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本当に好きなことって伝えずらい『しずちゃんの心の秘密』/ドラえもんミニ考察⑱
『しずちゃんの心の秘密』(初出:心の中をのぞこう)
「小学六年生」1982年10月号/大全集10巻
しずちゃんの誕生日はいつ?
ドラえもんファミリーでは、誕生日が決まっているのは以下の3人。
・ドラえもん → 9月3日
・のび太 → 8月7日
・ジャイアン → 6月15日
スネ夫は作品の中では誕生日の話題が出てこないが、「公式」では2月生まれという設定。しずちゃんは、後述するが3回ほど誕生日の話題が登場するが、それぞれ発表月が異なっており、特定できない。公式設定では5月生まれということになっている。
本作も含めてしずちゃんの誕生日を題材としたお話は以下となっている。『ヨンダラ首わ』(1973年2月号)
『ろく音フラワー』(1975年8月号)
『しずちゃんの心の秘密』(1982年10月号)
需要が少なそうな不便グッズ「カミぬきミラー」
今日はしずちゃんの誕生日。のび太はお金がかからなくて、大喜びされるようなプレゼントはないかと思案している。するとドラえもんが「本人に聞けばいい」とひと言。
のび太はアッと驚かせたいと言うが、昨今ではドラえもんの考えの方が主流な気がする。サプライズよりも安定が今の世のマーケティング的トレンドなのだ。
そこでドラえもんは、本人に直接聞かずに本人の意見をしゃべってもらおうと、都合の良いことを言う。そしてそのためには、しずちゃんの一部分(つまりDNA)が必要であるらしい。
髪の毛を手に入れるために、ドラえもんが出した道具が「カミぬきミラー」である。これはミラーに相手を映し出して、その中に手を突っ込むと、相手の後頭部からその手が伸びて、気が付かれずに髪の毛を一本抜き取れるという道具。
便利なようだが、直接相手と会わなくてはならないので、少なからずバレるリスクはある。しかも相手の髪の毛を抜くだけの道具ということで、どれだけ需要があるのか不明だ。未来ではDNA(髪の毛)を相手に気が付かれずに採取するという道具にも需要があるのだろうか。
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DNAの藤子流説明
のび太が採取してきたしずちゃんの髪の毛。これを「アンケーター」という機械に入れる。DNAを使ってコンピューター上に疑似しずちゃんを作り出し、彼女に色々と質問をぶつけていくと、反応してくれるというもの。
本作ではDNAという言葉を使わずに遺伝情報についての解説を行っているので、ここを抜粋してみよう。
「体中の細胞にはどの一個をとっても、それぞれにその人だけの遺伝情報が含まれている。それはその人の顔形だけでなく性質や考え方などの基本になるものだ」
のび太は「説明はいい」と突っ込んでいるが、ドラえもんはしっかりと最後まで説明を終えている。こういった他愛のないお話でも、DNAなどの科学的説明を加えてくるのが藤子F流なのである。
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しずちゃんに欲しいものを聞け
「アンケーター」に映し出されたしずちゃん。さっそくどんなプレゼントが欲しいのか聞いていくのび太。まずはのび太から提案していく。
「おやつ詰め合わせセット」(ガム・チョコ・ビスケット・おかしめん、一ケ月の食べ残しを溜めたもの)
→ しずちゃん、嫌な顔
「雑誌付録大全集」(一年かかって溜めたもの)
→ しずちゃん、後ろを向いてしまう
反応が芳しくないので、質問を変えてみる。
「一番欲しい物は?」 → 電子オルガン
「二番目に欲しい物は?」 →素敵なドレス
「三番目は?」 → テニスコート
疑似しずちゃんなので、のび太の懐事情を無視した要望となっている。これにはすっかり困り果てるのび太であった。
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スネ夫やジャイアンのプレゼントとは?
のび太は「カミぬきミラー」を使って、スネ夫とジャイアンの髪の毛を採取し、彼らが何をプレゼントするのか敵情視察をすることに。
急いでスネ夫の家に向かうのび太にしずちゃんが「なんだか忙しそうね」と声をかける。するとのび太は、
「君があんまり贅沢言うから、苦労してるんだぞ!!」
と一方的に恨み言を返す。
すったもんだあって、スネ夫とジャイアンの髪の毛をゲット(諸事情によりジャイアンの髪の毛が大量)。それぞれどのようなプレゼントを準備しているのか。
ジャイアン・・・持ち歌100曲を吹き込んだカセットテープ。心のこもった世界に二つとない品らしい。
スネ夫・・・大人気トップスターの田之木彦彦のサイン。テレビ局社長と友人のパパから頼んで入手したもの。
ジャイアンのカセットテープはありがた迷惑だが、スネ夫のプレゼントはアイドル好きのしずちゃんは大喜びすることが予想される。のび太は「負けた」と白旗状態となる。
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しずちゃんの好きな食べ物ベスト3とは?
何とかスネ夫を上回るプレゼントを見つけ出さなくては。そこで、安上がりな食べ物に狙いをつけて、再度「アンケーター」でしずちゃんに質問していく。
一番好きな食べ物を聞くが、何やら様子がおかしい。
二番目に好きな食べ物は、チーズケーキ
三番目は、お寿司
一番目を教えたくないようなのだ。機械は嘘をついたり隠し事ができないはず。改めてドラえもんが一番好きな食べ物を問うと、コンピューターのしずちゃんは困った表情を浮かべる。
そして小声で答えているようだが、全く聞き取れない。そこでボリュームを上げると・・
「やきいも!!」
と恥ずかしそうに顔を赤らめて叫ぶのであった。そして、赤面のまま補足説明をする。
「前からいっぺん山のように食べてみたいと夢見てるんだけど――。イメージダウンが怖くて・・・」
ついにしずちゃんの本心を探り当てたぞ、と大喜びするのび太とドラえもん。この時、「デリカシー」とか「女心」という言葉を知っていれば、この後の悲劇を回避できたかもしれない・・。
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「しずちゃんと焼き芋」総まとめ
しずちゃんの大好物は焼き芋と知ったのび太とドラえもん。さっそく「日曜農業セット」で大量に焼き芋を生産する。
その夜、しずちゃんの家では誕生日パーティーが実施される。残念ながらしずちゃんの正面からの姿はわからないが、背中に大きなリボンを付けたドレスで着飾っている。
そんなしずちゃんに、のび太たちは「心ばかりのプレゼントです。君の大好きなもの!!」と、得意げに山盛りの焼き芋を差し出す。しずちゃん(機械)が語っていた「前からいっぺん山のように食べてみたい」という夢を叶えてあげたのだ。
機械のしずちゃんは、「イメージダウンを恐れている」とも口にしていたのを忘れてはいけない。どうやらこの後しずちゃんはプライドが傷つき、大激怒してしまったらしい。
帰り道、「どうしてあんなに怒ったんだろ」と、この期に及んでもしずちゃんの心情が理解できていないのび太であった。
なお、しずちゃんが焼き芋好きだというエピソードは、本作よりも以前に登場している。それが『かたづけラッカー』(1977年1月号)で、この時は部屋の中で寝転がって焼き芋を食べている。3本見えるので、一度にかなりの量を食べているようだ。
また、『あの窓にさようなら』(1978年11月号)では、庭で焼き芋を焼いており、しずちゃんはうっとりと満足そうな表情を浮かべている。
わざわざ「アンケーター」などを使わずとも、しずちゃんの好物は分かったのではないだろうか。
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「ドラえもん」の考察しています。
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