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人事担当者が転職活動をした振り返り記録

退職を決意したのが9月。
つい先日、希望の企業から内定をいただき承諾したので、事実上、転職活動が終焉を迎えた。約2ヶ月、お疲れわたし。

過去2回の転職はいずれもメンタルがやられかけて退職後におこなっていたので、ニート中の焦燥感や負け犬感情が高ぶり、メンタル的にあまり良くなかった。
今回は在職中に活動をしたが、それはそれで来年の業務の話をされながら、笑顔で答えながら、裏で他社を受けているという、心と身体が正反対のことをしている状態で色々消耗した。

まだ退職交渉という一大イベントが残っているが、内定承諾書を出してしまったのでもう後には引けない。いや引くつもりは微塵もないけれど。

まだ転職先で働き始めるのは来年3月なので、どんな会社か分からないし、もしかしたら今より状況が悪くなる可能性だってあるけれど、今わたしが「転職活動をしてよかった」と思っている理由を書いてみる。
悩んでいる・迷っている誰かの参考になれば嬉しい。

1.転職活動を始めたときは迷っていた

9月中に大きな仕事がひとつ終わって、その後コロナに感染し、9月をほぼ出社せず終えようとしていた。
「大きな仕事」はわたしが入社してすぐのころから任されていた仕事で、自分としては責任を持ってやってきた業務だった。
来年も引き続きやっていくという気合で、次年度のスケジュールや計画も立てた上で、次はどうしようかと色々模索していたところに「あ、次から後輩にやらせるからもういいよ」とあっさりわたしの手から離れることになった。

前々からうっすらと転職という言葉が頭を過ることがあり、それはいつも「上司からの心無い、モチベーションが下がる一言」が原因だった。
このときに「あ、転職しよ」と明確な決意をし、その日のうちに転職エージェントサービス3社に登録した。

しかし、一時の高ぶった感情で登録してしまったこともあり、家に帰ると悩んだ。

通勤にそれほど苦労しない立地で、朝もそこそこのんびり出社できる。
趣味も大事にしたいから、休みが取りやすいのは有難いし、残業だって少なくて、毎日ほぼ定時で上がれる。
わたしが今会社に求められている役割だって悪くはない。仕事を一生懸命やること、やりがいを求めることをやめて、会社の求める通りに動くことだけ考えて、困らない程度の給料を貰えばいい。
そういう楽な生き方でもいいんじゃないか。

悩んだ結果、行きついた結論は
・転職活動をしてみていい会社があったら転職する
・遅くとも来年の6月末までにはする

の2つだった。

2.自分の価値を知る

そんなふわっとした気持ちで始めた転職活動だったが、在職中に同時進行することはまあまあ負担だった。

過去2回の転職活動も紹介サービスを利用していた。
その理由は「楽だから」。
わたしは自分が究極のめんどくさがり屋であることを理解している。
膨大な求人数から自分でサイトを巡回して探すのは大変(めんどくさい)だし、企業側とのやり取りを全部自分でするのも大変(めんどくさい)。
条件を伝えたら良さそうなところを紹介してくれるサービスを利用しなければ一生転職しない。(断言)

大手の3社に登録し、担当者の方と電話で連絡を取り合い、履歴書や職務経歴書などの書類を作成し、求人を紹介してもらい始めるまでの2週間くらいがいちばん大変だった(めんどくさかった)。

しかし、この時点ですでに気づいたことがあった。
今の会社では「当たり前」と思ってやってきた業務が他者から見ると「めちゃめちゃ色々やってた」ということ。
これはエージェントの方にも驚かれたし、のちに面接を受けた企業の方にも驚かれた。
組織の人数的にもあまり多くなく、入社当時は自分ひとりしかいなかったので、全てやらざるを得なかった。
本来であれば分業されている業務であると知ったのは今回、転職活動をしたから得た知見だった。

また、今の自分の職種で、年齢で、経験年数でもらえる給与の平均を知ることができたことも気づきだった。
平均を知ったときは自分の年収の低さにショックを受けたが、迷っていた気持ちへ決心をつけるためのいい材料になった。

もし、今転職を迷っている人がいれば、そういった大手サイトに登録して求人を見てみるだけでも色々な情報が見えてきて勉強になると思います。
気付くことがたくさんあって、わたし個人としては、転職がうまくいかなかったとしても、これだけでも先のことを考えるよいきっかけになったな~と思っていました。

