日本社会の実相と多角的にリンク、衝撃的な作品をコクーンに持ち込み続ける赤堀雅秋…★劇評★【舞台=パラダイス(2022)】
赤堀雅秋の作品が初めてシアターコクーンに登場した2014年。私はその作品「殺風景」の稽古場取材や新聞用のインタビューでこのカンパニーにある程度深く関与していたが、世間は赤堀がこの演劇の殿堂で何をやらかすか、戦々恐々としていたことをよく覚えている。その世間よりも一足早く、稽古場で作品を見ていた私は、「赤堀は本当にやる気だ。この世界観を、コクーンにぶち込むつもりだ」とまんじりともしない時間を過ごしたのだ。それから8年。赤堀は観客にとって衝撃的な作品をコクーンに持ち込み続けた。当初は2020年に上演するはずだったがコロナ禍で中止となり、今年2022年に上演された「パラダイス」で赤堀は、さまざまな暴力が社会に蔓延する日本社会を直撃した。しかしその暴力はこれほど社会に浸潤しているのに、まるで霞のように見えにくい。それは薄皮一枚で世間とは隔絶されているが、何かのきっかけで破れ、どろどろとした暴力が怒涛の様に溢れ出すものでもある。日本社会の実相とも多角的にリンクする舞台「パラダイス」は、自分たちの今いる場所が、かつてはもっと丈夫で確かで、頼りがいのある場所だったことを懐かしい気持ちの中で観客に思い出させてくれる、恐ろしい作品だ。作・演出は赤堀雅秋。(写真は舞台「パラダイス」とは関係ありません。単なるイメージです)
舞台「パラダイス」は、2022年9月25日~10月3日大阪市の森ノ宮ピロティホールで、10月7日~11月3日に東京・渋谷のシアターコクーンで上演された。公演はすべて終了しています。
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★舞台「パラダイス」公式サイト
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