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みんなのペットが総登場『ペットそっくりまんじゅう』/ドラえもんミニ考察⑥

ミニ考察にピッタリなシンプル&爆笑ストーリーをご紹介。

『ペットそっくりまんじゅう』「小学三年生」1976年8月号/大全集7巻

友だちのペット事情

本作ではみんなのペット自慢から始まる。
まずしずちゃんはインコのチッチを「器量よしでとっても声がいい」と紹介する。スネ夫はその話を聞いて「ペットは飼い主に似るというのは本当なんだ」とお世辞を言う。

しずちゃんは「あらいやだ」と満更でもないが、スネ夫の目的はしずちゃんを喜ばせることではなく、自分のペットが自分に似ていると言いたいのである。

ちょうどスネ夫のペット、猫のチルチルが庭を歩いている。「おいで」と呼ぶとスネ夫に寄って来る。自由気ままな猫とは思えない従順さである。スネ夫は「行儀が良くてきれい好きで上品で僕そっくり」とネコと同時に自分も自慢する。

ジャイアンのペットは番犬のムク。ジャイアンはペットは飼い主に似るという話を受けて「俺ん家のムクだって、頭は良いし、強く逞しく男性的なんだ」と誇る。

ムクは1973年(本作の3年前)に立て続けに数回登場して、ジャイアンのペット犬としての地位を確立している。特に直前の登場となった『イイナリキャップ』では、「頭も良く強く逞しい」姿を披露しており、本作でのジャイアンの自慢も嘘ではない。

しかし本作ではゴミを漁り、おしっこして、スネ夫のチルチルに威嚇されて逃げ出してしまう。ジャイアンは恥をかかされたということで激怒してムクをバッドで殴って反省を促すのだった。

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ラストに至る伏線

ジャイアンのムクへの怒りを解消させるため、のび太がドラえもんに「大変なんだ」と相談に行くと、ドラえもんは泣き叫びながら「返せっ、さあ返せ!」と文字通り掴みかかってくる。

ドラえもんの言うには、後で食べようと楽しみにして隠しておいたどら焼きが無くなっているのだという。ドラえもんは、どら焼き(大好物)とネズミ(大嫌い)のこととなると、周囲が見えなくなるほどに取り乱す悪い癖がある。

のび太は「しょっちゅうそんなことを言ってる。自分で食べて忘れてるんだろ」と冷静に返し、ドラえもんは「そんな訳ないと思う」と不服顔。この数コマの何気ないやり取りが、ラストの大爆笑に繋がる伏線となっている。


「ペットそっくりまんじゅう」の効用

「ペットそっくりまんじゅう」の効用は、ペットに食べさせると飼い主そっくりになるというもの。「ペットは飼い主に似る」という言葉通りにさせたい飼い主が、ペットに食べさせるものである。

本作ではジャイアンが、自分に似てないムクに怒り散らしているので、そういうジャイアンにこそ使ってもらいたい。よって、ドラえもんがムクにまんじゅうを食べさせようとしてジャイアンに怒鳴られるが、この時にきちんとまんじゅうの効用を説明すれば納得してくれたかも知れない。

結局、ジャイアンが「ペットそっくりまんじゅう」を食べたため、飼い主がペットに似るという効果が発揮して、ジャイアンの顔がムクの特徴のように変化してしまう。

結局、「ペットそっくりまんじゅう」をペットが食べて、飼い主に似ていくという本来の使い方をしたシーンは一度も登場しなかったのである。


ドラえもんのペットとは?

ジャイアンがムク顔になったのを見届けたのび太とドラえもん。「ペットそっくりまんじゅう」は、人間が食べても毒ではないし、結構おいしいということで、ドラえもんとのび太はまんじゅうを試食する。

ちなみに「桃太郎印きびだんご」も人間が食べて大丈夫という話があった。未来では動物向けの食べ物であっても、人間の味覚に耐えうるもののようである。

ドラえもんは「うちにペットがいたらそっくりになるところだった」と言いながらまんじゅうを食べていたが、顔が何かの動物のように変化をしていく。のび太は「ネズミだ!」と思いつく。

いつもドラえもんが隠していたどら焼きは、知らない間にネズミのえさになっていた。そのため、ドラえもんがネズミを飼っていたというように「ペットそっくりまんじゅう」が判定したのである。

ネズミ頭になって気も狂わんばかりに部屋中を駆けずり回るドラえもんを、少し離れて場所からペットのネズミが眺めているのであった。

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ミニ考察(といっても1500文字以上!)も増えてきました。


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