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風をつくる#6 そしてカミングアウトの旅は続く

2度目の告白

こんにちは、Shadeです。
僕は30代、既婚(子無し)、バイセクシャル、メンタル疾患持ちの男性です。
#5では、奥さんに人生初のカミングアウトを終えた後のリアルな心境や、夫婦関係の変化、バイセクシャルである自分を定義づけすることの難しさについて、書かせていただきました。
カミングアウトから約2週間が経過した現在も、未だに小舟で大海を彷徨いながら、精一杯舵を取ろうとしている最中ですが、その一方で、新しい風が帆を膨らませてくれているのを、日々感じているところです。
その風のもとになるのは、noteで読む他の方の記事だったり、自分の書いた記事にいただくリアクションやコメントだったり、そしてフォローしてくださる方々だったり(皆さん、本当にありがとうございます)…
そしてこの度、そんなたくさんの「風」に背中を押される形で、人生2度目のカミングアウトを無事行うことができましたので、それについて報告したく、筆を取った次第です。
カミングアウトから約2日が経った今でも、まだ興奮冷めやらぬ、といったところなのですが、現在感じている素直な気持ちを書いてみようと思いますので、よろしければ、お付き合いいただけると嬉しいです。

僕がようやく彼に追いついた

今回、僕がカミングアウトをした相手というのは、二十年来の友人。
実は、彼との間にはある複雑な事情があり、しかもしばらく関係が途絶えている状態でした。(詳細は以下の記事にまとめましたので、もしよろしければこちらもご覧いただけるとありがたいです。少し重い内容を含みます)

事情をなるべく簡潔に説明しますと、まず、今から十年以上前、まだ二十代前半だった頃に、僕は彼から、「自分は男性を恋愛対象とする同性愛者」であると打ち明けられました(あくまでもカミングアウトで、告白されたわけではありません)。
けれど、その当時、自分のセクシャリティときちんと向き合うことができていなかった僕は、今考えても罪悪感で胸がいっぱいになるのですが、自分もまた、女性にも男性にも惹かれるバイセクシャルであるという事実を隠したまま、彼との友人関係を続けることを選んだのです(これを読んだ「LGBTQ+」当事者の方で、不快になられた方がいらっしゃいましたら、本当に申し訳ございません)。
しばらく友人としての付き合いは続いたものの、結果として、僕の結婚を機に、彼との関係は次第に疎遠になり、3年ほど前からは完全に音信不通の状態が続いていました。
しかし、30代後半の今になってようやく、僕は抑圧していた「もう一人の自分」を認めてあげることができるようになり、さらに奥さんへのカミングアウトを実行に移すことに成功しました。
そして、それからというもの、彼の存在が頭から離れなくなりました。
自分がカミングアウトを経験して初めて、僕はようやく、あの時彼が感じていた孤独や、打ち明けてくれた勇気がどれほどのものだったのかを、身をもって思い知ったのです。
それから、僕はこう思いました。
今こそ、彼に「正直な自分の姿」を伝えたい。そして、あの時不誠実な態度を取ってしまったことを、謝罪したい。返信はなくてもいいから、メッセージを送り、「今現在の自分」の言葉で、ありのままの気持ちを表現したい。
そう考えた僕は、早速彼に送るメッセージの下書きに取り掛かりました。
念頭に置いたのは、言い訳をしないこと。そしてなるべくシンプルに、正直な文章で伝えること。
しばらく悩みながらも、僕は完成した文面を祈るような思いで彼に送信しました。
メッセージの最後に、「返信は特にしなくても大丈夫」と書いたこともあり、また内容が内容なだけに、きっと返事は返ってこないだろうなと考えていました。というか僕は、今更こんな告白をしても、彼に軽蔑され、無視されるだけなのではないかという恐れを、非常に強く感じていたのだと思います。
が、しかし…メッセージを送ってほぼ1日が経過した頃、彼からの返信が届いたのです。
そしてその内容は、良い意味で自分の予想を裏切るものでした。

空白を埋めてくれたのは…

相手のプライバシーもあるので詳述は避けますが、彼が僕に伝えてくれたのは主にこんなことです。
・まず、カミングアウトをしてくれて嬉しい
・軽蔑など全くしないし、あの時(20代前半で彼がカミングアウトをしてくれた時)受け入れてくれたことはとても嬉しかった
・ありのままの自分を認めることができた僕の勇気を尊敬している
・セクシャリティは自分の個性の一つであり、そんな自分を大切にしてほしい
・これからも応援するので、何かあったら何でも言ってほしい
今、メッセージを読み返していても、正直涙が出てしまいます…。
3年間の空白期間を埋めてくれたのは、僕の勇気でも何でもなく、間違いなく彼の人柄と優しさでした。彼は現在、仕事の面でもとても順調なようで、文章から滲み出る「充足感」のようなものに、僕は自分まで嬉しくなるのを感じました。
そして、「ありのままに、自由に生きている」ロールモデルが、こんな身近にいたことを発見し、何だかとても希望が湧いてきたのです。
きっと、僕が知らない間に、彼は色々な経験をして、強く、たくましく成長したのだろうと思います。
そしてまた、カミングアウトする前に感じていた僕の葛藤が、完全に「一人相撲」であったことにも気づかされました。
もちろん、3年というブランクがあったこと、そして、過去に自分のセクシャリティを隠したまま彼と付き合っていたという罪悪感が、その葛藤の根っこにあったのは確かです。
ただ、カミングアウト前に僕が感じていた、今更こんなことを言ったら軽蔑されるのではないか、とか、あの時正直になれなかった自分を責められるのではないか、といった「恐怖心」は、すべて自分自身が心の中で作り出した蜃気楼に過ぎなかったように感じるのです。
人生は誰にとってもそう甘いものではないし、むしろ苦いことの方が多いかもしれない。けれど面と向かって正直に立ち向かえば、それは決してさほど「恐いもの」ではない。
2度目のカミングアウトを終えて、僕は今そんな風に感じています。

「恥ずかしい自分」を道連れに

ともあれ、奥さんに打ち明けた時と同様、僕は今回、彼の返してくれた反応にとても救われました。本当に、人は周囲の人によって生かされているのだなぁと、彼への深い感謝とともに実感しているところです。
もしも今、僕と全く同じ状況でなくても、何か自分だけの秘密を抱えて苦しくなっていたり、そのことで生きづらさを感じたりしている方がいらっしゃったら、こんな経験をした人間もいるんだと、少しでも楽に呼吸ができるヒントにして頂ければとても嬉しいです。
もちろん、「反面教師」にして頂くのもウェルカムです苦笑
二度のカミングアウトを終えた今でも、僕はまだ、心の中に弱くてちっぽけな「もう一人の自分」を飼っています。
そして、これからもカミングアウトをする度に、そんな自分が度々顔を出すことでしょう。
でもこれからは、そいつを無理やり引っ込めて隠すのではなく、優しく頭を撫でて「少し恥ずかしいですが、これも自分なんです」と、相手に紹介してあげることを目標にしたいと思っている次第です。

長くなってしまいましたが、また何か進展がありましたら報告したいと思いますので、今日はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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