2022.4.3 大きな流れの中の陰と陽(ホタルイカ漁のもの想い)

 ホタルイカの身投げは、特定の時期にだけ、世界の中でも富山湾でのみ観察される現象である。春先に富山湾の浜に、ホタルイカが集団で飛び出して死んでゆくのである。松の木の麓に打ちあがって死んでいくことから、地元ではホタルイカを “マツイカ(松の栄養素になるイカ)”という別称で呼ぶそうである。

 このホタルイカの身投げの原因は解明されていないそうであるが、この現象に対するひとつの仮説として、ホタルイカというものやその生態のみにフォーカスするのではなく、もっと大きな自然全体の視点で見たときに、あそこ(浜辺)でホタルイカが打ちあがって来て大量に飛んで死んでいくことで、海の中にあるエネルギーを山に転化させる、といった氣の流れを司っている(自然が自然を整えている)可能性は大いにあるのではないかだろうか。大局的な陰陽のエネルギーや、人間の肉眼では捉えられないレベルの現象の動きである。

 だから、つまりイカが子孫を残すかどうかというレベルじゃなくて、「あの場所で、あの現象が起きないと、地球全体や地域のエコシステムに影響が出る」という話。しかし、人間が乱獲していくと土地にも栄養が還らなくなる。その栄養というのが、イカの体が朽ちた養分的な話はもちろんのこと、海の陰と山の陽の調和までも担った役割レベルでの養分である

 大きな流れの中で、卵を産むわけでもないのに、「なぜホタルイカが身投げを?」という長年の謎に対するひとつの説明がつくのではないだろうか。

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