#285 季節風はなぜ風の向きが変わる?

東アジアから南アジアにかけての気候に大きな影響を与えている季節風(モンスーン)。

夏は海から大陸に向かって、冬は大陸から海に向かって風が吹き、熱帯地域には雨季と乾季を、日本を含めた温帯の地域には四季をもたらす。

なぜ季節風は夏と冬で風の向きが180度変わるのだろうか。

そもそも、風の吹く仕組みを見てみよう。

風は、下降気流がある場所から上昇気流がある場所へと向かって吹く。
暖かい場所で上昇気流が発生しやすいため、より暖かい場所からより冷たい場所に向かって風が吹く。

次の実験動画を見ると分かりやすい。

つまり、季節によって風向きが変わるということは、季節によって暖かい場所と冷たい場所が入れ替わるということだ。

キーワードは「大陸」と「海」である。
大陸は海よりも温まりやすく冷めやすい性質がある。

真夏のプールサイドを想像すると分かりやすい。
プールの水は冷たい水道水を足さなければ真夏はぬるま湯になる。
それに対し、プールサイドは材質によっては長くその場にいるのもむずかしいほど熱くなっている。

プールサイドを冷やすために教員がコーンでプールの水を撒くというのは過去の光景だろうか。

つまり、夏は大陸の方が暑くなるため、上昇気流が発生しやすく海から大陸に向かって風が吹く。冬はその逆で、大陸の方が冷たくなり、大陸から海に向かって風が吹く。

これが、季節によって風の向きが変わる仕組みである。

では、季節風の影響を受けるのはなぜ大陸の東岸なのだろうか。
それには偏西風が影響している。

大陸の西岸では、偏西風によって温度が変わりづらい海上の空気が一年中運ばれてくる。そのため、一年を通して気温の変化が比較的少なく、降水量も一定となる西岸海洋性気候となる。

しかし、東岸では障害物が多い大陸上を通る偏西風の影響は西岸ほどではなく、季節風による影響が相対的に大きくなる。

そのため、大陸の東岸では気温の変化が大きくなり、日本のように四季の変化がはっきりとしている地域が多いのである。

【目次】

【参考】


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