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2022年12月の記事一覧
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_85_現世編 03
「こちら、公安から依頼された協力員の葉山です。ただいま事件関係者から聞き取りをしたところ、この座敷牢に隠し部屋があることがわかりました。場所は――」
葉山はパソコンのスピーカーをONにして、モニター越しに話しかけると、作業を行っていた男たちは一斉に顔をあげた。葉山は手短に隠し扉のある場所を提示して、開くための仕掛けがあることを伝えるのだが、一分一秒でも惜しいのだろう、持ち込んできた機材の中から
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_86_現世編 04
――緑、頼む。貴子さんを返してくれ!
――うん、ぼくのいうこと聞いてくれたら考えてくれてもいいよ。このリストにある薬を融通してくれないかな?
――これは! 誰を殺す気なんだ!
――うわぁ、やっぱりわかっちゃうんだね。さすがお医者さん! いよっ! 五代病院の医院長先生っ!!!
――茶化すな! 杉藤の望みをかなえるだけでも、結構こっちも危ない橋を渡っているんだ。もし、彼に……。
――あーあー
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_87_現世編 05
――杉藤! 杉藤! 返事をしてくれ!
――無駄だよ。もう死んでいる。
――緑、なんで……。
――なんでって、全部公博のせいじゃないか。杉藤君にどんだけ暗示をかけてきたの? 記憶の矛盾に気付いたから、こいつはぼくに真相をきこうとしたんだよ。いい加減うんざりしていたからね。後ろからがっと!
――バカ! お前! 自分がなにをしたのかわかっているのか!
――バカは君だよ。それより、もっと有益で未
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_88_現世編 06
光の差さない真っ暗な空間で、幼い子供と白衣の男性が見つめ合っていた。
「つまり、君は杉藤家の力を使って、自分の中で杉藤 俊雄を再現しようとしたんだね」
まるで大人のように物分かりの良い口調の幼子は、狆くしゃの顔を悲し気に歪めて白衣の男性を見上げる。白衣の男性の方は答えない、いや、答えようがないというのが適切なのかもしれない。二重の瞳に憂いの影を揺らし、中性的な美しい顔に悲哀の影を落とす。