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ロシアW杯で盗難に遭い、現地警察に8時間取り調べられた話 ~その1~

~この話3行で言うと?~
去年、ロシアW杯を見に行ったら、財布スられて警察沙汰/
被害届すぐ終わると思いきやナンダカンダで8時間警察のお世話に/
最終的にロシア警官に”My Friends”って呼ばれるようになったよ

~本編はじまり~
 1年ほど前になる。北の果ての国、ロシアにて私の身に起きた災難を、今、改めて戒めとして記録に残そうと思う。
 2018年6月、サッカーW杯が開幕し、日本でも盛り上がりつつあったあの頃、W杯期間中は観戦チケットがあればノービザで行けることを知った私は、せっかくの機会なのでと家族・友人らとともにロシアへと向かった。観戦予定の日本×コロンビア戦の少し前から入国し、サンクトペテルブルク・モスクワを巡って美術館や教会などいわゆるザ・観光巡りをしていたのである。
 そんなロシア旅行真っ只中の忘れもしない6月17日、モスクワ市内アルバート通りのスターバックスでアイスコーヒー等をテイクアウトした我ら一行は、次の観光スポットまで徒歩で移動を始めた。
 北の国は日の入りが遅く、18時過ぎでもまだ昼間のように明るいアルバート通りはW杯期間中のためか歩行者天国のようになっており、仮面をかぶり怪しげな路上パフォーマンスをする集団や、某D社を敵に回すようなネズミキャラ姿の被り物をした人など、様々な人が行き交い、ゲリラ的な催し物が繰り広げられていた。何やら異様な雰囲気を感じつつ、あたりを見渡していると、昼から空いているバースタンドの店外喫煙スペースには、上半身ワイシャツ一枚、下半身は何も履いていないように見える若い女性が喫煙している姿が。さすが大国、大胆な人もいるものだなあと鼻の下を伸ばしていた矢先、なんとなく気になって背中に回していたボディバッグを確認したところ・・・、バッグが大きく開いている。そして、中にあったはずの財布がない。落としたのかと少し道を戻ったが財布はない。5分ほど来た道を行き来し、最後に財布を使った記憶のあるスターバックスにも確認したが落し物は無いようだ。ここで、ようやく気付いた。――これは、やられたと。
 一緒に行動していた仲間に先にホテルに帰ると告げて奥さんとともに帰室。財布の中に入れていたのは少額の現金(2000ルーブル程度)とクレジットカード3枚、そして日本の運転免許証。幸いパスポートとサッカーチケットは別の場所に入れていたので難を逃れた。
 問題は、スマホはレンタルwifiルーター運用のみで現地での電話連絡が取れなかったため、ホテルに併設された現地simショップでsimカードを購入。現地電話番号を取得し、今回頼んだツアー会社の現地コンダクターに電話して財布をすられた旨を報告。さらに失ったクレジットカード3枚の発行会社に国際電話をかけて、すぐにカードを止めてもらうようお願いした。1枚目、2枚目のカード会社はすんなり行ったのだが、3枚目のカード会社に電話したところ「30分前にカードの使用履歴があります」と。まさか。時計を見ると19時過ぎ。盗難にあったのはわずか1時間前。「いくらですか?」「16万円です」――やられた。
「どうすればいいですか?」
「盗難被害なのであれば、この利用履歴は一度、調査という形に入らせてもらい、盗難被害が認められれば請求を止めることができます。そのためには現地で被害届を提出して、写しをもらい、サービスセンターに提出してください」
 これは面倒なことになったと思いつつ、少し旅先のハプニングに心躍らせている自分もいた。まだこの時は。
 ひとまず、現地コンダクターに連絡し、被害届の出し方を教えてもらう。
そのためには、スモレンスカヤ駅から徒歩10分程度の外国人対象の警察署に行き、取り調べを受けてくれとのこと。ホテルから20分ほど先の場所だ。すぐに終わるだろうとタカをくくった私は、ホテルに戻ってきた仲間と合流し、少しご飯を食べてから、警察署へと向かった。不安なので奥さんにもついてきてもらったのだが、これが後に功を奏することになる。

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その2
その3
その4

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