超モテ美少女、河伊伊奈子の魅力に迫る!/藤子恋愛物語⑫
「新オバケのQ太郎」の「小学六年生」しか登場しない絶世の美少女・河伊伊奈子。
正ちゃんの兄貴・伸一は、伊奈子と仲良くなりたくて仕方がないのだが、彼女にはライバルが多く、自分が人気があることも良くわかっている女の子なので、伸一はなかなかお近づきになれずに悶絶を繰り返す。
しかも、なぜか伊奈子がQちゃんを気に入ってしまい、伸一はまさかのオバケのライバル登場で、嫉妬の炎をメラメラと燃やすことになる・・。
前回の記事で、伊奈子登場エピソードと、Qちゃんに嫉妬する伸一の様子を描いた作品を紹介した。
本稿はその続編記事となる。残る登場回を駆け足で検証して、超モテ美少女伊奈子の魅力に迫っていきたい。
オバQの世界では、好きな人とはベクトルが向かい合わず、ほとんどの登場人物が片思いの苦しみを味わっている。
例えば、QちゃんはU子さんともっと仲良くなりたいのに、U子はQちゃんを家事手伝いのようにしか扱ってくれない。
伸一も伊奈子と親しくなりたいのに、なぜかQちゃんと仲良くなってしまい、嫉妬に苦しんでいる。
Qちゃんはすっかり伊奈子のお気に入り。伸一ではなく、Qちゃんに電話が掛かってきて、公園で会いたいと言われ、一人向かう。
伸一は再び嫉妬心がメラメラして、勉強も手に着かず、しかも正ちゃんにトンデモないことを言い出す。
嫉妬に狂ったとはいえ、最低な男である。
一方、公園のベンチに座るQ太郎と伊奈子。伊奈子は「ア・ア・アーッ」と伸びをする。そして足を組んでひと言、
なんともリラックスした様子で、およそ優等生の態度ではない。
しかし、ここで何となくわかるのは、伊奈子は恵まれた容姿からみんなに注目されているせいで、普段は何かキャラクターを守っているような生活をしているのではないかということだ。
Qちゃんは、ズバリ伊奈子に質問する。どうして僕ばかりに会いたがるのか、と。すると伊奈子は核心的なことを言う。
Qちゃんが「精神安定剤のかわりか」と反応すると、伊奈子は「そんなのいや?」と気に掛ける。そして性格抜群のQちゃんは「人の役に立つのは嬉しい」と答え、伊奈子は、
と告白するのであった。
前回の記事で伊奈子がQちゃんが好きなのは、恋人対象ということではなく、芸人的な面白さを感じてのことだと考察した。本作では、さらに一歩進めて、Qちゃんを一緒にいてリラックスできる存在、精神安定剤にように感じていることがわかる。
つまりは着飾らない自分自身を出せる相手としてQちゃんを好きになっているということである。なるほど、美人も大変なんだな、と思わせるくだりである。
この後、さらに絆を深めた伊奈子とQちゃんのイチャイチャ具合を目撃した伸一が、U子を使ってQちゃんを逆に嫉妬させようと画策することになる。
そしてQちゃんの嫉妬心を掻き立てるのは成功するが、U子からすれば伸一が気前の良い家事手伝いのように見えてしまい、散々こき使われることになるのであった。
本作ではワンシーンのみの登場ながら、伸一が初めて伊奈子と近づくことができる貴重なお話。なんやかんやありつつ、チベットの占いカードの恩恵によって、雨宿り中の伊奈子に、伸一が傘を差しだして、相合傘で送ることができ、大変に感謝されるのである。
伸一の片思いぶりに、QちゃんがU子と自分の関係を重ね合わせて、同情し、伊奈子に伸一のことを好きになってもらおうと対策本部を作る。
作戦は、Q次郎考案のアイディアがベースとなる。その内容は・・・
マッチポンプの如く、Qちゃんたちがピンチを作って伸一にリカバリーをさせるという悪い作戦を、O次郎が画策するのであった。
Qちゃんは伊奈子にこの後の行動をリサーチする。今回も伊奈子はQちゃんを歓迎するが、そこを突き放して聞くと、勉強後に公園にスケッチへ行こうと思っているという。
さっそく伸一に伝えて、偶然を装ってスケッチに同行させる。その道中でQちゃんたちが作り出したピンチを乗り越えさせるというアイディアなわけだが、すったもんだ、全く歯車が合わない。
