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自分自身を呼び醒ますことにどう結び付けていくかが試されている。杉原邦生演出で躍動する新世代の表現者ら…★劇評★【舞台=パンドラの鐘(2022)】

 歴史は過去のいち側面でしかない。しかも時の施政者にとって都合の良いものしか残っていかない…。そのことを思う時、野田秀樹が生み出した「パンドラの鐘」は、地鳴りのような轟音と共に立ち上がる歴史の真実にただ呆然とするだけではなく、自分自身を呼び醒ますことにどう結び付けていくかが試されている戯曲なのだということがよく分かる。かつて1999年、野田が描きおろしたひとつの戯曲をシアターコクーンと世田谷パブリックシアターで蜷川幸雄と野田が演出して同時にそれぞれの俳優によってそれぞれの劇場で公開するという壮大な演劇的実験が行われた「パンドラの鐘」を、蜷川の急逝から6年となる2022年の今年、現代劇から歌舞伎などに至るまで様々な表現形態を世に問うてきた若き演出家、杉原邦生が演出するというチャレンジは新たな実験精神に満ち満ち、新世代の表現者たちが舞台狭しと躍動するとびきりの場となった。(写真は舞台「パンドラの鐘」とは関係ありません、イメージです)

 舞台「バンドラの鐘」は2022年6月6~28日に東京・渋谷のシアターコクーンで、7月2~5日に大阪市の森ノ宮ピロティホールで上演される。


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