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民事信託・家族信託マガジン

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□ 認知症や急な病気への備え □ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。 □ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。 □ 収益不動産オーナーの経営者としての信託  …
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記事一覧

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第12章 民事信託の補充論点と今後の活用

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令、第12章 民事信託の補充論点と今後の活用   Q958、遺言代用信託と成年後見人の権限の限界、現に、信託設定の後に、高齢者本人である委託者兼受益者の法定代理人として就任した後見人が、信託終了や受託者解任の意思表示を行うことで、本人の全体財産の管理を可能とするような試みがあると聞く(委託者兼受益者の後見人にとっては、信託の存在が、本人のための財産管理を計画し、遂行するうえで邪魔になると感じられる場合があるという)。について

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第11章

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。 第11章 民事信託の実務の基本的枠組み  Q705、民事信託解説書の選び方について・・・寺本昌広『逐条解説新しい信託法』2008年、商事法務、村松秀樹他『概説信託法』2008年版、2023年版、商事法務、別冊NBL商事法務『信託法改正要綱試案と解説 (別冊NBL no. 104)』2005年、商事法務、大蔵財務協会『改正税法のすべて平成19年版』2007年、書籍としてはこの辺なのかなと思います。  その他には大垣尚司

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第9章 民事信託コンサルティング

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。 第9章 民事信託コンサルティング   P726、最終的に投げ売りを容認するなら、その旨の規定も欲しい。について・・・一定の売り出し期間を超えた場合、最低売却価額なしで売買契約の締結可能、のような条項になるのかなと想像しました。   P736、登録免許税は国税であるが、かような国税の取扱いが、地方税である不動産取得税の特例(地方73の7四)に影響(連動)するリスクも指摘されている。について・・・・登録免許税法7条1項2

渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(31)受託者が帰属権利者に指定されていることで生じ得る利益相反リスク」

登記研究914号(令和6年4月号)テイハン https://www.teihan.co.jp/book/b10081494.html 渋谷陽一郎■民事信託の登記の諸問題(31)受託者が帰属権利者に指定されていることで生じ得る利益相反リスク   信託法(利益相反行為の制限)第三十一条 (略) 2 前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項各号に掲げる行為をすることができる。ただし、第二号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為をすることができない旨

信託契約書から学ぶ民事信託支援業務6信託契約書の起案の作法(1)

信託契約書から学ぶ民事信託支援業務6信託契約書の起案の作法(1) 司法書士 渋谷陽一郎  市民と法 No.146、2024年04月民事法研究会 民事信託支援業務に関与した司法書士に対する苦情を聴く機会が増えた。・・・月に何回くらい聴くのか、気になりました。苦情内容は、報酬が高いことと、信託契約書の品質の低さのようです。    信託財産の額の割合的算定を以前から批判されていて、私は何故なんだろうと思っていました。所有権移転登記申請だって、課税価額の高さに応じて、何千円か何万円

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第6章民事信託の支援者(専門職)

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。 第6章   民事信託の支援者(専門職)    P223、士業者の業務拡大のための民事信託組成の受注競争もあり、士業者だけによる民事信託の規律の維持は難しいかもしれない。―中略―地域金融機関こそ民事信託センターとなる可能性がある。との記載があります。地域金融機関にも受注競争はあり、どちら中心センターを担うのに相応しいか、という問題ではなく、依頼者が選択肢を持てることが大切だと考えます。   P225、書面作成だけで事足り

渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(28)」

登記研究911号(令和6年1月号)テイハン、渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(28)」からです。  P84以降に記載されている、一定の第三者、について登記事項として事業承継の場合の債務者が法人とする場合が例示されています。家族経営である合同会社の中で、委託者兼受益者と受託者が、どのような地位(業務執行社員、代表社員など)の場合でも、必要であれば、利益相反取引の承認議事録があれば可能なのか、分かりませんでした。  私なら委託者兼受益者の孫を債務者として、信託不動産(土地)に

