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#350 ピラミッド建設は公共事業?
「ピラミッドは王が権威を示すためにつくったもので、奴隷を強制的に働かせて建設した」
このようなイメージがないだろうか。
これは、古代ギリシアの歴史家ヘロドトスが著書の『歴史』に書いたことに由来している。
しかし、研究が進むにつれ、ピラミッドはエジプトの王による公共事業だったという説が有力になっている。
公共事業説を裏付けるのが、石切り場で見つかった当時の落書きである。
「王、バンザイ」
「家に帰ったら、たらふくパンを食べて、ビールをたくさん飲もう」
といった記述が見つかっている。
これらの記述から、当時の労働者たちは王を讃えていたこと、家に帰れば飲食に不自由がなかったことなどがうかがえる。
また、労働者たちの出勤簿も見つかっている。
注目すべきは、労働者たちの欠勤理由である。
出勤簿の石板には、次のような欠勤理由が記録されていたという。
「目の病気になったから」
「サソリに噛まれたから」
「上司の私用に付き合わされたから」
「大事な宴会に参加して二日酔いになったから」
「弟の葬儀があったから」
忌引きならまだしも、現代の日本だと大目玉をくらいそうな欠勤理由もある。
ピラミッド建設は意外にホワイトだったようだ。
ピラミッドに用いられた石は、氾濫したナイル川を利用して運ばれたと言われている。
必然的に、農民が農業をできない時期(=収入がない時期)にピラミッド建設が行われたことになる。
これらのことから、ピラミッド建設は農閑期の農民の生活を守るための公共事業だったという説が有力になっている。
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