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正直な意見を述べる

どんどん職場の人員が少なくなっています。
理由はとてもわかりやすいもので、2つです。

①新しく入社する人がいない。
②定年退職する人がいる。

これだけです。日本の人口減少と全く同じ構図ですね(生まれる赤ちゃんの数が減って、高齢者の方は亡くなっていく)
職場の人員減少を改善するだけなら、定年をひたすら延長させることで、現役と同じ仕事を安い賃金でさせることが可能です。しかし労働者も馬鹿ではありません。給料を下げられてるのに、なんで同じ仕事をしないといけないの?そう思うのは自然な流れです。自分が同じ立場なら、速攻で「この業務は現役の人にさせてください」と伝えることでしょう。つまり、退職して違う職場にアルバイトとして勤め始める人もたくさんいるんですね。

そして仕事を探している人というのは、これだけいろんな仕事の情報がネットで手に入る時代の中で、どこも似たような賃金の中で可能な限りカラダに負担のかからない職場、仕事を選びます。これも当然ですよね。そして時給の差という部分で、僕のような小売業の仕事というのはまずはじかれていきます。それこそ同じくらいカラダに負担のかかりそうな倉庫の仕事と比べても、スタートの時給が150円くらい違うんです。しかもよくわからない理不尽なクレームを受けて、全然知らない人に頭を下げ続けることもないし、冷暖房も完備されていて、食堂まであったりする。そんな仕事と同じ土俵に立てない自分の職場に残念な気持ちを抱えながら、日々を過ごしています。

人がいなくなるデメリットについて考えてみましょう。それは「業務量の増加」
です。10個ある仕事を5人でやっていたのなら、誰かやめたことによって、通常は1人あたり2.5人分の仕事をしながら大変だけど頑張ろうね、ということが言える。でも現実ではそうではなくて、一人が持っていた2個の仕事を残りの4人のうちの誰かが担当することになるというのが通常です。つまり4人のうち誰かが貧乏くじを引くことになる。給料が同じなら、業務量は1%でも増やして欲しくない。しかも小売業で業務に当たっているのは基本的に「時給」で給料が出ている方達です。社員のように毎月基本給があるわけでもない。

だったら、その仕事は社員がやればいいじゃないですか。そうなるわけです。でも社員も通常の仕事で大体は手一杯です。これ以上仕事を抱え込むことはできない。結局社員がパンクすると、自動的に自分たちに仕事が落ちてきてしまう。それも嫌ですよね。でもいなくなった人がやってた仕事もやりたくない。そこで声を上げるわけです。

「新しい人は来ないんですか?」

僕は毎日のようにパートさんからこの言葉を投げかけられます。僕のいる部署では、昨年末に社員が退職して、夏前には定年で雇用契約が変更になる人がいます。雇用契約が変更になる人にこれまでと同じ仕事はお願いできないし、かといって、その人が持っていた仕事を僕が一手に引き受けるわけにもいかない。引き受けても良いんだけど、結局部署として回らなくなって、困るのは目に見えている。だからみんなもそこは追求せずに「新しい人を!新しい人を!」となる。

でもあるあるだと思うのですが、新しい人も入ってこない、新しい人が異動してくる様子もない。その話を上司にしても「うーん」となる。つまり考えてないんですね。今いる人でうまいことやってよ、と言葉にはしないけれど、顔にそう書いてある。

全く新しい人が来る気配がないことに、みんなは不安を感じ始めています。いつ自分の仕事を増やされるか戦々恐々としている。「もうこれ以上仕事できないよ!」と牽制をかけてくる人もいる。あまりにもみんなが不安になっているのか、品出しをしていたときに普段はあまり仕事の話をしないパートの男性から同じように「新しい人は来ないんですか」という話をされました。僕は「この人もか」と少しイラッとしてしまい、そのまま「そうですねえ」と自論を語ってしまいました。

