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いたずらはドラえもんから『ペタンコになって遊ぼう』/単行本未収録幼児向けドラえもん③

幼児の仕事は遊ぶことである。様々な遊びを通じて体の動かし方とか、頭の使い方を、じっくりと会得していく。

体験する遊びは種類が多い方が良いので、外遊び、手遊び、など満遍なく経験させたいものだ。そうなると、幼児と遊んであげる相手が多い方が、バリエーションも広がりやすい。

昔は祖父祖母までがこぞって毎日子供と遊ぶのが当たり前だったわけで、今の核家族化・共働きが当たり前となっていくと、その分遊びの幅が狭まってしまうかもしれない。

もっともそのために、保育園や幼稚園や、地域のコミュニティがあるわけで、そういったリソースをフル活用して、子供の様々な遊びをさせることが重要なんだろうなと思う。


「ドラえもん」の幼児向け作品では、基本的にドラえもんはのび太の遊びに付き合ったり、未来の道具で未来の遊びを紹介するパターンがほとんどである。

子供(幼児)の本分は遊ぶことだと、藤子先生が完全に理解されていた証左でもあろう。


『ペタンコになって遊ぼう』
「よいこ」1970年3月号/大全集18巻

本作はまさしく未来の遊びをテーマとしている。道具の正式名称は不明だが、体がペタンコに平べったくなるアイロンを使って、ドラえもんとのび太で遊ぼうというのである。

もっとも、ペタンコになって何か得があるのかと言われると、メリットはさほどない。作中でも、せいぜい細いすき間を抜けられるというくらいであった。

そしてペタンコになって壁に貼りついて、落書きのフリをして通りがかる人を脅かそうとイタズラを考えるのだが、ラストでは完全に落書き扱いされて、ゴシゴシと掃除させられてしまう。

本作でのドラえもんは、完全にのび太の遊び友だちで、イタズラを考えるのも、最後で少しだけ痛い目に遭うのもドラえもんの役割となっている。

普段の作品ではあまり出てこない構造なので、この点は児童向け作品ならではの魅力と言っても良いのかも知れない。



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