#108 インドの未確定国境とは?

インド北部には2つの未確定国境がある。

1つは日本の本州と同じくらいの面積があるカシミール地方である。カシミール地方は、インド、中国、パキスタンが分割統治する形となり、紛争が絶えない地域となっている。
1947年のインド・パキスタンの独立時、2国はカシミール地方の領有をめぐって戦争を行った。カシミール地方はイスラム教徒が多かったためパキスタンへの統合を主張していたが、国王がヒンドゥー教徒だったためインドへの帰属を決定し、イスラム教徒とヒンドゥー教徒が激しく対立したのである。これが、第一次印パ戦争である。1949年、国連の調停によって停戦が行われたものの、その後2度にわたって激しい戦争が勃発した。近年では、インドがイスラム勢力のテロの被害を受けたことをきっかけにパキスタンを空爆して被害が出たことから、カシミール地方でも緊張状態が続いている。

2つ目は、インドの北東部にあるアルナーチャル・プラデーシュ州だ。

西はブータン、東はミャンマー、北は中国のチベット自治区に接する地域で、現在はインドが実効支配している。現在引かれている点線は1914年にチベットとイギリス領インドの間で取り決められた国境線で、交渉を行ったイギリスの外交官マクマホンにちなんでマクマホンラインと呼ばれている。中国は、チベット民族がラインの南側にも分布していることから、中華民国の時代からこのラインに同意していない。1962年には中印国境紛争とよばれる武力衝突にまで発展した。この戦争を機に中印の国交は断絶したが、1976年には国交を回復した。

しかし、2つの地域をめぐる対立は現在でも続いており、これら2つの地域の国境は日本では未確定国境とされている。

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