そこで話した僕の持論は次の通りです。
①新しい人が入社する、もしくは配属されてくる可能性はほぼゼロ。この人数でやります。期待しないで。
②どれだけ人が減っても、これ以上の仕事をパートやアルバイトのみんなに落とすことは余程のことがない限りありません。
③それでも業務が回らなくなったら、売り場や取り扱い商品を減らしてしまうつもり。物理的に管理する商品の量を減らして仕事も減らす。

そもそも配属されてくる人を工面できない、新しい人が入社しないのは会社の責任では?と思っている。何年も未来の人材を育てることを放棄して目の前の利益だけを追っかけているから、個人でいろんな情報が入る時代になってボロが出る。つまりどんどん人が辞めてそうなる。そして新しい人が来ないのは、この時代にうちの会社で働きたいと思う人を呼べるだけの給料と仕事の魅力を用意できないからであるということを一気に伝えました。

僕は正直、どれだけ人が辞めようが消えようが、不安を感じることがないんです。どれだけ引き留めても人は辞めていくし、そこにエネルギーを注ぎ込むこともできない。もうそのエネルギーもないくらい日常の業務で一杯一杯なんです。だから「しんどいので辞める」という理由を聞いたとき「うん、よく決断した」くらいのことを思ってしまう。自分自身も考えて考えて考えて、それくらい頑張っているという自信がある。でも会社は印刷された数字の羅列を見て、簡単に同じだけの売上高と利益を要求してくる。人が減っているのに、給料も上がらないのに、そんなことできるわけないじゃないですか。なぜか?AIを活用してそれが改善される仕事だったら良いのですが、ひとつひとつ人の手で商品を並べる必要ある小売業の仕事において、人員の減少を業務の効率化で改善するに限界があることは、考えなくてもわかる。そこをロボットなど、人の手以外のものに業務を委託しなければ、根本的な解決にはなりません。それができない以上、できることにも限りがある。

売上が下がった?利益が下がった?人がいないから残業?知らねえよ。社員が、社員が、社員が、責任、責任、責任、それしか言えねえのかよ。僕は本気でそう思っている。経営層の掲げる理想と、その現実に温度差がありすぎるんです。

なんでみんな合理的に物事を考えられないのだろう?といつも思っています。人間の特性として物事の判断に感情が入りすぎるんです。人がいないなら、まずはできる人数でできることを考える。そしてこれまでできたことから、できなくなることを洗い出す。その時が来たら、できなくなることのリストの上位から業務やサービスをやめていく。それだけなんです。体裁なんか関係ないんです。それできないから経営層が無能だなと思うのです。結局、経営層は数字として売り上げと利益を落としたくないので、人数が減っても、同じ数字を出し続けることを求めます。上司からの「なんとかしろよ」という言葉に、馬鹿正直に答えようとする現場は疲弊し、さらに人が消えていく。

業務の効率化が難しいのなら、人数を増やすしかないんです。でも人数を増やせないのなら、業務を減らすしかないのです。業務を減らせないのなら、もう会社のオペレーションがゴミなんですよ。

「お前らがもっと頑張って長時間働けばなんとかなんだろ」という言葉が聞こえてきそうな、会社の取り組みにイライラする。それが男性のパートさんと話しているときに爆発してしまった。

一気に話してしまったあとに、僕は「あ…」と我に帰った。パートさんは「意外とドライにものを考えてるんですね」と言って作業に戻っていきました。一体どういうふうに思っていたんだろう?と考えましたが、本心だったのでうじうじ悩むことはやめました。

僕のいる会社が地方にあるからなのかもしれませんが、時代の変化に全く追いつけず、後出しジャンケンを繰り返している様子にもイライラしてしまいます。いきなり社長が外国の人とかになったりしないかなと思ったりします。リストラをされる人もたくさん出るだろうけど、給料もあがるはずだし「仕事」としての魅力も絶対に上がるはずなんですよね。

どんなに理想を掲げようが、結局は「企業」なので。

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