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片岡玉子の青春『ママのダイヤを盗み出せ』/ドラえもんミニ考察④

『ママのダイヤを盗み出せ』(初出:ママがなくしたダイヤ)
「小学六年生」1973年7月号/大全集1巻

ママの少女時代は貴重

以前にのび太のパパ(野比のび助)の青春時代を振り返る記事を4本書いた。今でも多くの方にアクセスしてもらっている人気記事である。

続けて、のび太のママ、野比玉子(旧姓片岡)の記事を書こうと考えていたが、少々時間が空いてしまった。

玉子は『のび太が消えちゃう?』でセーラー服姿の女子高生として登場し、のび助と偶然ぶつかって運命の伴侶と出会う。だが、それ以前の少女時代は今回紹介する一本のみの登場となっている。


ところでママは何歳?

連載が長期に渡っているため、パパの年齢の設定などは少しずつ修正が加えられているのだが、ママについてはバチっと年齢が定まっている。

それは『恐竜の足あと発見』という作品の中で、地質の年代を調べる道具『年代そくてい機』にてママの「地層」を測定すると、38年という結果となる。つまり、38歳ということだ。


失われた巨大なダイヤ

物置の隅から見つかったママの子供の頃のアルバム。ママはある1枚の写真を見て、「今思い出しても悔しい」と力を籠める。おばあちゃんに抱っこされている写真だが、おばあちゃんの指には巨大なダイヤが嵌まっている。

ママは今なら何千万円もすると言い、これが二人の怪しい男に盗まれたのだという。なお、単行本では何千万円としているが、初出誌では「何十万円」だったとのこと。この頃急速に貨幣価値が上がったので、反映したのだろうか?


ママの少女時代へ

ママによるとダイヤを取られたのは忘れもしない昭和23年7月10日だという。泥棒を追い払うためにのび太とドラえもんは、タイムマシンでその日へと向かう。

ちなみにパパが画家修業で柿原の所に出入りしていたのが昭和24年であった。ママがパパより少し年下ということはわかっているので、向かった先の玉子は小学校中学年あたりではないかと思われる。

昭和23年のママの家の近所に着くが、タイムマシンの出口が道路のマンホールのような感じとなっている。

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片付けられない女の子

到着してすぐに写真で見た少女・玉子が見つかり、後をつけていく。「まだ近眼になっていないんだね」などと会話をしていると、玉子に怪しまれて「なによあんたたち!」と大声を出されてしまう。ママは幼少期から強かったのだ。

玉子の様子を伺っていると、ママから「出しっ放しはいけません」と叱られている。繰り返し注意されているようで、玉子は片づけのできない女の子だったのだ。

大人になった玉子はのび太に対して「片付けなさい」と何度も叱っているが、かつて片付けなかったことで痛手を食っているので、ガミガミ言うようになったのだろう。


大胆な玉子

盗まれる前にダイヤを確保しようと、のび太たちはたんすの中からダイヤを探す。すると玉子に見つかってしまい、慌ててダイヤを置いて逃げ出す。玉子は「このダイヤは高いんでしょ」と母親に聞き、「ちょっとだけ今貸して」とダイヤを持って遊びに出てしまう。

高いとわかっていて外に持ち出すという大胆不敵な玉子・・。

玉子はダイヤを使ってお嫁さんごっこをするのだが、「黄金バット」の紙芝居がやってきて、ダイヤを放り出して見に行ってしまう。

戦後間もない頃、子供の娯楽は限られており、紙芝居は楽しみの一つであった。紙芝居を見た後は、駄菓子を買うのがワンセットとなっている。

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高価なダイヤの正体

玉子が放り捨てたダイヤをのび太は拾って、おばあちゃんの元へと届ける。片付けられない娘にお灸をすえるため、そのダイヤを持っていって欲しいとのび太たちに告げる。何千万もの価値があるかと思いきや、安物のガラス玉であったのだ。

玉子は日も暮れた空き地で延々とダイヤ探しをさせられる。「見つかるまで探しなさい」とかなり厳しいママである。玉子はあの二人組が取ったのだと思うのであった。

現代へと戻ると、ママが「紙芝居が来なければ」と悔やみ続けている。結局母親からダイヤの正体については教えてもらえなかったのである。


「ドラえもん」ミニ考察も続々。


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