ちわびるほどになってしまった。
そんな奥さんもNetflixで「バチェラー」を観ていて、「なあにがおもしろいんだか」と思っていたが、とあるタイミングで1話観たらハマってしまい、全シリーズを完遂したのはもちろん、ネット上でバチェラーたちのニュースが流れれば追ってしまっている。
あとはたとえば「韓国ドラマ」。ヨン様、冬のソナタ、くらいしか知らなかったし、見たことも興味もなかったが、かよっている美容師の方から「しばいぬさんと同じくまったく無関心だったけど、たまたま奥さんと見てたらハマった」と言われ、その方の観ている他の映画やドラマやアニメがわたしと同じ趣味だったので、導かれるように「愛の不時着」を観てみたら、たしかにおもしろかった。
もちろん自分で、あたらしいジャンルに踏みだすこともできる。しかし、その場合はあまり冒険はできない。いわゆる「サムネイル」で、どうしても自分ごのみの無難な作品をえらんでしまう。そうすると、なんだか感動がすくなかったりもする。
とてもじゃないけど、人からオススメされなければ、手を出さないような世界観のおもしろさ。これがいいよね。「へぇ〜〜〜!」とその世界を知った瞬間は、脳のなかの「ふせん」をはがしてあたらしい文字を見ることができたような爽快感がある。
じっさいは、あたらしいことを覚えたのだから、脳みそが重くなりそうなものだけれど、はがされた「ふせん」のぶん、脳の容積がすこし軽くなるような、ふしぎな感覚。
だからわたし、思うんだけど、動画配信サービスの「おすすめ」って機能あるよね。あれは、閲覧履歴からユーザーの嗜好を分析して、似たようなジャンルから「おすすめ」してくれる。たとえば冒険ものやサスペンスを何作品か観ると、そればかりを次々とおすすめしてくれる。
それはありがたいのだけど、動画配信サービスを利用して、数ヶ月も経てば、大半のおすすめは「それ観たことあるんだよなあ」「もう、このジャンルはちょっとお腹いっぱいなんだよなあ」とか、いわゆる「マンネリ化」してしまう。
そこで、動画配信サービスのヘビーユーザーには「興味がなさそうなジャンル」の「おすすめ」機能も必要だと思うのだよね。
画面いっぱいに、観たことも聞いたこともないような作品のサムネイルを並べて欲しいなって思う。ながめているうちに、きっと「あれ、そういえばこれ、誰かがおもしろいって言っていたような…」と引っかかる瞬間がくる。そうなったらもう、あと「ふせん」がはがれるまであと1歩だよね。
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