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台風とドラえもん(台風関連作品リスト付き)/台風の物語①

わがFノートでは、藤子作品に関する記事(Fコンテンツ)の執筆予定表を作っており、かなり先々まで書きたいネタが詰まっている。仮に毎日更新したとして、3カ月分くらいは揃っている。その内容は、季節性や記念日なども考慮に入れたうえで、計画を練っていたりする。

が、しかし!

とある用意していたネタが、いつの間にか季節外れとなってしまったことに気がついた。一瞬、もう一年待つか・・とも考えたが、来年もnoteを続けている自信がないので、ちょっと時季外れと知りつつ、やはり書いておくことにしたい。

 そのテーマとは、ズバリ「台風」である。


季節性を重視する藤子作品では、9~10月の発表号で「台風」に関係する物語が多数描かれている。お正月~花見~夏休み~台風~クリスマスと、子供たちの年間スケジュールをしっかりと押さえた作品作りが行われているのである。


と、そういことで、本稿から3回に渡って、F作品から「台風の物語」を選りすぐって紹介していきたい。F先生のネタ探しと季節の関係が少しでも明らかになればいいと考えている。

まずは「ドラえもん」から、台風に関するお話を列挙してみたい。まずは「台風関連作品」リストから。

★ドラえもん・台風関連作品リスト
『台風のフー子』
「小学二年生」1974年9月号/大全集6巻
『台風発生機』「小学四年生」1974年10月号/大全集4巻
『ミニたいふう』「小学一年生」1976年10月号/大全集9巻
『台風遊び』「小学一年生」1979年9月号/大全集12巻
『ねじ式台風』「小学一年生」1982年10月号/大全集15巻
『台風トラップと風蔵庫』「小学四年生」1983年10月号/大全集13巻
『ジャイアン台風接近中』「小学六年生」1984年9月号/大全集12巻

見事に毎年のように、9~10月号で台風作品を発表している。ちなみに次稿以降で紹介する予定の「ドラえもん」以外の台風作品は1978年と1981年に発表されている。

それでは、古い順にて全作品を解説していこう。


『台風のフー子』「小学二年生」1974年9月号/大全集6巻

まず台風といえば、こちら。
「ドラえもん+台風」で検索しても、本作ばかりがヒットする。それほどに著名な作品である。このFノートでも、結構初期に記事にしているので、そちらをご参照下さい。


『台風発生機』「小学四年生」1974年10月号/大全集4巻

一言でいえば、台風エネルギーを使った復讐劇

事の発端は、のび太がガムを道端に吐き捨てたのを、ジャイアンに見られたことである。ジャイアンに「お前みたいなのがいるから日本が汚くなるのだ」と難癖をつけられて、罪滅ぼしということで何故かジャイアンの散らかし放題の汚い部屋の掃除をさせられてしまう。

しかもジャイアンは、かあちゃんに部屋の掃除をしたと嘘をついて「よくやった」と褒められる。のび太は全く納得がいかない。

この話を聞いたドラえもんは「断固仕返しすべきだ!」と息巻いて、「台風発生機」という機械を出す。これは、熱の力で上昇気流を作り人工的に低気圧を発生させて台風を作り出すというもの。

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すると風速20メートルにもなるミニ台風ができあがる。この機械で風力や進行方向を調節し、台風をジャイアンの家に向かわせて部屋を散らかしてしまおうという作戦である。

途中、スネ夫に先ほどの武勇伝を聞かせているジャイアンの目の前に台風を横切らせる。そしてドラえもんは、

「台風情報を申し上げます。小型台風は、しだいに発達しながらジャイアンの部屋に向かっています」

と天気予報を伝える。

ジャイアンは台風に来られてはたまらないと、先回りして家の玄関を厳重に戸締りするのだが、ミニ台風は二階の窓から直接ジャイアンの部屋に入り込み大暴れ

荒れた部屋をみたジャイアンの母ちゃんは、「もうこの有様!」と激怒してジャイアンをしばき倒す。ドラえもんはひと言「復讐は終わった」と。

ところが物語がこれでは終わらわない。
「台風発生機」が故障してしまい、台風は消滅せずにどんどん大きくなって、さらに進行方向をのび太の家に変える。慌ててのび太が家の玄関を厳重に戸締りする。先ほどのジャイアンと対になっている。

台風はそのままのび太の家の前までやってきて、そこで機械を操作していたドラえもんを「ゴゴウ」と吹き上げる。そして機械が壊れて台風も消えるのだが、ドラえもんもボロボロになってしまうのだった。

機械が壊れて台風が消えるのなら、もう少し前に壊してしまえば良かっただろうに、と思わずにはいられない。

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『ミニたいふう』「小学一年生」1976年10月号/大全集9巻

台風エネルギーを使って色々遊ぼうというお話。

台風一過。「恐ろしい台風だった」とのび太は振り返るが、ドラえもんは「いい風だったなあ」と喜びながら庭に出てきて、「風をためる機械」を紹介する。(正式名称は不明・・)

収音マイクのような部分で風を集めてタンクに溜め、そこから少しずつ風を風船の中に取り出して使う。そよ風にしたり、おもちゃを走らせる動力にしたり、人を速く走らせたり、ジャイアンを吹き飛ばしたりする。

しずちゃんはこれを使って空を飛べるのではとアイディアを出す。みんなで空中遊泳を楽しんでいると、仲間外れになっていたジャイアンが、残りの台風を全部使ってやると言って、風を集めたボンベの栓を開くとすごい勢いで空を飛んで行ってしまう。

風が無くなるまで飛び続けてジャイアンは風邪を引きました、というオチであった。

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『台風遊び』「小学一年生」1979年9月号/大全集12巻

