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プロジェクトメンバー 対談 【 仁田坂和夫さん・村田尚武さん 後編 】

みなさん、こんにちは。「石神井いとなみの起点」プロジェクトの竹内(デジタル・アド・サービス)です。

石神井いとなみの起点プロジェクトは、2026年春、東京・石神井に新しく生まれる福祉の拠点(設置主体:社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会)をベースに、東京・都市部の抱える課題の多様性と絶対量に向き合いながら「基本となる福祉事業」と「みらい創造型拠点事業」そして、その2つの融合で、誰もがあたりまえのいとなみを続けていくことのできる地域づくりのモデルとなっていくことを目指すプロジェクトです。

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#01:はじめまして「石神井いとなみの起点プロジェクト」です!

プロジェクトが動きはじめて約1年ちょっと。その歩みをふり返りつつ、社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会 事務局長、そして、石神井いとなみの起点プロジェクトのリーダーである仁田坂和夫さんに、デジタル・アド・サービス 村田尚武 代表取締役社長がお話しをうかがいいました。#07と#08では、前後編の2回にわけてその模様をお伝えします!

▶︎ 前編はこちら
#07:プロジェクトメンバー 対談 【 仁田坂和夫さん・村田尚武さん 前編 】

後編は、仁田坂さんのプロジェクトやチームとの向き合い方、チャレンジを続ける動機などについてのお話しです。


右:仁田坂和夫さん 社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会 事務局長/常務理事
左:村田尚武さん 株式会社デジタル・アド・サービス 代表取締役社長

1. 原体験をアップデートできるか

村田:「本気で関わってくれる人が増えれば増えるほど、そこに問題も生まれてくる。それを良しとする場所」というお話し(#07 前編より)がありましたが、一方で、この問題が生み出され続ける、一定のかたちのないプロジェクトを、リーダーとして続けていくっていうのは、相当胆力がいるかなと思うんですけど、持続可能なプロジェクトであるために、意識されてることとかはありますか?

仁田坂:やっぱり居心地のいいチームっていうか、いろいろな人に気軽に参加してもらえるものであるように、そこをまとめて俯瞰している立場じゃないですか、今。それは、誰かがまた担っていく必要があるけど、答えがないんですよ。その人のやり方っていうのはあると思いますけど。でも、この場が生み出していくんじゃないですかね。

持論なんですけど、社会人になって働く最初の会社で学んだことが後までついて回るんですよね。僕は最初、山梨の法人で10年いましたけど、施設の開設準備を2年近くやらしてもらって、開設してから3年ぐらいの間がもう、ひっちゃかめっちゃかだったんですけど、そこで学んだこと、伝えられたこと、施設長が教えてくれたこととかが、今も僕の原体験、コアなんですよね。だから、石神井いとなみの起点で体験して、それが自分にとってかけがえがないなと思った職員が、やがて中心になっていくんじゃないかな。

最近、リスキルという言葉がよく聞かれるけれど、本当のリスキルは、原体験をアップデートできるかどうかだと思うんですよ。原体験って、ときに成功体験としてすがって、頑固になってしまうこともある。そうすると、せっかくいい体験だったのに周りの人に共感を得られない。年とともになってくるんですけど。例えば僕でいえば、社会人の最初の3年くらいで経験したコアとなっていることから、恩方育成園すだちの里すぎなみひだまりの里きよせであったりを通過して、原体験をアップデートして、変化しながらここに来ている。それが僕にとってのリスキルなんですよね。

2. 課題があるということは、何か解決できる術があるんじゃないか

村田:これまでいろんなお仕事をさせていただいて、今回もそうなんですけど、常に、私の言葉で言うと挑戦、チャレンジをされているなと印象です。新しいこととか、こうするともっと面白いよねとか。常に問題を生み出して、常に問題と向き合い続ける。チャレンジとか自分を変えていくリーダーシップの原動力みたいなものって何なんでしょう?

仁田坂:面白いからですよ。もう単純にそれだけ。こんなに施設づくりとか立ち上げとか、新しいものをやることに出会い続けるって、あまりないと思うんですよ。都育成会でいえば、人事異動で施設を移って、主任になりました、係長になりましたってキャリアアップをしていく、それが普通で、全然悪いことじゃないし。僕の場合はキャリアのなかで、たまたま何かをつくるプロジェクトに呼んでもらえて、出会っているっていうのがあって、すごい恵まれてるんですよね。

でも、100パーセント、そういうのも最初は断るんですよ。そのときいる場所で、自分なりに次はこれ、その次はこれってもう、着実に思い描いてるんですよ。そこから引き剥がされることになるわけで、絶対嫌ですと。でも、提案されるでしょ。そうすると、いろいろ考えるわけですよね。これはどうして僕なんだろうって。もう1人の自分が、君にはこういう世界もあるんじゃないの?みたいなことをつぶやくんですよね。それで、あれ?と。やる気、出ちゃったりするんすよ。課題を見つけてしまうんですよ、そこで。

