杉藤 俊雄 は××したい
を加筆修正して1本化しました。
アーカイブと混同して
ややこしいかもしれませんが、ご容赦していただければ幸いです。
エブリスタでマルチ投稿しています。
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【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_00序章
僕の、最初の記憶は、母の声から始まった。
「俊雄《としお》が男の子に生まれて、本当によかった。本当に……」
実感のこもった母の声は震えていた。赤ん坊の僕の顔をそっと撫でる手は冷たく、頬をなぞる長い指は僕の首あたりを移動し、踊るようになぞっている。
このまま指に力をこめれば、無力な赤ん坊はひとたまりもないだろう。
「…………」
母は青ざめた唇をうごめかせて、鼻をすすった。
憂いを帯
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_63_20代編 05
盗聴器を撤去したことで、相手は僕たち――というよりも、警察を警戒するだろう。防犯カメラの映像は抑えてあるし、僕が被害届を出せば、すぐさまナンバーズレートは十条と冴木を警察に差し出して、トカゲのシッポ……と、奴等の筋書きを見越しつつ、住職の日野も含めて四名の人間を確保しなければいけない。
「お忙しい所、申し訳ございません。日野さん、杉藤です」
僕は礼儀正しく、それでいて若者特有の無邪気さを装