台風の中で色々遊ぼうという少々不謹慎なお話。

もの凄い台風が来るということでみんなは恐れているが、ドラえもんは「楽しみだなあ」と不謹慎に喜んでいる。のび太が抗議すると「台風ネット」という道具を出して、町中を目に見えない網で覆う。これで強い風は襲ってこなくなるという。

その夜、台風の中を遊ぼうと計画する。「安全ガス」をかけると濡れなくて、ケガもしなくて、風に乗って泳げるようになる。しずちゃんも誘って空き地に行き、「風乗りヨット」で空を飛び回り、いかりを下ろして空中を泳いだりする。

ただただ夜更かしして遊ぶというお話なのであった。

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『ねじ式台風』「小学一年生」1982年10月号/大全集15巻

ねじ式のミニ台風で台風一過で荒れた庭掃除をするお話。

台風一過で落ち葉が散ってしまった庭を掃除することになるのび太。その様子を見たジャイアンは、自分の庭掃除ものび太に任せてしまう。困ったのび太にドラえもんは「ネジ式台風」という道具を出す。台風のフー子によく似た可愛いデザインである。

軽くねじを巻くと、小さな旋風を起こり、庭中の落ち葉を集めてくれる。のび太の庭も掃除し、道路に散った葉っぱもゴミ箱へと集める。

さらにこれを使って空き地で風を起こして、その中に身を投じると空を旋回できたりする。しずちゃんと空を舞って遊んでいると、ジャイアンとスネ夫にねじ式台風を取られてしまう。

ジャイアンは調子に乗ってネジを巻き過ぎて、ミニではない台風を起こしてしまい、ジャイアンの庭は落ち葉だらけとなってしまうのであった。

ここまで3本連続で台風エネルギーで空を飛び回るエピソードとなっている。

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『台風トラップと風蔵庫』「小学四年生」1983年10月号/大全集13巻

台風エネルギーを溜めて再利用するはずが、のび太は悪用してしまう。

台風が接近している夜。ドラえもんは「台風トラップ」を仕掛ける。道具のアイディアとしては「風をためる機械」とほぼ一緒。トラップで風を捕えて「風蔵庫」にしまっておくという構造である。

翌朝、ため込んだ台風エネルギーを使って庭の草むしりや、調子の悪い洗濯機を回したりする。

やがて道具を巡ってドラえもんとのび太は喧嘩となってしまい、ドラえもんはのび太に小さい台風をぶつけて転ばせる。のび太はお返しとばかりに台風エネルギーを開くと自分の体の回りに風が巻き付いて、ヨロイのようになる。

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のび太はこのエネルギーでドラえもんを吹っ飛ばし、調子に乗ってスネ夫とジャイアンをぶっ飛ばそうと出掛けていく。ドラえもんは先回りして二人にのび太に注意するよう告げるのだが、スネ夫は言うこと聞かずのび太に立ち向かい撃退される。

ドラえもんはジャイアンに「台風チャート」を渡して、これでのび太台風の進路を見ながら逃げるように促す。ジャイアンはたまらず空き地の土管に隠れるが、のび太は「ジャイアンの隠れ場所と言えば、空き地の土管あたりかな」と勘がめっぽう鋭い。

ジャイアンを追い詰めていくが、その途中でしずちゃんのスカートを風でめくったりしているうちに、身の回りの台風の勢力が弱まっていく。「台風チャート」でそのことを知ったジャイアンはのび太を逆に追い詰めていくのであった。

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『ジャイアン台風接近中』「小学六年生」1984年9月号/大全集12巻

ここまで台風に関する道具を見てきたが、最後はジャイアンを台風と見立てるお話である。『台風トラップと風蔵庫』で登場した「台風チャート」のアイディアをさらに発展させた内容となっている。

冒頭でジャイアンズがまた負けたということで怒り狂うジャイアン。皆一目散に逃げる。野球と関係ないドラえもんまで、丸い頭がボールを連想させるということで追いかけられる。

そこで出したのが「怒りエネルギー観測チャート」という道具。使い方は「台風チャート」と一緒で、台風ではなく怒っている人間の動きを探るもの。

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チャートを見ながらジャイアン台風の進路を確認しつつ、どら焼きを無事に買うことができたドラえもんとのび太。効果抜群と知ったのび太は、チャートをスネ夫や出木杉やしずちゃんまでにも配っていく。もちろん安雄とはる夫にも。。

これで安心して外出できると皆はチャート片手に町へと繰り出していく。気配はすれど誰の姿も見つけられないジャイアンは、怒りが増幅されていき、チャートでも大型化しているのがわかる。

そこでスネ夫が油断してジャイアンに捕まってしまう。スネ夫はのび太の仕業であると告げ口して、ジャイアンはさらに激怒。史上最大の大型台風へと発達してしまう。

のび太はチャートを見て逃げて行くのだが、行き止まりに追い込まれて、いよいよ捕まる寸前となる。すると先生がジャイアンを呼び止めて「今度のテストが良かった」と誉めるとジャイアンの怒りエネルギーは消滅してしまう。

ジャイアンは「のび太、いい天気だな」と一気に上機嫌に。安心したのび太はジャイアンと歩いていくと、急に空から野球ボールが飛んできてジャイアンの頭にぶつかる。これでまたまた怒りエネルギーが爆発。「台風が突然発生するなんてずるい!!」と追い回されるのび太なのであった。

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台風をペットに見立てた『台風のフー子』を皮切りに、台風=エネルギーというアイディアを使った様々なお話が描かれている。何か、常にネタ切れとの戦いをしているF先生が思い浮かぶのは僕だけだろうか。


「ドラえもん」考察記事盛りだくさん。


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