渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第6章民事信託の支援者(専門職)
渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。
第6章 民事信託の支援者(専門職)
P223、士業者の業務拡大のための民事信託組成の受注競争もあり、士業者だけによる民事信託の規律の維持は難しいかもしれない。―中略―地域金融機関こそ民事信託センターとなる可能性がある。との記載があります。地域金融機関にも受注競争はあり、どちら中心センターを担うのに相応しいか、という問題ではなく、依頼者が選択肢を持てることが大切だと考えます。
P225、書面作成だけで事足りる遺言書の作成等とは異なる。について・・・遺言は執行があるので、書面作成だけで事足りるとはいい難いのかなと思いました。
P230、(司法書士が代理申請の付随業務として、不動産事業者の作成した信託契約書を修正する場合もあるかもしれない)、について・・・不動産事業者が作成した信託契約書をみたことがなかったので、そういう場合にも対処できるようにしたいと思いました。併せて不動産事業者が信託の権利義務関係の図(スキーム等といわれるもの)ではなくて、信託契約書(信託財産に属する財産は金銭と不動産になるかと思います。)を作成できる根拠は、宅地建物取引業法になるのか分かりませんでした。
P233、民事信託の会計ソフトや管理ソフトも開発されつつある、について・・・
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P214、そこで、民事信託組成支援における最大の問題点の1つは、民事信託組成を支援する士業者の多くは、信託法の理論は知り得ても(これは書籍等で勉強可能である)、信託実務の実際の内容は知り得ないということだ。について・・・知り得ない、というか体験し得ない、というところではないかと思います。
法律が禁止している事項について、最大の問題点の一つ、として指摘できるのか、分かりませんでした。信託会社や受託者経験者に訊く、など手探りでも最善を目指してやっていくことでは足りないのか、分かりませんでした。
P237、信託監督人は、信託監督人自体が、適切に監督され、何らかの形で支援される立場である必要がある(信託監督人が受託者と結託して不正を働き、あるいは、監督を懈怠さればどうなるか)。について・・・信託監督人は、何らかの形で支援される立場である必要がある、という箇所が、誰から、どのような支援を受ける立場なのか、根拠は何か、分かりませんでした。
P240、多数の士業による開かれたネットワークが必要である、に同感です。ただし、実務上逆の方向に行っているので、これを修正するのは困難だと感じます。士業報酬の低廉化の流れに同感です。金融機関の民事信託報酬が一種の基準として働くと考えます。
P246、司法書士を監督する司法書士会の監督・監視体制を早急に整備・充実させる必要がる。について・・・反対です。日本司法書士会連合会も司法書士行為規範に民事信託に関する条項を入れたあと、日本弁護士連合会のようなガイドライン作成の動きはありません。指針は個々の司法書士事務所(司法書士法人)ごとで作成するしかないと思います。問題が起きた場合は、懲戒委員会などにゆだねることが現状取り得る実務だと思います。
研修に関しては少し力を入れる必要があるとは思います。参考にするとすれば、(公益)成年後見センター・リーガルサポートの研修体制かなと思います。
東京地判平成28年7月25日判タ1435号215頁について。
Q222民事信託の任意団体、について。民事信託について公的団体は存在しない、という事実はもっと知られていいと思います。その結果、どの団体に属していようと、民事信託に関して責任を取るのは、個々の民事信託支援者ということになります。
運営主体者、役員などを確認することで、それら任意団体の公益性の有無を見抜きたい、の記載について。任意団体なので、広義の公益性は多少どの団体にもあるのでしょうが、公益籍の軽重を見抜いたとして、直接責任を負うのは、利用者に直接接する専門家なので、委任契約書や見積書の説明を聞きながら判断することが妥当だと考えます。
P301、不動産の賃貸や売買などの場合と同様、宅建士の人々による信託不動産重要事項説明書のようなものが、リーズナブルな費用で取得できるようになるのが、信託不動産の流通にとって望ましいかもしれない。の記載について同感です。
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