渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第9章 民事信託コンサルティング
渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。
第9章 民事信託コンサルティング
P726、最終的に投げ売りを容認するなら、その旨の規定も欲しい。について・・・一定の売り出し期間を超えた場合、最低売却価額なしで売買契約の締結可能、のような条項になるのかなと想像しました。
P736、登録免許税は国税であるが、かような国税の取扱いが、地方税である不動産取得税の特例(地方73の7四)に影響(連動)するリスクも指摘されている。について・・・・登録免許税法7条1項2号、別表1,1(二)イとみなされない場合に不動産取得税が課税されるというリスクなのか、分かりませんでした。
P737、仮に成年被後見人となれば自動的に資格喪失する、について。・・・民法653条の委任契約の終了により退任、という解釈。
P738、非公開会社における民事信託の場合、予期せず信託の終了事由に該当してしまえば、再度、株主総会等の譲渡承認の決議を要するのかという問題がある。について。・・・・所有権者が変わる場合は、譲渡承認が必要だと考えます。
P740、受託者を残余財産の帰属権利者と指定し、その受託者が信託の残余財産を取得するような場合、信託法31条の利益相反行為(同条1項1号の信託財産を固有財産に帰属させること)に該当するか議論されてきた。とりわけ、貴族の段階ではなく、当初の指定の段階における利益相反行為性が論点となる。について。・・・自益信託で信託契約による場合、委託者兼受益者が契約当事者の一方となっており、受益者の保護は一定程度図られていると考えられます。他には信託目的との関係で著しい損害を受益者に与えることが明らかでなければ、利益相反に該当するというのは、難しいのではないかと考えます。
P741、また、残余財産の帰属権利者の指定をもって信託目的として資産承継などを定める場合、当該目的との関係で法的性格が変化し得るのか、そして、なぜ、残余財産受益者の制度を用いないのか(課税リスク等があるのか)その他の問題点がある。について。
(1)当該目的との関係で法的性格が変化し得るのか
法的性格というのが適当な言葉なのか分かりませんが、変化し得る、連動してその信託が判断される、という可能性はあると思います。
(2)なぜ、残余財産受益者の制度を用いないのか
残余財産受益者(信託法181条1項1号)を利用しない理由は、課税上の懸念の他に信託の効力開始当初から、受益者としての権利義務を持つと解釈した場合に、信託が複雑になることを避ける意味合いがあるのではないかと思います。また、残余財産受益者の制度を用いる事例として、自己信託以外にどのような場合が適当なのか、示してくださると助かります。
(3)その他の問題点がある
どのような問題点があるのか、分かりませんでした。
相続財産、の記載について。・・・信託財産ではないかと思いました。
Q641認知症対策としての農地の条件付信託契約の可否について・・・委任状を日付が白紙の状態であらかじめ取得しておき、という実務があるのか、分かりませんでした。
Q646配偶者の二次相続を想定した信託、相続税法基本通達第21条の6―
(信託財産である居住用不動産についての贈与税の配偶者控除の適用)関係について・・・相続税を1番に重視するのかは、個別の依頼者の考えに合わせて選択してもらうように提示したいと思いました。
共有化について・・・大きな土地に建物が建っているなど、分けることが出来ずに共有にする場合以外に、不動産や株式を共有にする場合が他にどのような事例があるのか気になりました。
Q653受益者の扶養義務範囲と信託財産からの給付(相続税法21条の3第1項2号)について・・・信託契約書に記載するのか、受益者に該当するのか、私は税理士へ最終判断をお願いします。
Q660名義預金と自己信託の関係、自己信託特有の問題として、委託者兼受託者が認知症となれば、信託が機能不全に陥る(自己信託は認知症対策とならない。)について・・・自己信託の場合、次順位の受託者を信託行為で定めておくのが通常だと考えていたので、意外でした。
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