田口和行

音楽家。独学で現代音楽の世界に飛び込む。ミュージカル・式典・花火等の音楽制作や、ルーマ…

田口和行

音楽家。独学で現代音楽の世界に飛び込む。ミュージカル・式典・花火等の音楽制作や、ルーマニアの国立交響楽団でのオーケストレーション等を経て、現在は物音や環境音を用いたバイノーラル作品を作っています。

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音楽家 田口和行のプロフィール

はじめまして!音楽家の田口和行と申します。 現代音楽や、舞台・イベントなどの音楽を作っています。たまに、ギタリストとして出演することも。 この度、noteを始めてみました!お知らせだけでなく、陸の孤島と呼ばれる田舎に暮らしながら創作していること、その中で普段考えていることなどを書いていきますので、お楽しみいただければ幸いです。 最初の投稿は自己紹介です(随時更新) 基本情報名前 田口 和行(たぐち かずゆき) 略歴 1982年、鹿児島県鹿屋市出身・在住。作曲を独学。

    • つりっくまがとまらない

      新曲『Gate Sketch』をダウンロードしてくださった皆さま、投げ銭を下さった皆さま、ありがとうございます。通知が届くたび、感謝の気持ちで手を合わせております。 https://sevenashroom.bandcamp.com/track/gate-sketch-binaural 昨年の夏ごろから、長い付き合いの方にも「今の君の音楽はわからない」と言われるようになりました。音楽を広く深く聴いているであろう方々です。馬鹿にされるくらいがちょうどいいのはわかるんですが、

      • 自信がないからこそ多くを試せる

        新曲『Gate Sketch』をお聴きくださり、ありがとうございます。投げ銭やご感想も賜り、恐縮しております。まだの方は、下記のリンク先で無料ダウンロードできますので、ぜひお聴きください! https://sevenashroom.bandcamp.com/track/gate-sketch-binaural 昔のテープ音楽って作曲者本人と思われる声が入っていたけど、最近はそういうのを聴かないような......という単純な動機で始まった本作。誰もやらないことは、それが新し

        • 歌ってみた

          新曲『Gate Sketch』をお聴きくださり、ありがとうございます。Bandcampで無料ダウンロードできますので、まだの方はぜひ、お聴きいただければ幸いです。投げ銭も大歓迎! https://sevenashroom.bandcamp.com/track/gate-sketch-binaural さて、今日は長文です。 お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、今回、歌ってみました。初挑戦です。 3日前の投稿で「時代に棹さす作品(逆らう意味ではない)を、どんなに呆気な

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        音楽家 田口和行のプロフィール

          Gate Sketch

          新作「Gate Sketch」をBandcampでリリースしました(無料/投げ銭歓迎) ぜひお聴きください! https://sevenashroom.bandcamp.com/track/gate-sketch-binaural

          啓発の坂

          昨年末から断続的に作っていたバイノーラル作品『Gate Sketch』 先月末に「もうすぐ完成」と投稿しましたが、あれから再び作り直していました。 次の一手というのは難しいんだが、その難しさの原因は自分にあるんじゃないか。 つまり、そもそも「次」が見えていないからじゃないか。 最近はそんなことばかり考えています。 このタイミングで、時代に棹さす作品(逆らう意味ではない)を、どんなに呆気なくて心許ないものでもいいから作っておきたい。 #質が高いはマジックワード 音の素材は

          人生の最期に作るとしたら

          昨日の投稿で、坂口恭平さんの「本人が自信がないものにしか興味がない」という話に触れました。 千葉雅也さんと熊本市現代美術館で行なわれたトークイベントでの話題ですね。 自信を持てないものって、なかなか作れない。 何かと似ている度合いを自信と呼ぶのなら尚更に。 一旦できたものを壊して、自分をも壊した上で、絶望した世界を笑って好きだと叫べるか。 これもまた先達のパッチワークで、用意された倒錯ではありますが。 今回の新作『Gate Sketch』の作曲に時間が掛かってしまった理

          人生の最期に作るとしたら

          門前素描

          昨年末から断続的に作ってきたバイノーラルの新作。 別件で途中2ヶ月まるごと空いたりしましたが、ようやく額装できそうです。 一つお詫びを。 コメント欄などで今月中にお届けしたいと答えていましたが、間に合いませんでした。 申し訳ございません。 たたみ一畳分の小さな音楽。 顕微鏡的な耳でマキシマリズムに構築するのが、これからの音楽の大きな課題なんでしょうけど。 「本人が自信がないものにしか興味がない」という坂口恭平さんの言葉が、厳しくも励みになります。 #実際とても難しい

