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僕の人生を方向づけたバイブル!『パーマンはつらいよ』/パーマンの美学②

大げさではなく、僕の人生を方向づけた「パーマンの美学」を描いた作品について、3回に分けて記事にしていきます! 本稿はその第2弾。

前回の記事で、承認欲求には、自己承認欲求と他者承認欲求に大別されるが、パーマン(みつ夫)は、ヒーロー活動において、その両方が満たされないということを書いた。

その上で、前回では自己承認欲求が満たされないことから、パーマンを辞めたいと言い出したお話を検証した。記事は以下。

本稿では、他者承認欲求が満たされず、やはりパーマンを辞めたいと言い出したみつ夫のお話となる。前作は完全なコメディタッチで、みつ夫の悩みは浅いように思えたが、本作での苦悩は深刻度を増している。

そして、最後にまた語るが、本作は僕個人の「パーマン」のベストの一本と位置付けており、その後の僕自身の行動原理を決定づけた作品となっている。

どうぞ最後までお読みください!!


『パーマンはつらいよ』
「週刊少年サンデー」1967年39号/大全集2巻

悪い奴ほど夜働く。なので、パーマンも夜に活躍しなくてはならない。連日夜中の出動が続き、みつ夫は眠くて仕方がない。

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そこでコピーロボットを学校にやって、自分は押し入れで睡眠を取ることに。夕方まで寝ようと思っている矢先、みつ夫のママが部屋の掃除に現れて見つかってしまう。

「人の家で居眠りする人がありますか、勉強はしているんですか」とママの説教が始まったので、パーマンはたまらず逃げ出す。

みつ夫に戻って歩いていると、昨日のパーマンの活躍を話題にしているおばちゃん二人がいる。みつ夫は自分が褒められているように思い、「大したことなかったです」と近づいていくと、学校をさぼっていると指摘されて、またも慌てて逃げ出す羽目に。

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居場所も無いので学校に向かい、コピーロボットと代わって授業に出るが、案の定眠ってしまい、先生に注意を受ける。それによって、カバ夫やサブにはバカにされ、みっちゃんにも授業中の居眠りは駄目だと忠告される。

居眠りするのは、真剣ではないからだと言われ、自分は夜通し働いているからだと言いかけるが、自分がパーマンだとは明かせないので、眠い理由を説明できない。

挙句、家に帰ると、ガン子によって教室で眠って叱られたことをチクられ、ママに注意される。

みつ夫は感情が高まり、家を飛び出す。

「僕は一生懸命、やってるんだ。みんなの、みんなのために。それなのに、みんな僕のことを悪く言う!」

自らの苦労が認められないことの辛さが吐露される、胸の痛いシーンである。

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そこへスーパーマンが現れる。学校に置きっぱなしになっていたコピーロボットを持ってきてくれたのだ。みつ夫はこの機会にと、自分がパーマンであることを身内だけでも明かしたい、と相談する。しかし、それを聞いたスーパンは、絶対に許さないと激怒する。

それに対しての、みつ夫の心の叫び!

「だってそれじゃあんまりだ。辛い思いをしたって、何の得にもならないし、誰ひとり僕に感謝してくれるわけでもない」

スーパーマンは、「パーマンにはみんな感謝している」と告げるが、「それは須羽みつ夫とは関係ない」と、落ち込む。

スーパーマンは、みつ夫に励ますように言う。

「いいかい、自分の得にならなくても、褒められなくても、しなくちゃいけないことがあるんだよ」

まるで納得できないみつ夫。スーパーマンは、「それはなぜかは、自分で考えろ」と突き放す。それを聞いたみつ夫は、パーマンセットを投げ出し、パーマンを辞めると言って、その場から走り去ってしまう。

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認められたい願望は誰にでもある。では、認められないと分かっている時に、行動をするのか、しないのか。大変に難しい問題である。

現代では「認めさせてなんぼ」という考えが主流のような気がしている。「認めてもらえるから行動する」という傾向すら感じる世の中である。そんな中僕らは、「たとえ認められなくても行動する」ことができるのだろうか?


その夜、みつ夫は、「やっと今晩からゆっくり眠れる」と喜ぶ。とそこに、スーパーマンが現われ、「しばらくの間パーマンセットを預かってくれ」と言って強引に部屋に置いていく。もうパーマンのことを考えたくないみつ夫は、露骨に迷惑がる。

すると、呼び出しのバッジが鳴り出す。無視していると、パー子たちがどうしたんだとやってくる。××地方に水害が出たので、助けに行こうという急を要する仕事の話であった。

みつ夫は、「パーマンを辞めた」と告げて、押し入れに隠れてしまう。仲間がいくら呼んでも、出てこようとはしない。パー子たちは、仕方なく3人でやろうと、みつ夫を置いて行ってしまう。


残されたみつ夫。布団に潜り込み、一生懸命に寝ようとするが、水害で困っている人のことを考えると、眠ることができない。

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・・・

ムクリと起き上がるみつ夫。パーマンセットに着替えて、家を飛び出すパーマン。そこに、スーパーマンが立っている。

「出かけるの?何の得にもならず、人に褒められもしないのに、なぜ行くんだい?」

パーマンは答える。

「わからない・・・。でも行かずにはいられないんです。訳は後で考えるよ、急がなきゃ」

災害現場へと飛び立つパーマン。スーパーマンは、その背中に手を振りながら、エールを贈る。

「誰が褒めなくても、私だけは知っているよ。君が偉いやつだってことを」


僕は本作を子供の頃読み、大学生くらいで再読し、本気で心を打たれた。自分がパーマンになったとして、報われないと分かった上で、世のため人のために働けるのだろうかと、真剣に考えた。

僕の結論は、パーマンのようであるべきだ、というものだった。

誰かが見ているとか、認めてくれるということではなく、自分自身の内側から湧き上がるもの、やらねばならないことを、やるのだと。

ぜひ機会があれば、僕の人生のバイブルを読んでみて欲しいと思う。


パーマン考察、たっぷりしてますので、是非に。


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