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エッセイ

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#日記

その名前を所持しているかについて

1年くらい前に、恋人に「あなたは愛があるひとだから」と言われた。
その時のわたしの反応は、「怒る」だった。

彼からしたら、褒めたのに、いいところを伝えたのに、「そんなもの持っていない」と怒るなんて想像もしていなかったと思う。実際にとても困っていた。

わたしは自分のことを、つめたくて、大切にされたり好意を向けられることにひどく鈍感で、もし気付けたとしてもその分嫌な気持ちを返してしまうような人間だ

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それは朝だった

それは朝だった

長い夢を見た。起きるたびに話は変わって、なんの疑問もなくただ見ていた。朝思い出そうと思っても断片的にしかわからず湯船にはったお湯に肩まで浸かった。

電車に揺られている。久しぶりに馴染みのないところを移動している。
仕事が終わったのが15時、次の待ち合わせは18:30。
ぐるっと一周電車に乗って写真展を見て回る。
意外と移動に時間がかかって小走りで乗り換えた。
今日は朝にベーグルをひとかけらと昼に

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眠れない夜の覚え書き

眠れない夜の覚え書き

少し長い休みをもらって、また眠れなくなった。明後日は朝の7時から仕事だから少し焦る。夜が朝に近づくのを目の前で見ていると不安になる。眠ろうと思えば思うほど、起きた時に夢の中からなかなか出られず、ずっと起きていたように思う。今は、窓辺が白み始めているのをただ眺めている。

小学生のころから変わらない学習机の上に、飲まれないままのビールが3本と、読み途中の本が何冊か、昔の日記と、書き終えていない手紙。

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