#161 関東と関西のうどんのつゆはなぜ違う?

関東の味付けは濃くて関西は薄い。とくにうどんのつゆは、関東は醤油をベースとした濃い味付けの黒いつゆだが、関西は昆布だしをベースとした薄い色のつゆである。なぜ関東と関西ではこのような違いが生まれるのか。
カップうどんでも関東と関西でスープの味を変えているほど、その違いは日本人にとって当たり前のものとなっている。

なぜ関東と関西でこのような違いが生まれたのか。
理由のひとつとして、関東では昆布だしが普及しづらかったことがあげられる。まずは「水」だ。火山灰が堆積した関東ローム層から得られる水は、ミネラル分を多く含むため、昆布からだしが取りづらい。それに対し、粘土質の土壌が多い関西の水はミネラル分が少ないため比較的だしが取りやすいのである。

つゆの違いには歴史の影響も大きい。江戸時代には北陸を中心に北海道から下関~大阪をつなぐ西廻り航路と、津軽海峡を回って太平洋側を江戸へつなぐ東廻り航路が発達した。しかし、太平洋側を進む東廻り航路は黒潮に逆って船を進めなければならず、次第に西廻り航路が優位になっていった。北海道でとれる昆布は西廻り航路を通じて関西圏には大量に運ばれたが、江戸へはあまり運ばれなかったのである。
その結果、関西圏では昆布からだしをとる食文化が定着し、江戸では千葉などで生産される醤油をベースとした濃いつゆの食文化が定着したのである。

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【参考】


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