オナラことわざ辞典__8_

【オナワザ】#8 自称インフルエンサー

「(自称)インフルエンサー」

これは私が最近見た肩書きの中で最も愚かなものです。
愚かすぎて、少しおだやかな感覚すら覚えます。ほっこりします。

街中で大げんかをしている人や、店員に突っかかるおじさんを見ると逆に冷静になるでしょう。
それと同じですね。


ではもっとおだやかになれるよう、この肩書きに付きまとう矛盾を順番に紐解いていきましょう。
矛盾は全部で3つあります。

1.インフルエンサーは過去形である

まず、そもそも「インフルエンサー(influencer)」というのは結果ベースで定義されます
「影響(influence)」を与えることが出来たから、その実績があるから「インフルエンサー」と呼ばれるのです。

つまりこれは「過去形」の概念なのです。

かつて影響を与えたからその時の彼がインフルエンサーであり、今はどうか分からない。
もし彼がこれから発する言葉に影響される人が多くいたとしても、それは影響された人がいなければ証明されません。

それにも関わらず「僕はインフルエンサーです!」と名乗るなんておこがましいことこの上なしです。
選挙に出馬している代議士が「当選確実!」と掲げていたらイラっとするでしょう?そういうことです。


2.インフルエンサーは他者評価で成り立つ

そもそもこの概念は「自称」すること自体がおかしいのです。
「インフルエンサー」というのは文字通り「影響を与えられる人」ですが、並大抵の影響力では成り立ちませんよね?

何人に影響を与えればいいのでしょうか?
それはどんな影響であるればいいのでしょうか?

例えば友達10人に吉野家の美味しさを伝えて、その日全員に吉野家を食べさせた人はインフルエンサーでしょうか?
天気予報をRTして、数千人に傘を持たせた人はインフルエンサーでしょうか?

そう、明確な基準はないのです。

だからこそ別の誰かが「あの人はインフルエンサーだ」と評価をして初めて、その人やその意見に同意した人の中で「インフルエンサー」という肩書きが成り立つのです。
自称して良いのであれば、今日ウマそうに午後の紅茶を飲んでいた目黒駅のオジさんは私にとってインフルエンサーです。そんなもの、肩書きとしては成立しませんよね。


3.「影響」そのものに価値は無い

インフルエンサーってそもそも何をする人だと思いますか?
商品をオススメする人?金言をくれる人?

具体的な名前をあげればまだイメージできるかもしれませんが、肩書き単体では全く意味を持たないことがお分かりいただけるかと思います。
つまり「何の(what)」がそっくり抜け落ちているのです。

同じような肩書きをあえて作るとすれば
・レスポンサー(何かのレスをする人)
・リツイーター(何かをリツイートする人)
・タイピンガー(何かを入力する人)
などでしょうか。

この職業に意味ありますか?
ありません、なぜなら目的がはっきりしないから。

要は「何の影響を与える人なのか」が決まって初めて成り立つのです。
つまり「インフルエンサー」という言葉だけで成り立つ肩書きでは無いと。

単に「インフルエンサー」と名乗るのは方向性が定まっていないことをひけらかしているに過ぎません。
もしくは詐欺まがいの影響を与えるからおおっぴらに言えないのか。

そのどちらかです。


要するに本当に影響力がある人は「インフルエンサー」などと名乗らなくても、影響を社会に及ぼし続けるのです。
本当に偉い人が偉そうにしないように。


というわけで、本日のことわざはこちらです。

自称インフルエンサー

【意味】
主張だけが強くて実体を伴わないもののたとえ

【例文】
ロクに働きもしないのに豪邸に住んで美人と結婚したいだなんて、自称インフルエンサーだね君は。身の程を知った方がいいよ。

サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。