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自分の中に毒を持て/岡本太郎 を読んで

まず、こんなに噛み砕いて自分の一部にしたいと思った本は初めてだ。
おかげで読破するのにかなり時間を要してしまった。
本質的な思索が私の考えと類似しており且つ言語化されている。

そして文章という文章、文字という文字からエネルギーが出ている。
岡本太郎が隣で語りかけてくるような、そんな感覚。


読もうと思ったきっかけは何故か忘れてしまった。
しかし軽く内容を知った時点で自分の持つ考えと近いと感じたのだ。


この本は人気があるようで、図書館の貸出でも10人以上の予約待ち。
電子書籍も私の手近なところでは見つからず。
どうせなら自分の本棚に追加したいと思い、気が向いた時に本屋で探しても中々巡り会えず。
一回探したはずの本屋をもう一回歩いていると、なぜか見つけることができた。そんなものだ。


まず岡本太郎に対しすごいなと思うのは、ひとつひとつの思索がそれぞれ孤立しているのではなく、川のように連なっているところだ。


ひとつ反対の意見を持ったのは愛・婚姻の部分である。
婚姻によりいろいろな意味で縛られる、という意見に対して現実的には無意識的な近親相姦を防ぐためでは?などと考えてみたり。
たったひとり特別なひとがいるからこそのロマンがあるとも思う。
あとは「一緒に暮らしていた美女」のような書き方が数回出てくるあたりから岡本太郎の人間らしさが感じられて良い。

追記、結婚してもパートナーと自分を同化しすぎないで互いの得意部分を活かし合うという点は大いに同感。


この本の最終章には共感しすぎてだいぶページが線を引いた青色になってしまった。
何かキーポイントとなる数文をここに引用しようと思ったが、思索を表しきれないのでぜひ流れ丸ごとを読んでいただきたい。新装版P.220あたりを特に。


この本は1993年に初版が発表されたということに驚いた。
この間出た新作です!と言われても違和感のないような内容なのだ。私が産まれる前に出版されているのに。
岡本太郎の思索が時を越えているのか、はたまた世界が、日本が当時から変わっていないのか。
どちらにせよ現代に必要となるエッセンスだと思うので、色んな立場の人に届いてほしい。


本を読むにも絶妙なタイミングというのがあるかもしれない。
丁度自身で「人間が生きる目的云々」「現代のシステムにとらわれること」「自然と人間のあり方」について思索していたタイミングでこの本を、この文章を摂取することができた。
答えのヒントが自ずとやってきたようだ。面白い。

一度でも「人生」「人間が創ったシステム」等について疑問や思索をしたことがある人には是非おすすめしたい一冊である。

私も今後何度も読み返すだろうし、周りの人に読んでもらえれば(特に線を引いた部分)、私の思索も理解してもらえそうな気がする。


変わらず私は自分の中に毒を持って、ゆっくり美しく舞う蝶となりたい。


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