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中国の「麺」

 何を隠そう、私はラーメンが好きだ。ラーメンが好きだから中国に住んでいる訳ではないが(むしろそんな人いるのか?)、一般的な定義からして「ラーメン好き」と呼んで頂けるレベルぐらいはあるのかな、と自分でも思う。スープや麺を自作した事まではない。それは一線を越えた先の段階だと思う。

 こちらに来たばかりの頃、中国で食事をしていてよく指摘されたが、棒状の食べ物を大雑把に「麺」と表現するのは日本人の悪い癖だそうだ。中国では例えば米の細い麺は「米线(ミーシエン)」、緑豆の麺は「粉丝(フェンスー)」、小麦で打った麺でようやく「面(ミエン)」と、麺の原材料ごとに名称が異なる。中国人の頭の中ではどうやらこれらの概念が全く異なっているようで、食事の席で粉丝(緑豆製)を指して「そこの面とって」と言っても「?」という顔をされた後に「意味は伝わるけどね……。」と優しく注意される。

 上の写真は、西南の山の上の都市昆明のホテルでルームサービスをとった「米线」(コメ)。フォーもコメの麺だけど、中国の米线の方が柔らかい。これは塩ベースのスープで旨かった。日本人的にはどう見ても「メン」だけど、これを「メン」と呼ぶと優しく注意される。納得がいかない。

 こちらも同じく昆明の「米线」(コメ)。見た目辛そうだけど、そんなに辛くない。スープを飲むとお腹を壊すのでスルー。この赤い汁の米线にはミントを入れて食べるそうな。昆明は非常に空気が綺麗な街、松茸と米线が有名(適当)。出張中にたまたま1日フリーになった日があったので、ホテルで仕事しながらたまに外をフラつきながら目に入った店で米线を食べるという、今思えばなんとも贅沢な1日だった。

 下のは「面」(小麦)。成都の担々麺。本場の四川担々麺の麺は、カップヌードルとかカップ焼きそばとかに近いチープな見た目とチープな歯ごたえが魅力。日本だと辛いごま系のスープに入ったものが多いけど、四川のは汁なし。山椒で刺激を出す感じ。完全なるB級グルメだけど、完璧に美味い。

 麺っぽいものであればひとくちに「麺類」とくくる日本語に対して、中国語は意外と意固地。食材や調理、成形方法など、モノの持つ性質と漢字とが古くからセットで定義づけられているものが多く、「やっぱり昔から食べる事に対する執着が違うんだなぁ……」と感心するばかりである。

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