村田:今の話しを聞いて、だからこそ、課題が常に出続けるところで、それと向き合っていけるんだろうなと感じます。

仁田坂:やっぱり課題があることじゃないと動機にならないじゃないですか。考えられないじゃない?課題があったり問題があるということは、やっぱり何か解決できる術があるんじゃないかなとか思うんですよね。

3. 仲間と一緒に楽しく乗り越える

村田:さっき、居心地のいいチームという言葉がありましたけれど、何か解決していくこと、進んでいくことっていうものをとてもポジティブに捉えて、楽しんでやられている。

仁田坂:楽しくないと解決するのがつらいじゃないですか。ああ終わった、良かっただけになっちゃうから。それだったら、こんなに難しいというか、こんなにハードルの高いことがあるけど、一緒に乗り越えませんかっていうのはある。それが仲間とやりたいいちばんの原動力ですよね。

もともと自分で野外活動とかをやっていて、体験型のイニシアチブゲームとかしょっちゅうやるわけですよ。「こういう所を乗り越えます。5人で一緒にどうやってやりますか」みたいなことを。それ、楽しいの知ってるから。だから、仕事も絶対そうやってやったほうが楽しいって思ってるんですね。声をかけて断られることもありますよ。でも、断らない人も時々いるんですよ。その人たちとやる。断る人を無理には引き込まないです。

村田:改めて、課題の多様性と絶対量があるなかで、それに向きあって楽しく乗り越えていこう、それをできる場所、チームでありたいねっていうメッセージ、価値観を感じましたし、場のデザインなどでもすごく表現されていますよね。

仁田坂:本当に、設計チームの見える化してくれる能力が高いなと思っています。それを一つのかたちにすると、これなんですよ、どうですかって言われたときに、もう、うわーっと思うじゃないですか。その喜びは本当に何物にも代えがたいですよね。

4. やろうとしてることを、見せていくこと

村田:ちょっと違う質問なんですけれども、今回noteで発信を続けていこうっていうことで。何ができましたとか、完了しましたっていうところじゃなくて、なぜこのプロジェクトが立ち上がったのかっていうところから、まだ建物も全然できなていない段階からのプロセスとかも伝えようとしています。「誰もがあたりまえのいとなみを続けていくことのできる地域づくりのモデルとなっていくことを目指す」ということを考えているプロジェクトですけれど、このプロジェクトのプロセスを広く発信していくことの意味とかをどんなふうに考えていらっしゃいますか?

仁田坂:ちょっとどきどきするじゃない?プロセスを開示するっていうのは。生煮えであったり未完成なものを人に見てくださいって出すのって、ものすごく。もう少しちゃんとしたかたちになってからまとめて出そうっていうのが、普通、人情だけど。

でも、実験的でいいなと思って。発信に対して、意見ももちろん出てくるでしょう。「これ、本当にあるの?」とか言う人もいるかもしれないし「これ、なんか良いよね!」っていうきっかけになるかもしれない。まさに僕たちがやろうとしてることを、見せているのがこれでしょ?プロセスをさらすっていうのは。

村田:怖さもありますよね。

仁田坂:怖さはある。10人のうち8人が共感しないようなことが出ちゃうかもしれないけど、それは修正していくということ。それを出すっていうのは勇気がいりますよ。ここでも、情報発信っていう提案がされたときに、問題が投げかけられてるわけじゃないですか。思案するわけですよ。どうなの?とかって思うけど、やっぱりちゃんと考えて、よしやろうって腹を決めて。見てもらうことでみんながヒントを得たり、ちょっと元気になれれば。もしかしたら、渋谷でこんなことが始まるとか、千代田区でこんなことが始まるとか、次の動きへの起点になれるのかなって。

それと、プロジェクトのメンバーも全員がずっと深く関わっていられるわけではなくて、次の仕事へ移っていけば、それが普通にいそがしくなるけど、やっぱり必要なときに声をかけられるような関係性の人がたくさんいるということが重要だと思っています。

村田:こういう発信のベースがあることで、プロジェクトチームとしてゆるくつながり続けていけるし、これから出会っていける人もいますね。

仁田坂:それが大事。同じ施設とか障害の仕事をしていれば、いろんなところで、ときどき会うけれど、違う業界の人とかって、プロジェクトがなければあんまり出会うきっかけはないから。課題があって、出会って、つながっていくということをやはり大切にしたいなって思っています。

✍️ 次の記事では、ロゴデザインを手がけたプロジェクトメンバーへのインタビューを予定しています!
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🌱 このnoteでは、こんなコンテンツを展開していきます!
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・VISION:中⻑期の視点でのプロジェクトの考えや思いを伝える
・TEAM:インタビューや対談で、プロジェクトの⼈を伝える
・ACTION:プロジェクトでのリアルな活動を伝える
・FIELD:⽯神井のまちとそのいとなみを紹介する
・LAB. :学術機関や企業との共同研究からの学びをシェアする
・STORY:ここで生まれるいとなみを想像し、言葉や絵で表現する
・MEETING:プロジェクトを通じて出会い、つどい、つながる
・PICK UP:思考や対話の起点となる視点を共有する

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