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他人さまの歴史を聴くのが楽しいんです。

いまの美容院に通って、もう5年になる。

「なんで美容師になろうと思ったんですか?」

いつもは最近観ているアニメやドラマの話題で終わるが、きょうは話の流れからこの質問をしても良さそうな感じだった。

とくに深い意味はなく、わたしは他人さまの歴史を聴くのが好きなのだ。

いま46歳になるその美容師さんは、意外にも24歳から学校に通いはじめたのだという。

通いながらひとつめの店舗に3年勤めて、ふたつめの店舗には8年勤め、それから独立して10年になる、と語ってくれた。

最初の店舗はカットが8000円の高級店で、技術よりもマナーばっかり教えられたとか、ふたつめの店舗はいざ独立するとなったらオーナーの態度が180度変わってしまったとか、むかし美容師の割合は7(女):3(男)くらいで男性は少なかったとか、いまに至るまでのさまざまな経緯や経験を話してくれた。

わたしにとって、他人さまの歴史をインタビューして、根堀り葉掘り訊かせてもらうのは、とてもたのしい。

とはいえ、とうぜん2〜3回会っただけでは話してくれないだろう。

失礼のない範囲での質問を心がけているのだけれど、出会ったばかりの方だと、不審がられて心配させてしまうので、ある程度の人間関係ができてからじゃないと訊けない。

だから歴史を聴いても許される仲って、それだけこころを開いてくれているわけだから、それもまたうれしい。

20年前の過去を話してもらっていると、自分の20年前も思い出す。

自分だけが苦労してきたわけじゃないのは、分かっているのだけれど、あらためて他人の苦労を聴くと「みんな大変だったんだなあ」としみじみ思う。

たのしい思い出もいっしょ。
なんだか最近つまらないなあ、なんて肩を落としていても、他人さまのたのしかった10年前の思い出を聴いていると「そういえばそのころは、おれもたのしかったなあ」なんて、共鳴しはじめる。

もちろん、自分が生まれる前の時代の話も好きだ。

道端を歩いているおじいちゃんにだって、その人にしかない歴史がある。どんな子供時代を過ごし、どんな環境でどんな選択をして生きてきたのか。

許されるなら、訊きまくってみたい。

懐古主義と言われてしまうかもしれないけど、若い子たちの話を聴くのも好きよ。

中途採用の20代の子たちに、大学時代の思い出話を聴ける瞬間なんかはいいね。わたしは大学に行ってないので、キャンパスライフは未知の世界。はじめて働いた会社の話、前の会社の仕組みの話、苦労話、自慢話、とにかく新鮮だ。たのしい。

わたしのスキルは傾聴だ。
これは自信をもって言えるなあ。

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