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SaaS企業なら知っておきたい...リード単価での広告評価から脱却!?リードの質を加味した広告運用とは?

みなさんこんにちは!SaaS Growth Partnersです。

今日はBtoBマーケティングにおいて、「リード単価での広告評価から脱却し、リードの質を加味した広告運用を行うにはどうしたらよいか?」というテーマについて、インターネット広告代理店としての経験や知見を交えながら、お話していこうと思います。


リード単価での広告評価には限界が近づいている?

さて、みなさんは広告の成果を考えるとき、どのような指標をもとに評価をしているでしょうか。おそらくリード数やリード単価で評価をしていることが多いのではないでしょうか。

少し話が脱線しますが、最近SaaSビジネスにおいて、マーケティング、インサイドセールス(IS)、フィールドセールス(FS)の連携の重要性についての記事をよく目にするようになりました。各組織が個別で目標達成をしても意味はなく、それぞれが連携してトップラインや利益を伸ばしていかないと、本当の意味でビジネスは成功しないというものです。

マーケティングチームはリード数をとにかく増やし、ISはアポ数や商談をできるだけ取り付け、FSはとにかくクロージングするといった従来の動きでは、ビジネスを成長させる上では不十分であるということです。
「マーケがとってくるリードではアポが取れない」「ISが設定してくれたアポは課題感が薄く、すぐにクロージングがかけられない」といった声は、まさに組織が分断されることによる弊害です。
特に、マーケティング組織においては、「アポの取りやすいリード」や「見込み顧客になりえるリード」をいかに増やすか?という”リードの質”に対しても責任を持つことが強く求められるようになってきていると感じます。

また、SaaSのビジネスモデルは市場の成熟が早く、マーケットへの参入も比較的容易なため、競合のプレイヤーが数年で一気に増えていく傾向があります。そうすると当然ですがCPCは上がり、これまでと同様のリード単価では獲得できなくなります。
つまり、マーケティングの成果指標をリード数やリード単価で追っていても、将来的にはどんどん苦しくなっていくということが想定されるのです。

一方で、有効リード数やアポ数をKPIとして組み込んでいるマーケティング組織が増えてきているのも事実です。では、日々の広告運用の中で質の高いリード(有効リード)を増やしていくにはどうしたらよいでしょうか?

多くのSaaS企業様で取り組まれているGoogle広告を例に、具体的な運用方法について事例を交えながら、以降の章で解説いたします。

リードの質を加味した広告運用とは?

リードの質を加味した広告運用とは、その名の通り

より確度の高い(いわゆる有効化率の高い、アポ率の高い、商談へつながりやすい)リードを増やしていく運用

です。
リード数やリード単価ベースで広告を運用すると、

「アポにつながりやすいリード」も「無効リード」もすべて同一の価値

として媒体側では評価されますが、実際のところ同じリードでも価値は違うはずです。このような価値の違いを広告運用に活用するには、主に二つの手段があります。

  1. 各CTA毎(CVポイント毎)に疑似的な価値を付与し、より価値の高いCVを増やす運用方法

  2. MQLやSQLの獲得情報を広告側にアップロードし、実績データに基づいて価値の高いリードを増やす運用方法

2は実績データに基づくのでよりビジネスの実態に沿って運用を行う環境を構築できますが、webサイトやSFAに特殊な開発が必要になるうえ運用難易度も非常に高いです。
また、広告のデータとセールスのデータを連携する動きとなり、この辺りは今後非常に重要かつ奥が深い話でもあるので、また別の機会で解説しようと思います。

※まさに直近、広告効果の可視化というサービスのプレスリリースを発表しました。詳細が気になる方は是非覗いてみてください。

“リードの質”を広告運用に取り入れるには?

リードの質を考えるうえで最もわかりやすいのは、CVポイント(いわゆるCTA)です。
例えば「無料トライアル」「お問い合わせ」「導入事例DL」「お役立ち資料(ホワイトペーパー)DL」の4つのCTAがあった場合、実質契約につながりやすいのは、

無料トライアル→お問い合わせ→導入事例DL→お役立ち資料(ホワイトペーパー)DL

となると思います。その場合、無料トライアルのリードが最も価値が高くなるはずです。

次に、”各CVの価値”はどのように設定したらよいでしょうか?
基本的には「1件の受注獲得にいくらのコストを使えるか?」という金額から、受注率や商談化率をベースにリード獲得単価を逆算していきます。
SaaSビジネスの場合は長期的に利益を回収していく仕組みなので、LTVから利益や開発コストを差し引いたうえで決めるのが良いかと思います。

例えば1件当たりの受注獲得コストを仮に50万円、受注率を40%、と置き、各CTA毎に商談への転換率を加味すると、以下の様にリード獲得に対してかけられるコスト(リード獲得コスト)が変わってきます。この値を広告運用の世界では「CV値」と呼びます。

CV値の算出方法

このように各CTA毎に算出したCV値を、各媒体で用意されている「CV値の最大化」や「目標ROAS」の設定に活用することで、”リードの質”を加味した広告運用が実現できるのです。

ただしBtoBの場合、商材の特性によっては獲得したリードの業界や業種・職種によって商談や受注への転換率が大きく変わる場合や、従業員規模によって受注獲得コストが大きく変わる場合があります。例えばID課金型では、従業員数10名程度の会社からの問い合わせと、従業員数500名以上の会社では当然、同じ問い合わせの価値は異なります。

そういった場合でも、例えばフォームの取得項目によって発火させるCVタグを制御し分けることでリードの質を加味した広告運用を行う、といったこともできるかと思います。
すなわち、何を基準にCV値を決めるかはビジネスへのインパクトや、IS・セールスチームと相談しながら決めていくべきだと考えています。

実際のクライアント事例

上記記載の内容について実際の配信事例をご紹介します。
とあるSaaS企業のお客様ですが、できるだけアポ率の高いリード数を増やすため、2つのCTA(無料トライアル、製品資料DL)にそれぞれ疑似的に重みづけを行い、広告運用をおこないました。
無料トライアルが契約に最もつながりやすかったため、

無料トライアル > 製品資料DL

という順で 重みづけを行い、価値の高いCV数を増やす戦略で広告運用を行いました。
その結果が以下です。

事例:リード単価運用とCV値運用の効果比較 価値の高いリード数

価値の高いリード数を増やす挙動となるため、全体のリード単価は、リード単価ベースでの運用時に比べて高くなっていますが、同じコストでもCV値ベースでの運用期間のほうが、無料トライアルのCVが増えています。

運用時の注意点

とはいえ、CV値に基づいた運用は、CV総数が少ないと入札挙動が安定しないので注意が必要です。1キャンペーンで月間30件~50件近くのCVがあると安定するかと思います。


今回は「リードの質を加味した広告運用」についてお話ししました。
しかし、そもそも広告経由からの商談率がどの程度なのかがかわからない、マーケティングの各チャネルからどの程度商談や受注につながっているかが分からない、というのが実態として多いのではないでしょうか。記事中盤にも少し述べましたが、広告のデータとセールスのデータを連携することで見える世界感については、また別の記事でご紹介できればと思います!


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