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#320 原油の産出量世界一はサウジアラビアじゃない?

原油と言えばサウジアラビアのイメージがあるかもしれないが、世界で一番原油を多く生産している国はアメリカ合衆国だ。

かつてはサウジアラビアが産出量トップだったが、2017年以降アメリカがトップに君臨している。

アメリカの原油の生産量が飛躍的に伸びた理由は、技術の進歩によって今まで採掘ができなかった地層から原油を採掘することが可能になったからだ。

以前から、頁岩(けつがん)という岩石が分布する地層(=シェール層)に大量の原油や天然ガスが含まれていることは分かっていた。
しかし、ミルフィールのように薄い岩石が折り重なった地層から原油や天然ガスを取り出すのは技術的に困難だった。

それを可能にしたのが、ハイドロ・フラクチャリング(通称フラッキング)と呼ばれる技術である。
フラッキングとは、シェール層に高圧で水を噴出して割れ目をつくり、そこから原油や天然ガスを抽出する方法だ。

シェール層から原油や天然ガスを採掘できるようになり、アメリカの原油・天然ガスの産出量が2000年代後半から飛躍的に増加している。
この技術革新を「シェール革命」と呼ぶ。

しかし、フラッキングは、使用する水に含まれる化学物質が土壌を汚染するとして、環境への悪影響が問題視されている。

アメリカは原油の生産量第一位になったものの、輸出量第一位はサウジアラビアが断トツトップになっている。
アメリカは自国での消費量が多いため、輸出できる量が限られるからだ(とはいっても世界有数の輸出大国となっている)。

原油に関する常識は数年単位で変わっていく。10年後の産出量1位はどこの国なのだろうか。

【目次】

【参考】


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