#久しぶりの投稿
【ショートストーリー】18 猫のいる生活
彼女が保護されたのは雨のなかたたずむバラックの屋根の下。
笑いもせず、泣きもせず、なんの抵抗もなかったと、その地区の民生委員の方が言っていた。
10歳くらいの彼女に、温かいスープと鮭のおにぎりを差し出した。怪訝そうにスプーンを眺めると、一気に器を持ち上げ口から胃袋に流し込んだ。
名前を問えば、しばらく考えてから「ちほ」とだけ言った。今となってはそれが名前だったのか疑わしい。ただ、彼女は明確に
彼女が保護されたのは雨のなかたたずむバラックの屋根の下。
笑いもせず、泣きもせず、なんの抵抗もなかったと、その地区の民生委員の方が言っていた。
10歳くらいの彼女に、温かいスープと鮭のおにぎりを差し出した。怪訝そうにスプーンを眺めると、一気に器を持ち上げ口から胃袋に流し込んだ。
名前を問えば、しばらく考えてから「ちほ」とだけ言った。今となってはそれが名前だったのか疑わしい。ただ、彼女は明確に