風をつくる#4 既婚バイ、「処女航海」に成功する
仮免卒業
こんにちは、Shadeです。
#1から読んでくださっている方はご存知かと思いますが、僕は30代、既婚者(子無し)、バイセクシャルでメンタル疾患持ちの男性です。
前回書いた通り、通院している心療内科で、カウンセラーさんに人生初のカミングアウト(仮)をしたのが、ついおとといのこと。そこで僕は、初めて「自分以外の誰か」に、自分が異性にも同性にも惹かれるバイセクシャルであることを打ち明けました。
打ち明けた相手が、全くの他人であり、しかもプロとして人の話を聞いてくださるカウンセラーさんだったので、「(仮)」としていたのですが、それから丸一日が経った今日、僕はついにカミングアウトの仮免状態を卒業しました。
何と…「最終目標」としていた奥さんに、自分がバイセクシャルであると伝えることができたのです。
何故こんな急な展開になったのか、自分でも自分の行動の不思議さに驚いています。が、僕には昔からこういうところがあるのです。もちろん、noteで自分の書いた記事を読んでくださったり、フォローしてくださったりする方々がいるということが、追い風として働いたことは間違いありません(本当に有難うございます!)。
まだカミングアウトをしたという実感がなく、航海に例えると船を漕ぎ出したばかりの状態なのですが、奥さんの反応や、現在のリアルな心境を、この場に書き残しておきたいと思いますので、お付き合いいただけると嬉しいです。
風を逃してはいけないと思った
「その予感」は、今朝起きた瞬間からすでにありました。
自分は今日、彼女にカミングアウトをするだろう…というか、せざるを得なくなるだろうと、何故か直感的にそう感じたのです。
一昨日カウンセラーさんに話を聞いていただいたことで、僕の中には小さな風が巻き起こりました。そしてその風は、丸一日を経て、予想以上の風力に発展していきました。もうこれは、どうしても自分の胸の中だけに留めてはおけないと感じるくらいに。
行動を起こしたのは、いつものように二人で朝食を食べ終えた直後のこと。片付けを終え、さてこれから二人で何をしようかというタイミングで、僕はこう切り出しました。
「どうしても伝えたいことがあるから、準備ができたら話を聞いてほしい」
彼女は、さほど深刻な表情を浮かべることもなく、「分かった」と答え、すぐに僕の目の前の席に座ってくれました。
そこで、僕はまず大体以下のようなことを「話をする前の前提」として奥さんに伝えました。
1. あなたのことを愛している気持ちに嘘偽りはないし、その気持ちに変化があったわけではないということ
2. 誰か他に、好きな人ができたわけでもないということ
3. ただしこれから話す内容は、あなたをとても驚かせてしまうかもしれないということ
以上の3点を伝えた上で、僕は、自分がバイセクシャルであるということを、ストレートに彼女に話しました。
カウンセラーさんに打ち明けた時は、意外と涙が出なかったのですが、今度こそ僕は泣くだろうと予想していました。
けれど、驚いたことに、先に泣いたのは、奥さんの方でした。そして彼女はこう言いました。
「話してくれてありがとう、そんなことならもっと早く言ってくれれば良かったのに。これまでの言動で、もしあなたを傷つけていたことがあったとしたらごめんね」
そこで僕は限界を迎え、子供のように泣きました。
そして、彼女に「これまで黙っていてごめん」と謝罪しました。けれど、彼女は「謝ることはない」と言ってくれました。その言葉を聞いた瞬間、僕の中で吹き荒れていた嵐のような風が、静かに凪いでいくのを感じました。
新天地に向かって
奥さんは、どうやら離婚を切り出されると思っていたようで(確かにあのテンションで話を始められたらそう思うのも無理はありません)、そうでなくて本当に良かったと安堵した様子でした。
お互いに泣き止んだ後は、より細かく、色々な話をしました。昔から同性に惹かれる思いはあったけれど、恋愛に発展したことはないことや、このことを誰にも打ち明けずに墓場まで持って行こうと思っていたこと。けれど、そうした抑圧がメンタル疾患の根っこにあるのではないかと感じ、どうしても吐き出さずにいられなくなったこと…などなど。
「どういう男性が好みなのか」と聞かれた時には正直言葉に詰まり、まだそこまでは恥ずかしくて言えないと返しました(苦笑)。
けれど、そんな質問をしてくれるほど、自分のカミングアウトを柔軟に受け入れてくれた彼女の懐の深さに、本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。そして、これからは、自分の心の準備さえできれば、「そういう話」を二人でしても構わないんだという自由さに、新鮮な感動を覚えたのです。
それから僕らは、最近僕がはまっているNetflixの『HEARTSTOPPER ハートストッパー』というドラマを一緒に観ることにしました。
詳しくは別の記事に書いたので割愛しますが、このドラマは、高校生の少年二人の恋愛模様を描いた青春群像劇です(ゲイだけでなく、バイセクシャルやレズビアン、トランスジェンダー、アセクシャルなど、多様な性的背景を持つ人物が登場します)。
これまでは、奥さんに隠れてこっそりと観ていたのですが、彼女もドラマを面白いと感じてくれたようで、そのこともとても嬉しかったです。
もちろん、世の中には色々な考え方がありますし、こうした夫婦の在り方に否定的な意見を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、これを書いている今の僕には、二人の関係が新たなフェーズに進んだという確かな喜びのようなものが芽生えています。
夫婦の形は一つではないし、「こうあるべき」という考えに縛られるものでもない。改めてになりますが、そう感じさせてくれた奥さんに、本当に地面に頭がめり込むほど感謝しています。
これから二人で進んでいく場所は、多くの人が足を踏み入れたことのない未開の地かもしれない。けれど、そこには、これまで自分が味わったことのない「より豊かな人生」が待っているはず。
今はそう信じて、新たなライフステージの第一歩を踏み出した喜びを噛み締めているところです。
長くなってしまいましたが、これが今日現在の僕のリアルな近況報告です。
これからは、タイミングを見て、家族などにも徐々に打ち明けていけたらなと考えていますので、その際はまた記事を書きたいと思います。
というわけで、今日はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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