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マジで包丁で刺される5秒前・・・/のび太絶体絶命①

久しぶりにドラえもんのひみつ道具にスポットを当てたお話をシリーズでお届けしたい。

皆様が薄々感じられているように、ドラえもんの道具には「これ必要なくね?」と言いたくなるような利用価値が全く感じられないものが多い。その中でも、「これ使うと死んじゃうんでは?」と疑問を覚える道具もある。

そこで今回から数回に渡って、使用したのび太が死にかけたひみつ道具を集めてみたい。シリーズ名は、ずばり「のび太絶体絶命」。のび太がいかにして死にかけて、いかにして生き延びたか。そのあたりをご堪能いただきたい。


『かならず当たる手相セット』
「小学四年生」1974年3月号/大全集3巻

本作で登場する「かならず当たる手相セット」は、基本的にハッピーな効果をもたらす道具だが、思わぬ地雷が潜んでいた・・・というお話。

スネ夫が女の子たちにテキトーな手相占いをしてチヤホヤされているところから始まる。しずちゃんの手を取って、「将来は大金持ちになって幸せな結婚をして108歳まで生きる」などと占っている。

その様子を見ていたのび太は「くだらない、調子いいこと言って女の子たちのご機嫌取って、バカみたい」と笑う。するとスネ夫がキレて、それならのび太の手相を見てやろうと言い出す。

スネ夫の占い結果によると、20歳でホームレス、30歳で病気になって、40歳で死ぬという。気にしないと豪語していたのに、スネ夫の嫌がらせのような手相占いによって、「生きる望みを失った」と泣きわめくのび太。

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この話を聞いたドラえもんは、「スネ夫の出鱈目なのだから、くよくよするな」と声を掛ける。気を取り直すのび太だったが、そこへホームレスのコスプレをしたパパが登場。会社の記念パーティの出し物らしいが、・・かなり趣味の悪い余興である。

「いつかいることがあったら貸すよ」と冗談を言われ、「不吉な運命の前触れだ」と言って、のび太は再び泣いてしまう。

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そこで、ヤレヤレといった感じでドラえもんが出した道具が「かならず当たる手相占い」である。クリームと筆と手相カタログという冊子の三点セットである。クリームで元の手相を塗りつぶし、カタログから気に入った手相を選んで、筆で書きこむのだという。

「こんなもの当てになるか」と疑念を抱くのび太に対して、テストページで実験をしてみることに。まずはドラえもんが自分の手に「金運の相」という手相を書き込む。すると、パパが今度はいつもの格好で現れて、ドラえもんにお小遣いを渡す。

本当は自分が貰うはずのお小遣いを取られて文句を言うのび太だったが、ドラえもんが同じ手相を書いてあげると、いつも気前のいいおばさんが現れて、お小遣いを渡してくれる。金運の相が当たったのび太。

そして、おばさんの娘のキイちゃんを預かって遊んであげることにするのだが、良かったのはここまで。このキイちゃんは、藤子A先生の「魔太郎がくる!!」の「悪魔のようなチビ」こと阿部切人に寄せたキャラクターとなっていて、この後の元凶の元となる・・。

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いつものように調子に乗ったのび太は、深く考えずに、手相カタログに書いてある手相を片っ端から手に書き込んでいく。すると、のび太が書き写したのは、「書いてはならぬ悪運の相」というページなのであった。

何でそんなページが必要なのかよくわからないが、のび太が書いてしまった手相は以下である。

①ぶつかり相
②なぐられ相
③落っこち相
④縄で縛られ相
⑤ナイフで突き刺され相

クリームを塗って消そうとするが、キイちゃんが「ポイ」とクリームを窓の外へ投げ捨ててしまう。それがそのままちょうど通りかかったトラックの荷台に乗って、運ばれて行ってしまう。

某ドラえもん系YouTubeチャンネルでは、「窓からポイ捨て」「トラックで運ばれる」点に注目した動画を出していたが、まさしくその典型的な一作である。


慌ててクリームを追っていくのび太は、ジャイアンにぶつかって、殴られる。これで①ぶつかり相②なぐられ相が当たった。このままではのび太は刺されてしまう。ドラえもんはクリームを取りに未来の国へ。

キリちゃんが「電車ごっこちよう」とロープを持って誘ってくる。泣かれるので仕方なく付き合うと、階段から落っこちてしまい、ロープが体に絡まって動けなくなってしまう。③落っこち相④縄で縛られ相も当たってしまう。


残されたのは、⑤ナイフで突き刺され相。もっともヤバイ手相である。するとキリちゃんが「縄を切ってあげる」と言ってナイフというか包丁を持ってきて、のび太の上に山乗りになる。

のび太、絶体絶命のピンチ!!

そこへ、間一髪、ドラえもんがクリームを持って現れて、何とか絶命の危機を脱出する。

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気を取り直して、出世して金持ちになる手相を書いてやろうとドラえもんが言うのだが、のび太は、

「手相なんか気にしているときりがない。僕なりに頑張ってやっていくよ」

と、急に前向きな姿勢を見せる。ドラえもんも、「偉い!」とエールを送るのであった。


『百苦タイマー』
「小学三年生」1978年4月号/大全集9巻

続けてもう一本。のび太がまたしても包丁で刺されてしまいそうになるお話。

セワシ君が登場し、ドラえもんと一緒にひみつ道具の定期検査を行っている。ひみつ道具は100カ月ごとに故障がないか調べるのだという。100ヶ月よいうと、8年以上だが、意外と長持ちする印象を受ける。

のび太はこの中から、勝手にタイマーのような道具を持ち出して一階に降りる。適当にボタンを押すと、チーンと音が鳴る。すると慌ててドラえもんとセワシが「えらいことをしてくれた!!」と言って飛び込んでくる。

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この道具は「百苦タイマー」という、百分間に百の苦しみに遭うというイカれた機械であった。わざと苦しい目に遭って、自分の心を鍛えるための道具らしいが、なぜこんなものをドラえもんが持っていたのだろうか。

この道具、一度動くと止められず、爆弾でも壊れない。そして後になればなるほど酷い苦しみが待ち受ける仕組みで、弱い人だと10回目くらいで死んでしまうという。まるで殺人機械である。


では、のび太の苦しみをダイジェストで見ていこう。

①ドラえもん・セワシに殴られる
②額縁が頭に落下
③ジャイアンにボコボコにされる
④工事現場で鉄骨が落ちてきて直撃
⑤タバコの火が背中に入って燃える
⑥車にはねられる

ちなみに⑤でタバコをポイ捨てしたのはフニャコ先生である。のび太が漫画のキャラクターでなければ、とっくに死んでいるような災難が襲い掛かっている。

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どこか安全な場所に・・としずちゃんの家に入ると、「お料理作っているの」と言って、包丁を持ったしずちゃんが現れる。そして何かに突き動かされるように、しずちゃんが包丁片手に追いかけてくる。

のび太、絶体絶命のピンチ!!(本日二度目)

「命ばかりはお助け」と懇願すると、「失礼ね」と言ってしずちゃんは去っていく。どうやら難を逃れたようである。


セワシ君が「百苦タイマー」を100年後の未来に持っていき、7番目以降の苦しみを100年先送りしたのであった。なお、今回、セワシ君を登場させた理由は、未来に百苦タイマーを持っていくためだということがわかる。


今回は2作紹介したが、のび太が絶体絶命のピンチに陥る道具は、まだまだこんなものではない。どうぞ次回もお楽しみに。


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