ハプニングの神様が、俺に中指を立てている。~in 五島~(1)
この記事で書いたように、僕はある日突然、長崎の離島での単発バイトを宣告された。その仕事が昨日で、今日ようやく自宅に帰ってきた。
業務内容としては、あまり詳しくは言えないけど、選挙関係のバイトで、出口調査だったり、開票結果を局に送るみたいなことをした。
仕事自体はすごく簡単で、同じことの繰り返しだから別になんともないだろうと思い、正直甘く見ていた節はあった。
一方そのころ、天界では、ハプニングの神様が怪訝な顔で僕のことを見つめ、今にも天罰を与えようとしていた。そんなことを3日前の僕は、知る由もなかったのだった、、、
<出発 ~さっそくやらかす~>
土曜日の朝、離島行の船の出発時間は、11:45。
11:45ぐらいが個人的にはちょうどいい。家から港までの距離を考えても、割と長く眠っていられるからである。
家から港までは約30分。少し余裕を見ても、11:00には家を出ればいい。それぐらいで十分だと思った。しかし、やはりさらなる余裕を求めて、10:45頃に家を出た。
その後、港に着き、スマホを時間を見た。11:15。
余裕だ。
公職の手伝いをすることになっているため、僕はもう完全にエージェント気分だった(なぜ)。そして、今回こそは、本当に今回こそは、かなり大人の余裕を持った旅がしたい。
前みたいに、とんでもない宿にならないように、すでにホテルはリサーチ済みだし、船酔いしないような対策も済んでいるのさ。
今回こそはあまりに余裕で、港のターミナル内にある、「長崎港とキリシタンの歴史コーナー」的なものを楽しみつつ、乗船の時間を待った。すると、ほとんど読み終えたころ、こう思った。
喉が渇いたな。
飲み物を買おうと思い、自動販売機に向かった。
水を買い、ふと窓の方を見ると、僕が乗る予定の船、「ジェットフォイル」が見えた。
あ、あれに乗るのか~
なんて思って、ペットボトルの蓋を開けようとした瞬間、おかしなことに気づいた。
なんで周りに人が全くいないんだろう。
今思えば、たしかにおかしい。
人が少なすぎる。100人ぐらいは乗るんじゃないのか?
その時僕は2階にいたので、1階に降りてみた。
それにしても少ない。
あれ、、、おかしいな、、、
焦る気持ちとは裏腹に、これまで余裕をぶっこいて、キリシタンの歴史とかを読んでいた自分を思い出し、若干腹が立っていた。もし、乗り遅れて、雇用主に、「なんで遅れたの?」とか聞かれたときに、
「いや~キリシタンの歴史がね~なかなか面白くて~」
なんて、とても言えない。
まさか、、、まさか、、、
いい加減怖くなってきた僕は、受付の女性に聞いてみた。
「五島行の船って、45分発ですよね?」
するとその女性は澄ました顔で、
「いえ、30分ですが、、??」
時が止まった。皮肉にも。
30分ですが、、、
さんじゅっぷんですが、、、
サンジュップンデスガ、、、
SANZYUPPUNDESUGA、、、
永遠に僕の中でハウリングする言葉、、、
我に返った僕は、スマホの時間を確認。
するとそこには、
11:28
RUN.
走った。
風よりも速く。
ハチよりも機敏に。
もう誰も俺を止められない。
今、地球上で一番速く走っているのは俺だ。
いろいろなことを考えた。
乗船券の再発行代(7,800円)、雇用主への謝罪、キリシタンの歴史への瞬間的な興味、そして何よりも「大人の余裕」という言葉。
みなさん、、、
大人の余裕ってなんですか、、??
ほんとうにギリギリ間に合った。
11月間近とは思えない発汗量、そして徒競走のゴールぐらいの速さでスライディング乗船した僕は乗客の注目を一気に集め、一躍「時の人」となった。
気にしないさ。
だって間に合ったんだもの。
気にしてなんかいられない。
そう、大人の余裕とは、なによりも「気にしない」ことだ。
僕はひょんなことから、大人の余裕への回答を図らずも導き出してしまったのであった。
そして今考えたら、もしも「さらなる余裕」を求めずに、11:00に家を出てしまってたら、確実に間にあってないよね。
これはキリシタンの歴史へ興味を示したことに対する神の救いでしょうか、、、うん、違うね、、、
明日に続く。
小金持ちの皆さん!恵んで恵んで!