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【完結】【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい

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杉藤 俊雄 は××したい を加筆修正して1本化しました。 アーカイブと混同して ややこしいかもしれませんが、ご容赦していただければ幸いです。 エブリスタでマルチ投稿しています。 …
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2022年1月の記事一覧

【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_37_高校生編 03

【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_37_高校生編 03

 1999年 8月1日。僕たちは山中崎の山にある、自動車免許の教習所で簡単なオリエンテーションを受けていた。

 座学のスケジュールと寄宿舎での過ごし方、必要最低限のルールなんて寮生活が長い僕たちにとっては当たり前のこと。

 初老の教官がホワイトボードに簡単な地図を描いて、変な気を起こさないようにとしわがれた声で念を押す。変な気というのは、この近くには肝試しにちょうどいい廃墟があるそうなのだ。

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【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_38_高校生編 04

【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_38_高校生編 04

 明日から本格的な教習がはじまる。それまでは交流会という名の自由行動となっていた。パンフレットにはそう書いてあったけど、なんだかここまで監督する人間の視線がないと放置されているような気持になる。

 これじゃあ、大川くんが不審がるのも分かる気がした。

 寄宿舎一階のカフェで、僕たちは配られた教科書を広げて予習している。標識の名前とか意味とか初めて知った。こういう機会じゃなければ、知らないままだっ

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【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_39_高校生編 05

【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_39_高校生編 05

 僕たちは事態を楽観視していた。僕に忠告をした女の子が、死体となって発見されたのだ。これは確かに恐ろしい出来事だ。普通の人間だったら恐怖に耐え切れなくなって、免許合宿を辞めていたことだろう。

 もしかしたら、それが正解で、僕がまともな神経を持ち合わせていたら、B市へ逃げて大人しく夏休みを過ごしていた。だれも不幸になることなんかせず、どこにでもある夏休みの一幕になっていた。

 そうだ。あの時も、

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【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_40_高校生編 06

【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_40_高校生編 06

 人間が時々、天使に見える。

 そんなことを言ったら、とうとう気が触れたと思われるだろう。

 深夜に目が覚めた僕は、洗面所の鏡の前でじっと自分の顔を見つめていた。マスクを外した異形の面貌が、深夜の暗闇もあって不気味な存在感を放って告げている。

 僕は、僕の望む幸せなんて、手に入れることは出来ない。って。

 だけど、これは僕が生んだ幻想、将来に対する不安だ。無視するべき幻聴に付け入られた心の

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【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_42_高校生編 08

【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_42_高校生編 08

「私はね、杉藤家に反発する連中にいつも言っているんだ。戦うよりも逃げた方がいい。向こうは超能力を使う――思考回路が普通の人間とは違うんだ。化け物を殺す戦法じゃないと敵わないってね」

 教官は意味ありげに笑って、大川くんの瞳をじっと見る。まるで、今、僕たちが陥っている事態を見越したような、どこか超然とした態度に僕の意識が悲鳴を上げる。

 ざっと、音を立てて大川くんに接近すると、大川くんはぎょっと

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【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_41_高校生編 07

【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_41_高校生編 07

 欠けた部品の殺人事件は、人間の持つ心がすべての謎を埋めてしまった。事件のちぐはぐさは未成年という実行犯たちの暴走、指示を出す大人たちの保身という形で空隙が埋まり、明確な殺意――犯行の動機となって全貌があらわになる。

 逮捕に貢献した僕に対して、父より少し上の年代の警官たちが敬意をもって説明してくれたけど、彼らの中になる盲信の熱量が気色悪かった。それと同時に、今回の事件は僕にとってとても実りがあ

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