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消えた「消える」機能『ひっぱると消えるしっぽ』/単行本未収録幼児向けドラえもん①

現在仕事があまりに忙しいため、きちんとした記事が書けない・・・。そううことで、苦肉の策として、単行本(てんとう虫コミックス)に未収録となっている、初期の「ドラえもん」幼児向け作品を、一本ずつご紹介していく。

「よいこ」と「幼稚園」向けに描かれた、毎話数ページの超短編を一つの記事で取り上げるという、超省エネ企画なのである。

今回は「よいこ」の連載第二回目となる作品をたっぷりと(?)見ていこう。


『ひっぱると消えるしっぽ』
「よいこ」1970年2月号/大全集18巻

本作のタイトルからもわかる通り、初期ドラの設定の一つに、ドラえもんのしっぽを引っ張ると姿が消えるというものがあった。

最初の一年くらいはしばしば登場していたが、いつしか消える機能は壊れてしまい、しっぽのスイッチを切ると機能が停止(お休み)する役割へと変化している。

なぜ、この便利な機能が失われたかと言えば、一つには「透明マント」などの姿を消すことのできるひみつ道具に役目を譲ったことが考えられる。

あくまで「ドラえもん」は、ドラえもんの出した未来の道具が、便利な働きを見せることが重要なので、ドラえもん自身の機能がハイスペックである必要がないのだ。

ただ、「ドラえもん」の初期は、まだそういう物語の組み立て以外にも、ドラえもん自身のキャラクター性を打ち出すことが大事だと考えられていたのであろう。

その証拠に、初期の数本ではドラえもんは「タケコプター」なしに空を飛んだり、「タイムマシン」に乗らずに時間移動をするシーンが描かれている。消える機能も、最初はキャラを強める目的で備え付けられたのである。

また、ドラえもん自身の力ではなく、「道具」に焦点を変えていった理由には、オバQとの違いを打ち出すということもあったのではないかと推察する。

乱暴に言えば、「オバQ」はオバケのキャラクターを前面に出すお話。対する「ドラえもん」はひみつ道具をフックにのび太を前面に押し出す話、と言えるのである。


さて、執筆の時間もここでタイムアウト。まあまあ十分考察に値する文章が書けたので、本作の内容には今回は踏み込まずに、終了としたい、

最後に、先ほどから書いているように、本作はまだ「ドラえもん」のキャラクターを子供たちに広める時期の作品ということで、一切ひみつ道具が登場していないことを指摘して、本稿を終えたい。


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