結果的には、伊奈子に、伸一がチンピラを使って襲わせようと指示している様子を見られてしまい、決定的に嫌われてしまう。伊奈子さんは卑怯な男が大嫌いであるようだ。。
前回、スケッチに同行してすっかり嫌われたはずの伸一だったが、奇跡的にもう一度スケッチに誘われるというチャンスを掴む。
が、なんとタイミング悪く伸一は風邪を引いてしまい倒れ込む。Qちゃんはそんな伸一を見て、
とすっかり恋愛の先輩として同情するのだった。
この後伸一に化けたO次郎(+透明なQちゃん)、ドロンパ、U子さんの3人が、代わる代わる伊奈子とスケッチデートをするのだが、これがドタバタ続きで、最終的には3人の伸一がいっぺんに現れて喧嘩を始めるので、悲鳴を上げて逃げ出してしまう。
本作でわかったことは、伊奈子の将来の夢は「イラストレーター」であること。絵の勉強のために、たびたび公園にスケッチに出向いていたのである。
ワンシーンでの登場。伸一が伊奈子さんに好かれているかを確認するが、当然ながら全く無視される。
冒頭で、伊奈子の衝撃的な夏休みのスケジュールが明らかになる。
毎日誰かと何かをする計画で、伸一の入り込む隙間はない。残念ながら補欠扱いとなってしまう。
なお、この予定表から、伊奈子さんは芸術関係に興味関心が強いことが伺える。また受験勉強もいやいやながらしているので、おそらく勉強のできる沢井君には宿題を教えてもらうのだろう。
伸一は取り立てて特技もないので、補欠扱いなのだ。・・残念。
ところが、本日12日、安彦君が食中毒となり、写生に行けなくなってしまう。繰り上げ当選となって、伸一は急きょ学校の裏山での写生の同行が許させるのであった。
ベレー帽を被った伊奈子さん。彼女はイラストレーター志望だが、画家の道だって視野に入れているに違いない。
Qちゃん正ちゃんで、伸一と伊奈子を迷子にさせて、二人っきり仲良くさせようという作戦を開始。しかしいざ迷うと伸一の方が狼狽(うろた)えてしまう。
伸一はまずは人間としての魅力を高めないと、いつまでも伊奈子の補欠扱いでレギュラー昇格は無さそうだ。
本作では、さらに人気が高まった伊奈子。伸一が家に遊びに来るよう誘うのだが、既に何十人もの男から声をかけられて、ついにスケジュールが組めなくなっているようだ。
一人一時間として、一日では8人の家を回るのが精一杯。そこで公平にくじ引きを行って、8人の当選者を決めるということになる。
そして、伸一に電話がかかってくる。・・・残念ながら落選した模様。ヒステリー起こして、Qちゃんたちにも八つ当たりする。
そこでキレたのはO次郎。クラスでNo.1の美人に誘うのではなく、No.2を呼び、ダメならNo.3とランクを落としていけとアドバイスを送る。続けて、
と、O次郎の手厳しい意見を翻訳するQちゃん。
そこで伸一に同級生名簿に順番をつけてもらい、片端から電話する作戦を決行。結局、24番目のバケ寺ベソ子さんがようやく捕まるが、伸一はいくら何でも酷いと狼狽する。
結局、伊奈子さんのくじ引きで欠員が出て、伸一は繰り上げ当選を果たして、ベソ子を放って出掛けてしまう。ところが、ベソ子は見た目は酷いが性格のさっぱりした女の子で、Qちゃんたちと大盛り上がり。しかも映画館を経営しているということで、みんなで見に行くことに。
そこへ、やはり声をかけた責任を感じて伸一が帰って来るのだが、大原家はもぬけの殻。寒風吹く中、孤独を感じる伸一なのであった。
この作品では伊奈子さんは姿を見せていないが、引き続き人気抜群であることが確認できるのであった。
以上が、伊奈子と伸一のエピソードである。一日8人もデートの予定が詰まる様なモテモテ美女だが、イラストレーターを目指して、日々写生の勉強をする努力家でもある。
相手の男性には外見的には引かれず、むしろほとんどの人を公平に見る目も持っている。人の良いQちゃんに安らぎを感じて、仲良くなる姿も微笑ましい。
総じて伊奈子は、伸一には勿体ない、人間的魅力の溢れる美少女なのであった。
恋愛エピソード揃ってます。
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