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開示すべきは「育休取得率」ではなく「取得促進につながった成功事例」

産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)とは

・2022年10月1日に創設
・産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業
・1歳までの育児休業とは別に取得できる制度
男性の育児休業取得促進のため、取得ニーズが高い子の出生直後の時期(子の出生後8週間以内)に、これまでよりも柔軟で取得しやすい休業として設けられた
・労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能

厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイント」
厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイント」

平たくいうと、制度を使いやすくしたから、育休取ってね(強制ではない)、というものです。

育休取得状況の公表義務化とは

・2023年4月施行
・大企業(常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主)が対象
・公表するのは「男性の育児休業取得状況」
・年1回
・公表するべき情報範囲
 ① 取得割合 下記1.2.のいづれか
  1.男性の育児休業等の取得割合
  2.男性の育児休業等と育児目的休暇の取得割合
 ② 割合の算定期間である公表前事業年度の期間
 ③ ①の取得割合が1.または2.のいずれかの方法により算出したものか
(その他の詳細は割愛)

となっています。

平たくいうと、大企業は男性社員が育休を取った割合を必ず教えてね(強制、罰則はないが厚生労働大臣から勧告あり)、というものです。

「取るだけ育休」「取らされ育休」の表面化

7/16に下記の記事がYahoo!ニュースに掲載されました。

とても良い記事なので、お時間ある方はぜひご覧ください。

少し前までは「育休とります!」という男性社員は「育児に熱心・家庭を大切にしている・革新的」などの印象があったかと思います。

そして実際、子育てに関わろうという姿勢はあったはずです。

そのような中、まず表面化してきたのは「取るだけ育休、なんちゃって育休」でした。

育児を理由に堂々と休み、実際はたいしてしないので、子育て中のママからしたら迷惑極まりない存在です。

ただ、不純な理由だったとしても、そこには「本人の意思」が存在します。

一方で、「取らされ育休」に「本人の意思」は存在しません。

それが前述の「育休取得状況の公表義務化」により、数合わせのために言葉通り「取らされる」のであれば、本末転倒です。

「取るだけ育休」「取らされ育休」は、今年の新語・流行語にノミネートされてもよいのではないかと思います。

育休取得の成功事例を共有してこそ活きる制度

この記事の後半には、育休促進のためにどのような仕組みを作ったか、育休取得を促進したことで、企業の生産性にどのよう効果があったか、が掲載されています。

むしろ、大企業に公表を義務化させるのはこちらではないでしょうか。

数字が上がった、下がったに一喜一憂するのはナンセンスです。

素朴な疑問なのですが、数字の公表は誰に向けて、誰が得するためにやっているのでしょう。

みんながやっているならやろうかな、やらなくちゃな、というモチベーションアップ?でしょうか。

そもそも、男性の育休取得には経済的問題と職場の理解が壁であることは知られています。

職場の理解が得られないのは、
・「育休取得を促したら、自分の会社にとってどんないいことがあることがあるのか?」腹落ちしていない
・どうすればいいのかやり方がわからない
・フォローが大変、制度作りが間に合わない
・これまでの習慣

などがあるでしょう。

これまで5人でおこなっていた作業を4人で行うにはどうすればいいか?
急に答えを見つけろといわれても正直わかりません。

その時に「こういうやり方があるんだ」というヒントがあれば、「これならできるかも」と思うことができます。

いわゆるナレッジの共有が、職場の理解、変革⇀取得のしやすさにつながっていくはずです。

まとめ

産後パパ育休制度は、2回に分割できる!などの施策で取りやすくしたというより、むしろ型にはめたような気がしています。

私が運営しているパパチャットには育休を取られている方が多いのですが、育休開始後に延長したという方がいます。

むしろ、そのような柔軟性のある制度のほうが、結果的に取得のハードルは下がっていくのではないかと思います。

子育ての事情は千差万別です。

尊重されるのは多様性、解決するのは柔軟性だと思います。

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