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第1章から第4章

  渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。   Q&Aというより、著者の書籍『裁判例・懲戒事例に学ぶ民事信託支援業務の執務指針』2023年、民事法務研究会のような指針を示すような項目が多い印象を受けました。   [目次] 第1章   民事信託と長寿化社会の現状  P19、の約120社、という記載         第2章   地域金融機関と民事信託  コンサルティングという業務の中身について。 P51、2020年以降、一部において、認証対策の家族信託に特化し、

渋谷陽一郎「民事信託と登記第11回登記先例の解釈―実体法的アプローチと手続法的アプローチ―」

信託フォーラム[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託と登記第11回登記先例の解釈―実体法的アプローチと手続法的アプローチ―」からです。   今回は読み物としての内容もあります。その中で一番印象的だったのが、2011年以降、筆者が難病を抱える子の介護のため、東京司法書士会に対して会費の一時減免請求を申し出たが、却下された、という箇所でした。現在でも同じ運用が行われていないことを祈ります。  登記研究 246号 60頁 昭和43年4月12日 民事甲第664号 民事局長回答 ◎

遠藤栄嗣「受益者代理人の任務終了等に関する定めの陥穽」

 信託フォーラム[1]の記事、遠藤栄嗣「受益者代理人の任務終了等に関する定めの陥穽」からです。私は普段の実務で、受益者代理人制度を信託開始当初から利用することはなく、置くことが出来る旨の定めを置くのみです(信託法138条1項)。理由としては、信託に関係する人数が多くなると人間関係が複雑になること、受益者代理人を選任すると、原則として受益者の権利の一切の行為をする権限を有すること、記事中にもありますが信託法146条により委託者の権利を受益者に移転していること、信託行為と任意後見

渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(24)」

 登記研究[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(24)」からです。     ・障害児にとって、信託不動産に対する第三者の債務のための抵当権設定が、利益になる具体的な場面を、思い浮かべることが出来ませんでした。 ・登記手続上、現在の受益者、またはその他の信託条項の次順位の受益者の欄で、障害児が特定せれているかが分からないと、判断するのが難しいのではないかと感じます。  なお、記事で検討の出発点とされている、昭和41年5月16日付け民甲第1179号民事局長回

村松秀樹 (著, 編集), 富澤賢一郎 (著), 鈴木秀昭 (著), 三木原聡 『概説信託法』2008年版と2023年版比較、第四章から第10章まで。

  村松秀樹 (著, 編集), 富澤賢一郎 (著), 鈴木秀昭 (著), 三木原聡 『概説信託法』、2023、金融財政事情研究会が出版されました。 旧版にあたる、村松秀樹,富澤賢一郎,鈴木秀昭,三木原聡著『概説信託法』2008年版との比較です。 誤りなどありましたら指摘願います。 第4章 受託者の変更関係 P189 1 受託者の任務の終了事由 注2【後見開始又は保佐開始の審判】の追加。 →成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法

村松秀樹 (著, 編集), 富澤賢一郎 (著), 鈴木秀昭 (著), 三木原聡 『概説信託法』2008年版と2023年版比較、第一章から第三章まで。

村松秀樹 (著, 編集), 富澤賢一郎 (著), 鈴木秀昭 (著), 三木原聡 『概説信託法』、2023、金融財政事情研究会が出版されました。 旧版にあたる、村松秀樹,富澤賢一郎,鈴木秀昭,三木原聡著『概説信託法』2008年版との比較です。 誤りなどありましたら指摘願います。 目次 小目次の削除。 【46】後継遺贈型の受益者連続信託における、信託と遺留分侵害請求の追加。 【48】受益権の譲渡等及び相続による承継における、受益権の相続における承継の追加。 【71】信託契約の

信託契約書の条項への指摘と回答

・公証センター等に信託契約書案を送信した場合に、第1条に契約の趣旨規定を追加される場合がある。第2条を目的規定とする場合の整合性について。第1条で受託者の義務は,「信託財産の適正な管理,処分を行う」となっているが,第2条の信託目的には,管理、処分に加え「運用」もあるので,本項にも「運用」を加えるのが相当。 →よく分かりませんでした。   ・追加信託は、信託設定及び信託の併合の手続きに従って行うことになる(弁護士ひまわり信託研究会伊庭潔編著『信託法からみた民事信託の手引き』日本