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息子が巣立ちました

21歳になりたてほやほやの息子が家を出ていった。彼女と暮らしている。わたしがその意向を知らされたのは先月だった。

来月、家、出るから」(息子)

え? そうなの?」(わたし)

急な話に驚きはしたが「ああ、ついに」という気持ちだった。もちろん、反対はしない。息子は成人しているし、この春から社会人になった。社会人が自分の好きなところに、好きな相手と暮らすのに否やなどあろうはずがない(=反対するだけ無駄だ)。

息子が家を出るからといって、わたしがやることはとくになかった。息子は荷物を運んだりする手伝いをオットに頼んでいた。息子ひとりの新居ではないし、わたしはしゃしゃり出ないほうがいいのだろうと理解して、引っ越しの手伝いなどを自分から申し出ることもしなかった。

こんなふうに蚊帳の外感満載のわたしだったが、ひとつ決めていたことがあった。とにかく、軽やかに、送りだそう。これまで手元で育てていた野鳥を、空に飛び立たせるイメージで。

その昔、弟が実家を出たとき、さみしいさみしいとため息ばかりつき、いわゆる「空の巣症候群」に陥った実母を見て、心底うんざりしたことがあった。当時、独身で結婚の予定もなかったわたしだが、自分は絶対にそうならないと固く誓った。

その誓いは守られている。息子のことは笑顔で見送り、特別、落ち込むこともなく過ごしている。赤ちゃんだった息子からは100パーセント必要とされていたけれど、16~17歳のときにはもう数パーセントしか必要とされていなかったと思う。成人してからは0パーセントだ。そのことを自覚していた。

親の言うことを一切聞かない息子は、自立心旺盛な息子だったのだ



いや、だけど


息子の部屋に「転出届」(転居先の役所に転入届を出す際に必要)が残っていてひじょうに気になっている。

忘れた「転出届」取りにきて、早くそっちで転入届出さんかーーーい!!!


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