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Antique Coins World | British Medals Collection
今回は表題の通り、イギリスのメダルを紹介する。イギリスのメダルはどれをとっても一級品だが、中でも筆者の目をひときわ惹いた一枚を取り挙げる。
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Great Britain White Metal Medal 1854
NGC MS63 Top Pop
41mm BHM-2549
ヴィクトリア朝イギリスで1854年に発行されたホワイト・メタル製メダル。1854年のクリスタル・パレス(水晶宮)の移設を記念したものである。本作はアメリカの貨幣鑑定機関NGC社から世界最高鑑定の評価を受けている。現存する同タイプの個体の中で、最も保存状態が良いことになる。
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PINCHES
表側にはクリスタル・パレスの扉を開くブリタニア女神が描かれている。ブリタニア女神はブリテン島を象徴した女神で、その描写は古代ローマの貨幣に既に見られる。女神は右手に扉の鍵を持ち、左手には伝令杖カドゥケウスを握る。彼女の足元には、子羊とコリントス式兜が描かれている。息を呑むほど繊細な描写で、当時のイギリスのコイン・メダル製作の圧倒的な技術力の高さが窺える。メダルならではの立体的で重厚感のあるディティールが観る者を虜にする。
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CRYSTAL PALACE OPEND.
MDCCCLIV PINCHES. LONDON
裏側には、クリスタル・パレスの外観が描かれている。クリスタル・パレスは1851年に開催された第1回ロンドン万国博覧会の会場として建設された。日本では水晶宮の名で知られる。万博終了後の1854年6月10日、ハイド・パークからシドナム・ヒルに移設された。だが、惜しくも1936年11月30日の火災で焼失してしまい、現在その跡地は公園になっている。
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Engraver, John Pinches
本作はピンチズ・オブ・ロンドン社が製造したホワイト・メタル製メダルで、発行当時は赤い革製の化粧箱に収納されていた。彫刻師は、ジョン・ピンチズ。ホワイト・メタルとは、錫と亜鉛の合金素材で、銀などに比べて安価な金属だった。安価で成形が容易いことから、当時のイギリスではメダルを始め、工芸品などに好まれた。
上記のリンクから動画を視聴できるようになっている。動画からは、写真とはまた違った印象や固有の立体感を感じ取ることができるだろう。
以上、今回はイギリスのメダルを紹介した。かつてメダルは貨幣ではないため、一部の銘柄を除き、投資価値がないという理由からオークションでもさほど金額が伸びなかった。だが、ここ数年で注目を浴びるようになってきており、イギリスを中心とした優れたデザインのメダルは高額で取引される傾向になりつつある。コレクターとしては注目を浴びるようになって嬉しい反面、入手が難しくなってしまうようで、とても複雑な気持ちでいる。それでも、優れたメダルたちがより多くの人から正当な評価を受け、注目を集めるようになってきている流れは、業界としては素直に喜び、歓迎すべきことなのだろう。
Shelk 🦋
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