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2022年6月の記事一覧
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_59_20代編 01
2010年10月9日(土曜日)
さようなら、さようなら。
僕は貴方たちを忘れない、死ぬ間際までずっと覚えているよ。時折思い出して、幸せを感じた時は黙とうを、辛い記憶を掘り起こした時は唾棄を贈ろう。
葛西 真由……君のことは愛していたよ、だけど君の死体が見つかったら、いろいろうるさいから我慢してね。どうか化けて出ないでね。
母さん……まさか、子宮頸がんで死ぬなんて思わなかったよ。告知
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_60_20代編 02
2010年10月9日 午後
お布施とは別に幾分か色を付けてお坊さんを送り出した。行儀よくキレイな角度で頭を下げた住職。彼をマンションの地下駐車場まで送ると、颯爽と乗りこんだ車が、真っ赤なアルファロメオだから思わず顔をしかめてしまう。迎えに来た時もそうだったけど、聖職者と外車のギャップはどうしても埋められるものではない。
お金に困っていて、僕の言うことを全面的に聞いてくれる住職を知っていた
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_61_20代編 03
数時間後。
早瀬くんと話したいことがあるから。
そう言って、僕はみんなを帰した。
もしかしたら、ターゲットにヤクザがいるかもしれないのだ。早瀬くんと僕が相談することは、みんな疑問を持っていないようだった。
15畳のリビングにコの字型のカウンターキッチンがはまっている。キッチンの鉄板には白地にマーブルの天然石が使われて、リビングに面しているスペースにイスを置くと簡易型カウンターバーの
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_62_20代編 04
早瀬くんを帰して、一人になった僕はキッチンカウンターに戻った。残された空のグラスが二つ、おつまみに出した缶詰が三つ。おつまみは結局、箸をつけないでぽかんと開いたままだ。
僕は疲れたようにイスに座って、缶詰の貝柱に箸を伸ばして口に含む。少し噛んだだけで、弾けるように口の中に広がっていく貝の味を舌先で楽しみながら。顔面に感じる疼きを感じて、暗澹とした気分になる。
『極力、君は自衛意外に杉藤の力