          私はスキをあきらめない

          バイノーラルの新作。一昨日、素材を全て作り直して、昨日は曲の長さを3分ほど短くした。で、自分で作ってるのに興奮で打ち震えた。 これは守りに入ってしまった証拠ではないかと作業を中断。今日改めて聴き直したが、ずっと聴いていたくなった。何ものをも傷つけない、非力な作品ということかしら。 私はスキをあきらめない。この言葉を知って、自分のモットーにしたのが9年前。 実際は難しい。妥協したものを好きになることも仕事上の大事なスキルかも知れないし、先に決められた予算からやりたいことを

          私はスキをあきらめない

          世界と音楽の交錯

          心待ちにしていた『ONBEAT』の最新号が届きました。 告知を見た際、今作っている新作は、この雑誌を読み終えて、それでも出したいと思えるならリリースしようと考えました。 パラパラとめくって、世界と音楽の交錯の話が早速目に入る。 Xでは何度か連投しましたが、最近になって突然、祈る場所としての地底を志向するようになりました。 先日読んだ記事でも「声明は音が低いので、真逆の地底へ行くように感じる」とあって、まさにと驚いたばかり。 ホーリーな場所は響きが複雑になるもの。 私が育ん

          世界と音楽の交錯

          連星

          8chキューブを軸とする8.1ch環境を想定した新作。 仕上げの段階に入りました。 最近は、AIを相手とした壁打ちが定着して来ましたよね。 同質性の中の異質、ずれを顕微鏡的に拡大したら。 例えば、目の前にあるマンドリンの複弦に耳をそばだてる。 あるいは、楽器の内部から聴くイメージ。 今日の画像は、その過程で生成されたもの。 ここまで雄弁な音楽ではありませんが、良いヒントになりました。 音源が耳元にある時に一番盛り上がるとは限らない。 むしろ音源は遠くにあるが、肚にずっ

          自分を鼓舞するもの

          御茶ノ水RITTOR BASEで開催されたロリィタ短歌朗読ライブ『衣裳箪笥のアリス』を配信で視聴しました。 昨年の芥川賞候補になった川野芽生さんの「ロリィタ短歌」をもとに構成した舞台で、作者本人もキャストとして出演されています。 高品質バイノーラルプロセッシング技術「HPL」の生みの親、久保二朗さんもSNSで薦めていた本公演。 会場は立体音響システムで、配信はそれをバイノーラル化して、それぞれ通常の朗読ライブ以上の没入感を目指したとのこと。 キャストの配置に留まらない、空

          自分を鼓舞するもの

          脳が喜ぶ音楽

          8chキューブを軸とする8.1ch環境を想定した新作。 HPLバイノーラル化の段階に入り、すっごく脳が喜んでいます。 ギタレレと、スマホで録りためた音と。 たたみ1畳分の音楽だと昨年名乗りましたが、今回もそんな感じ。 ただ、展開が目まぐるしくて、約9分があっという間に終わってしまう。 これは作品の望む形ではない。 とりあえず音をいくつか疎抜いて、様子見です。 変化が多すぎると平坦になる。 要素が多すぎると大味になる。 この塩梅が難しい。 それにしても。 渋谷慶一郎さん

          脳が喜ぶ音楽

          終わりの風景

          宮台真司氏退官記念「90年代以降のニッポン社会と音楽・サブカルチャー」をようやく視聴できました! 君は終わりの風景を知っているか? 即ち、終わる前を知っているか? 人という主体が後退した時に音楽が語り出す。 私は作品から演奏を排除し始めましたが、それこそが人間的だとも言えるし、それは未来の新興宗教の祭典のようでもある。 人工とも自然とも言えない。 有機とも無機とも言えない。 偶然のように作られた瞬間が続くんだが、それが必然のように聴こえる音楽。 偶然と必然という二項対

          終わりの風景

          作曲は人体実験

          今朝の散歩の途中。 急に意識が遠くなり、空に引っ張り上げられるような感覚がありました。 一瞬のことでしたが、この体験は早速活かせそう。 立体音場は心理音響。 つい先日も『音と脳』という本が話題になりましたね。 そして、作曲は人体実験。 AIに人の心は実装できても、内臓とのつながり、自律神経系は難しいらしい。 自問自答の相手が、心から身体に変わっています。

          作曲は人体実験

          予算会議

          昨日は数日ぶりに晴れたので、2時間の散歩、お墓参り、畑の草抜き、トレーニングチューブと詰め込んだら、軽く筋肉痛です。 まだまだですわ! さて。 来年上演される大劇場版ミュージカル『えんとつ町のプペル』の【予算会議】をオンライン視聴しました。 製作総指揮・原作・脚本は西野亮廣さんです。 完成品ではなく、制作過程を売る『プロセスエコノミー』が話題になって数年。 「今、どれだけの人が完成品に興味があるんだ?」とか、今後は制作過程を隠したがる人から駆逐されるなんて話も以前からあっ