3.採用される側の気持ちを知る

わたしが大学を卒業する年はちょうど就職氷河期と言われている時代だった。
同じゼミにいた男の子は100社受け、尽く落ち、なんとかもらえた内定は1社だと言っていた。
そんな中でわたしは大学に来ていた求人で、家から近い会社をいくつか選び、全部で3社受け、最初に内定をもらった会社に就職した。

そう、真面目に就職活動をした経験がなかった。
理由は、めんどくさかったから。お金が稼げればなんでもいい、アルバイトの延長くらいにしか思っていなかったので本当に、死ぬほどテキトーだった。
9カ月で辞めたし、まじで最低人間である。

先ほども述べたように、2回転職をしているが、いずれも紹介会社に頼りっきりで、当時担当してくれた方が紹介してくれた会社を2社ほど受け、最初に内定をもらえたところに就職した。学ばないあほである。

今回は過去の失敗を教訓に、将来について真面目に考えた……というのは半分嘘で半分本当。

実は、現職は人事採用の仕事をしている。
採用する側の人間のくせに、今まで一度も真剣に就職活動および転職活動をしたことがない人間が、偉そうに学生に対して会社とは!社会人とは!就活で大事なことは?などと語っていたのだから世も末である。(ちなみに過去2社は全く関係ない仕事をしていた。)

採用する側として、人の人生に関わる仕事をして、採用をする側もされる側も、真剣に臨んでいるということを知った。
だからわたしも、真剣に取り組もうと思った。人生で初めて、採用される側として、自分と会社に対して、真面目に向き合った。

4.不採用でも落ち込まない

紹介してもらった企業がメインではあったが、真剣に向き合い、考え、求人を探した。
今まで見向きもしなかったが、可能性がありそうな大手メーカーにも応募したものの、書類すら通らなった。
だけど、これが今の自分の限界値なんだと、この程度の経験では、メーカーには必要とされないのだということを知ることができたのは成果だった。

「落ち込まないの?」と思われるかもしれないが、よく就職情報サイトに書いてある通り、こればっかりはご縁なので仕方がない。

採用する側の想いとして、特に中途採用はそうだが、即戦力としての採用や事業拡大を目的とした増員がほとんどで、ある程度のポジションが決まっている部分的な人員募集、かつ、採用数も1名や2名といったところが多く、かなり限定されるものである。
そのため、お互いがマッチングすることのほうが確率的には圧倒的に低い。もし、書類選考を通過し、面接まで行ければそれだけで出会えた奇跡にまじ感謝レベルなので、喜ぶことを優先してほしいと思う。

そんなわけでいくつか応募した中で、
●同業で会社規模がほぼ同等のA社
●同業だが会社規模が4倍のB社
●同業で今より会社規模が小さいC社

以上3社から書類選考通過の連絡があり、面接に進むことになった。

5.採用活動の対応から見る会社良し悪し

さて、最初に連絡があったのはC社だったが、結果的に面接に進むことはなかった。

というのも、転職サイトの「面接確約」という制度で連絡をもらい、やり取りをしていたのだが、何度か「日程調整したら連絡します」「日中何時ならいいですか?」「来社されますか?」「オンラインがいいですか?」という一度で済ませやと思う内容のメッセージを数回に渡りやり取りし、その後、2週間音信不通になった。

毎回メッセージのやり取りをする担当者が変わっていたことや要領の悪さから途中イラついてしまったが、先方もお忙しいのだろう…となんとか気持ちを収めていた。
しかし、他2社の対応のスピード感が素晴らしく、正直もうどうでもいいやの気持ちが強かったことと、こんなクソみたいな対応しかできない会社など杜撰な管理体制は目に見えていたので、お断りの連絡を入れ、ブロックした。

どんな理由があったかは分からないが、本当に人を採りたいと思っているとは思えない対応だったし、もし仮に既に採用が終了しており、面接確約としたものの、面接に来てもらうことが難しくなったのであればそのように連絡をすべきであるし、とても不誠実な会社だと感じた。
ホームページを見る限りは立派な会社だと思ったが、こういうところでぼろが出るなと勉強になった。
自分が採用する側でこんな酷い対応をしたことはないが、今後、より気を付けて対応していこうと反面教師になった。

