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cocono fest.とハナレフジ

10/13には2本のライブをハシゴした。良い歌ばかりの1日。

cocono fest.2018
九州内の音楽好きの有志が集まり、2015年からスタートしたフェスティバル。会場のさいとぴあはシンプルに公共施設で、図書館を通常オープンしてる建物の、第一会議室(こちらも、いわゆる公民館のホール)にて開催されるという、かなり異質なイベント。ですがブッキングのセンスは抜群。耳が早いリスナー目線なチョイスで、歌モノ中心なメンツはどストライクでした。

11:30- めぞんド山口
AppleMusicにも入ってる1st音源がハンパない仕上がりで。映画「PARKS」に出てくる、森岡龍と石橋静河と柾木玲弥がやってたバンドみたいな、60sな世界観を持った音楽。と思いきや「哀しきシャバドゥビ」で突然ガールズポップめいた早口を放り込む遊びもあり。ベースの子が高校の同級生だったんだけど、パッと見で確証が得られなくてライブ中じっと観てたら向こうも気づいて後から話しかけてくれました。ほんとライブ会場って人間交差点だな~。
めぞんド山口『けやき通り』

12:00- ベランダ
京都の若手注目株。甘くどこか気の抜けた歌声と、生活から零れ落ちてきた情景をそっと掬う詞世界、流麗なメロディという、日本語ロックの王道を走るに相応しいアドバンテージ。昼間から感傷的になりすぎて、もう帰っちゃおうかと思わせるほど、しっぽりとしていて良かった。音源では朴訥とした印象が強かったけど、ライブではギタリストのアクションが激しくてびっくり。跳ね回りながら、そっとコーラスを添えるベーシストの女の子もめちゃ良かった。
ベランダ『Anywhere You Like』

13:00- Lucie,Too
宇都宮の3ピースガールズバンド。J-POP的なアレンジも可能な、人懐こいメロディでありながら、どこかローファイでインディー感たっぷりな演奏というバランス。たぶん全然狙ってやってない感じがすごく良い。声質も、あざとさゼロの無添加なプレーンさが丁度良い。文化祭会場みたいなホールだったから、"地味目だけど可愛いと一部のオタク層から人気の同級生女子3人がこっそり組んでたバンドを陰ながら見守る僕"みたいなストーリーが生まれた。
Lucie,Too『LUCKY』

14:05- MADE IN HEPBURN
Suchmosと全く同じメンバー構成の6人組。アジカンのゴッチにもアルバムを期待されている、福岡の最前線に居るバンド。野外フェスで観たときは、ライブ中に観客にビールを振る舞う奇行もあってか、パーティー野郎なイメージだったのだけど、今回は屋内ということもあってじっくり浸れるメロウな時間を作り上げてた。メインステージのバックスクリーンには星空を模したライトが点滅してるのだけど、それも相まってムードたっぷりだった。

15:05- ズーカラデル
北海道の3ピースバンド。バンド名のセンスめちゃ良いから、てっきりおしゃれ系かと思いきや、最近いないタイプの直情的で泥臭いロックンロールをたたきつけてくれた。だけど、破滅的なのではなく、繊細な感情をありったけの力強さで歌う在り方に心震えた。「アニー」は一大アンセムとなり得る、ぐっしゃぐしゃになりながらサビを大合唱したい。新時代の「BABY BABY」か、はたまた「青春狂騒曲」か。男の子に必要なバンドになってくれ!

16:10- yound
福岡のローカルバンド。まだ活動歴はそこまでないのに、既に完成された、"ヨレ感"と"褪せ感"。風合いがすごく良くて、歌に哀愁が宿ってる。男女混成だし、どうやらメンバーの年齢層も結構バラバラっぽく、その人たちが合唱するように声を合わせて歌うのがとても楽しげで良かった。正直、前まではメジャーでイケイケなバンドのほうが洗練されてて好きだったんだけど、最近は地方でもこんなかっこいいバンドがいるのか、と。絶賛開拓中です。

17:05- ナードマグネット
大阪の会社員バンドながら、既にインディーシーンでのリスペクトは特大級。僕はこの時間で離脱しなきゃだったので、トリとして楽しみまくった。歌で沁みるバンドが多くラインナップされてたけど、彼らはもう歌いまくってブチ上がる感じ。ナードの悲喜こもごもを、凄まじいエナジーで発射するパワーポップは、ずっと前から自分が知ってるフィーリングを形にしてくれたようで、きゅんとなってしまう。「THE GREAT ESCAPE」にある「全部くだらない くだらない」というフレーズ、ほんとそうなんだけど、薄く光る希望がちゃんと見えるのがたまらなかった。

SETLIST
1.アップサイドダウン
2.BOTTLE ROCKET
3.プロムクイーン
4.C.S.L.
5.FREAKS&GEEKS
6.Mixtape
7.THE GREAT ESCAPE
8.ぼくたちの失敗


