未来の地震は公園で「みきおとミキオ」『大地震』/地震に備えろ!②
地震列島・日本は、大昔から現在に至るまで震災を被ってきた。「来るかも」ではなく、必ず「来る」というつもりで、普段から生活することが私たち日本人に課せられていることだと思う。
・・・と、少し堅苦しい始まり方になってしまったが、地震が日本人にとってとても身近な出来事であるのは間違いない。よって、様々な物語に地震は取り込まれていたし(自分が印象的なのは「ドラゴンヘッド」)、藤子作品でもテーマとしている作品は多い。
そこで「地震に備えろ!」と題して、藤子F地震ストーリーについて紹介していく。本稿はその第2弾で、前回の記事はこちら・・。
本作は前回取り上げた「キテレツ大百科」の作品の2カ月前に発表されたもの。ほぼ同時期のネタと考えて良いだろう。
「みきおとミキオ」は、1974年のみきおと2074年のミキオという姿格好がそっくりな二人が、タイムトンネルを通じて、時々立場を入れ替えて過ごすというお話。主に100年後の未来に行ったみきおのカルチャーショックみたいなものがテーマとなっている。
本作のテーマは、ずばり「地震」である。1970年代にとって(今でもだが)大地震は恐怖の対象だが、2070年代には全く別の姿になっている。そのギャップを楽しむ作品となっている。
冒頭、コソコソと空き地を掘って、缶詰を埋めているみきお。友だちに見られて訳を問い詰められると、「笑わないか、誰にもしゃべらないか」と確認した上で白状する。
それは、ここ数年のうちに大地震がくるという噂があるので、その日に備えて少しずつ缶詰を空き地に埋めているというもの。
しゃべらないとの約束はあっと言う間に反故にされ、他の友だちに「イヌが骨を埋めるみたい」と言いふらされ、大笑いされるみきお。。
さて、本日はみきおとミキオが入れ替わる日。待ち合わせ場所であるタイムトンネルの入り口である洞窟に向かう。そしていつものようにみきおは未来の世界へ。
未来に着くと、サイレンを鳴らしながら「震防車」と呼ばれる救急車のような車両が飛んでいる。ミキオのママが「地震が近いのかしら」と聞き慣れないことを言っている。
ミキオのパパは「地震だ地震だ」と妙に浮かれている。そして家に中に温度計のように立てかけてある「地震計」を指して、
と訳の分からないことを言っている。
それを聞いたママは「子供じゃないんだから、地震のたびに見物なんておよしなさい」とたしなめる。・・・この世界では地震は見物するものなのだろうか?
みきおも二人の会話を聞いて疑問に思う。地震てのは公園でやるとかではないのでは・・と。するとミキオのペットであるしゃべれる犬・ポンチがみきおを引っ張って下がらせる。事情を説明しようというのだ。
ポンチよれば、100年後の未来では「地震」が全く違いものになっているという。まずは、大前提として、地震のメカニズムについて説明する。
そこで、未来では・・
ということをしていると言うのだ。
なお、この説明を聞いたみきおは、「地震の月ばらいみたいなもんだね」と返しているのだが、これは「地震の露はらい」の間違いだったのでは?と思うのだがどうなんだろうか。
みきおは好奇心たっぷりに公園へと向かう。どういうやり方で地震エネルギーを散らすのだろうか。
公園では震防車からホースのようなものが伸びていて、その先がポンプのようになっていて、地中に埋められている。消防隊員ならに、震防隊員(?)が「誘導機スタート」と声を出している。
公園には、みきおの他にも大勢野次馬が集まっていて、隊員が「あぶないぞ」と注意を呼び掛けている。集まった少年の一人は「こんなのあぶないもんか」とまるで気にしていない。
するとゴゴゴゴと地面が揺れる。子供たちは「気持ちいいぞ」とか「もっと揺れろ」と喜んでいる。まるで何かのアトラクションのような感じである。
しかし、地震アトラクションはすぐに収まり、集まった子供たちは残念がる。もっとエネルギーを溜めてからやればいいのに、というのだ。
みきおは「そうだ」と何かを思いつき、地震計を借りて現代へと戻る。現在において、どれほど地震エネルギーが溜まっているかを調べようというのである。
大地震は来るか、来ないか。地震計を地面に差すと、なんと水銀のようなメーターが上がっていき、マグニチュード8に達する。かなりの大地震エネルギーが溜め込まれているのである。
みきおはミキオと合流し、事情を説明する。震防車を持ってくるわけにもいかない。ミキオは学校に実験用の「震防機」があるという。それを使って、何度かに地震を小出しにして、エネルギーを消すしか手はない。
ミキオに「震防機」を取ってきてもらい、みきおは現代において人工地震を発生させることに。場所としては空き地しかない。説明書に従って、「震防機」の先の筒を地面に埋める。
その様子を見ていたのは、冒頭でみきおのことをからかった少年たち。「また犬が骨を埋めている」などと言いながら、バカにしようとみきおに近づていく。そのタイミングでみきおは「震防機」のスイッチを入れる。
するとゴゴゴゴと人工地震が発生し、近づいてきた少年たちにも揺れが襲う。「地震だあ!」と大慌てで逃げ去っていく。少年たちは方々で「空き地で大地震」と言いまわるが、当然のごとく信じてもらえない。
さしあたりの大地震は、みきおによって避けられたのであった。
まるで盲腸を薬で散らすように、地震のエネルギーが分散される世の中が来てくれるといいですな。もしくは地震計を是非とも開発願いたいものである。
色々な藤子作品の考察中です。
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