6.オンライン面接ってめちゃめちゃ楽じゃん

先に面接日程を組んだのはA社だった。
本社が東京にあり、面接担当の方も本社にいらっしゃるということでオンラインでの面接となった。
就業中であることをご理解いただいており、定時後の時間で設定していただいた。
駅の近くにあるリモートブースというスペースを予約し、面接に臨んだ。
ブースを利用したのも初めてだったし、オンラインでの面接を受けることも初めてだったが、感想としては「便利な世の中397‼‼‼‼」だった。

対面のみの対応で、東京まで来てください~なんて言われた日には「めんどくさいからやめよっぴー」になっていたに違いない。
就業していても休みを取ることなく転職活動ができることは非常にありがたかった。

B社には土曜に面接をしていただいた。これもオンラインだった。
担当の方もご自宅から面接対応をされていた。面接を受ける側もする側も土曜に出社しなくていいという良さ。終わったらすぐに休めるという良さ。
時間を無駄にしないオンラインって最高じゃん!と改めて思った。

7.転職活動をすると自己肯定感が爆上がりする

これは人によるかもしれないが、わたしの場合は爆上がりした。
今の会社にいて、自己肯定感が地の底まで下がってしまっていたことの反動でもあるかもしれないが、とにかく面接では「こんな業務も経験されているんですね!すごい!」とか「苦労されたんですね…分かります」とか。
総じて人事の方は話を聞くのがうまいと思った(自分もそうであれよと思うのですが、そこは自分のことなので、うまくできているかは自信ないです。)し、シンプルに自分がやってきたことが評価されることは嬉しかった。

面接が進むにつれて、具体的なポジションの話やどんな経験や知識を生かしてほしいという話まで、かなり深いところまで話をしていただけたことで、自分が必要とされていると感じることができた。
またお会いしましょう、とかまたお会いできたら嬉しいです!と言っていただけることも嬉しかった。

8.小さくても「違和感」を蔑ろにしないという学び

結果として、A社、B社どちらからも内定をいただいた。
そして最終的に内定承諾をしたのはB社だった。

その理由のひとつとして、A社に感じた「違和感」を払拭することができなかったことが大きかった。
A社に違和感があったからB社、という選択をしたわけではなく、総合的に判断したときにB社だったというのが最終判断だったことは前提で。

違和感①:採用担当者の方とのフィーリング

男性で40代、体育会系なのだろうというテキパキした感じがあり、非常に気さくでいい人だった。

今の会社の上司を苦手に思う理由のひとつは、話すときの威圧感だった。
有無を言わせないタイプなのだが、自分ではそう思っておらず、なんでも話してね!などと抜かす。だから何も話せない。

正直、最初にオンラインで面接したときの言葉遣いや話し方に少し同じ空気を感じてしまい、苦手かもしれないと思った。
最初からそんな風に思っちゃいけねえよ!と思う自分もいたのであまり深く考えず選考に進んだ。

違和感②:ぶっちゃけすぎ

最終面接に進む前に面談をしたいと言われ、オンラインで再度担当者と話をする機会があった。
そのときに、入社してから相違がないようにぶっちゃけて言うんだけど、ということで、入社したら任せたいポジションについて、当初、募集していた内容とは仕事内容が少々異なることを聞いた。
そこまではまあ別に良かった。

「実は上層部からは女性じゃないほうがいいんじゃないかと言われた(結婚・出産でいなくなるかもしれないと言われている)」
「だけど僕はハトさん(わたし)と仕事をしたいと思ったから推した!」

そのときはポジティブに考えて、男性しか採らない予定だったけれど、わたしの経験や知識が必要とされたから推していただけたんだ!と考えていた。
エージェントさんにその話をしたところ、実はエージェントさんの方にもそういった依頼(男性希望)はあったそうで、言わないようにしていたとのこと。

選考を受けているときは色々麻痺していて、まあそういう考え方の会社もあるよね、と思っていたが、よくよく考えたら酷いぶっちゃけ話だと気づいた話はまた後ほど。

違和感③:続・ぶっちゃけすぎ

最終選考を終えた後、再度面談の機会があった。
ここはもう条件面の話など、かなり具体的な話をするための場だったので、こちらも今まで以上に真剣に聞いた。
最終的にA社とB社、どちらを選ぶのかを決めるためにも大切な話である。