**18:00- ハナレフジ LIVE TOUR“宝船”~僕らはすでに持ちあわせている〜@福岡DRUM LOGOS
**
大急ぎで向かう電車の中で、僕の大好きなでんぱ組.inc夢眠ねむの芸能界引退が発表され心グラッグラの状態でライブへ向かう羽目になりましたが、、、結果としてほんとに疲労感に負けずやってきて良かったと思えるライブだった。

到着した時に、レゲエ調でフジファブリックの「虹」が歌われてていきなり面食らった。ハナレグミ永積タカシと、フジファブリック、そしてドラマーBOBOという5人編成のハナレフジ。想像してたのは、ハナレグミとフジファブリックの曲を、山内総一郎と永積崇が交互に歌い合う、くらいのものだったけど、結論から言うとそんなレベルじゃなかった。何が飛び出すかは分からないと銘打たれていたけど、その前振りを次々と超えていく2時間半。

例えばハナレグミ「Jamaica Song」で歌われたメロディラインを、次の曲のフジファブリック「透明」の中にも織り交ぜて歌うサンプリングのようなアレンジ。「透明」で静かに語った旅立ちの決意がふっとジャマイカ方面にまで届いてるような気分にさせてくれた。そしてフジファブリック「LIFE」の間奏をトラックにして、永積タカシがラップを披露→「今夜はブギー・バック」のフレーズを引用してから、「ダンス2000」と「FUNKYウーロン茶」のメドレーに繋げるという驚きのパフォーマンス。それぞれの楽曲を用いてとことん遊んでやろうという心意気が凄まじい。

またアコースティックコーナーではその場で思いつきで楽曲を披露する時間も。「GOLD FINGER'99」というまさかの選曲で、山内総一郎のジャケットプレイが飛び出したり、と思いきや永積タカシが歌う「ブルー」で夏の終わりに思いを馳せたり。とにかくこのパートはトークの尺がどうかしてるくらい長くて、どんどん脱線を続けていき、爆笑に次ぐ爆笑に満ちた時間でもあったのだけど、歌い出すと瞬間で空気を変えてしまうものだから感情の揺れ幅がとんでもなかった。

終盤にはSUPER BUTTER DOGの曲や、フジファブリックの必殺ナンバー「銀河」も飛び出し、狂騒の渦を巻き起こした後に歌われたのは「若者のすべて」。今となっては本当にたくさんのアーティストがカバーするナンバーとなったけど、やはりフジファブリックの演奏で、志村正彦とも親交のあった永積タカシが歌う説得力にはかなわない。「途切れた夢の続きを取り戻したくなって」とは、まさにこのハナレフジの存在そのものを称えた言葉のように聴こえて仕方なかった。

ラストに披露されたのは「宝船」。僕は聴けなかったのだけど、1曲目には同じ曲のアコースティック版が披露されていたらしく。ひとつのライブでこういう遊び方できるのもそれぞれ15、25周年を迎えるフジファブリック、ハナレグミの円熟味ゆえか。しかし中盤で演奏されたもう一方の新曲である「むじな」では、シンセベースを取り入れたどちらにも新機軸な楽曲だったり。ハナレフジという新バンドを組んだことで、新たな風が吹き始める一面でもあった。

アンコールでは、有無を言わせぬ名曲「サヨナラCOLOR」で涙腺を揺らしたのち、フジファブリックの新曲「Water Lily Flower」で緊張感のある切なさと、本編にはなかった一面を隅々まで見せてくれた。そしてシメは「明日天気になれ」。「縁起が良い」というワードを口にすることが多かったこのライブを日常にパスするのに相応しい選曲。何の根拠もないけど、なにかいいこと起こりそうな予感がいっぱいだった。

SETLIST
1.宝船(新曲)
2.音タイム(ハナレグミ)
3.虹(フジファブリック)
4.Jamaica Song(ハナレグミ)
5.透明(フジファブリック)
6.電光石火(フジファブリック)
7.むじな(新曲)
8.GOLD FINGER'99(郷ひろみ)
9.ブルー(フジファブリック)
10.家族の風景(ハナレグミ)
11.ホーランド・ロップ(フジファブリック)
12.メドレー
・LIFE(フジファブリック)
・Peace Tree(ハナレグミ)
・今夜はブギー・バック(小沢健二、スチャダラパー)
・ダンス2000(フジファブリック)
・FUNKYウーロン茶(SUPER BUTTER DOG)
・ダンス2000(フジファブリック)
13.コミュニケーション・ブレイクダンス(SUPER BUTTER DOG)
14.セ・ツ・ナ(SUPER BUTTER DOG)
15.銀河(フジファブリック)
16.若者のすべて(フジファブリック)
17.宝船(新曲)
-ENCORE-
18.サヨナラCOLOR(SUPER BUTTER DOG)
19.Water Lily Flower(フジファブリック)
20.明日天気になれ(ハナレグミ) 

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