給与面はかなり頑張って会社に交渉していただいたと聞き、ありがとうございますという気持ちでいっぱいになったのだが、最後にまたぶっちゃけた。

「実はもう数か月ずっと採用担当者の募集をかけているけどなかなか決まらなくて…応募が無いという意味ではないんだけどね!そろそろ決めたいと思ってる!」

恐らく、これを聞いたとき、わたしの顔はスン…となっていたと思う。
それと同時に「A社敗退により、B社に決定です!おめでとう!」と心の中でクラッカーがなり、くす玉が開く様子が見えた。

ここまでの話で考えると要するに「本当は男性を採用したかったけど、応募もなかなか無いし、何カ月も決まらないから、会社には女性で妥協してもらってさっさと決めちゃいたいんだわ」なんだろうなと思った。思ってしまった。

そもそもそんなこと選考者に言わんでよかろ?と思う。
エージェントさんにも「そんなこと聞いたらモチベーション下がりますよね…」と言われ、ほんとそれとなった。

このようないくつかの違和感を最後まで払拭できなかったことにより、A社への不信感が生まれ、辞退するに至った。

9.エージェントさんと採用担当者の方のお話

お世話になったエージェントさんとB社の採用担当の方の話をする。

エージェントさんとは電話でしか話をしていないが、テキパキと話を進めてくださり、最終的な判断をする上でとても親身に相談に乗ってくれた。
その中で、わたしが考えもしなかったような判断基準について教えていただいたり、人事採用の視点からも非常に勉強になった。

こちらが就業中のため、夜遅い時間にも快く対応してくださり、本当に有難かった。
ちなみに今回利用させていただき、最終的に決定したのはDODA様でした。

B社の採用担当の方も最初の選考から気さくに話してくださり、初見からとても印象が良い方だった。

実は、最終的な条件面談の際に、他社と悩んでいる部分はどんなところかと聞かれ、違和感があった部分を話した際に「男性を採りたいという話を聞いて、分からなくもないなって思ったんですけど…」と言ったところ「分からなくなくないよ!性別なんて関係ない!」とズバーン!!と言い切ってくださったことで「きっとこの会社は女性とか男性とか関係なく活躍できる環境が当たり前にあるんだろうな」と思えた。

面接をする際に、採用担当者が選考者に対して、人柄を見るのはもちろんだが、選考者も採用担当者の人柄を内定承諾の理由のひとつとして見ているということを身をもって実感した。

10.最後に

今回の転職活動を通して、人事担当者として新たに気づいたことも多く、非常に有意義で学びの多い時間になったと感じた。
研修でも受けたんか??という固い感想になってしまったが、本当に改めて色々なことを考えたし、今後の自分の採用活動にも生かしていきたいと思った。

冒頭でも述べたように、「楽な生き方を選んでもいいんじゃないか」と思っていたこともあった。
だけど、わたしは仕事に対して前向きでありたいし、やるならスペシャリストになりたいし、やっぱりやりがいを持って仕事をして、それに見合う対価が欲しい。
プライベートで楽しいことをするためには仕事を頑張らないと「楽しい」を感じることはできないと思っている。

来年早々から有給消化期間に入り、その後、新しい職場での仕事が始まる。
とにかく最初は聞いて、見て、覚えて頑張る気持ちでいっぱいである。

今、転職をしようか迷っている人へ。

とりあえずやってみるといいです。(軽い)
転職活動をしてみて気づくことも多いです。本当に。
今の会社にいていいのかな、このままでいいのかな、と迷っている人も、自分の市場価値を知るために活動してみるのもいいですし、他にもっと自分の経験や知識を生かせる場があるかもしれません。
実は給与がもっともっと上がる可能性があるかもしれません。
他の会社のことを知らないと気づけないこともあります。
昔に比べたら転職をすることはそれほど難しい時代でもないですし、転職に対する見方も変わっています。
なので、あまり重く考えすぎず、とりあえずちょっと見てみるか~の気持ちを持ってみてもいいかなと思います。

以上です。めちゃ長い。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

次はもう少しオタ活について書きたいな。

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