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【偶然日記#18】自分にぴったりな道具を探して

今日も蒸すが夕方の今、暑さは大分おさまっている。今日は昼過ぎまで会社を休み、その後家の近所で打合せがあった。今は代々木に移動しタイの屋台風の居酒屋にいる。代々木の裏側にこんなところがあったんだ。

noteを書き始めて1ヶ月。この1週間くらいnoteに少し飽きてきた、というかモヤモヤしてきた。特に書き出しが困る。もう一つのマガジンの「雄手舟瑞物語」は、昔の記憶を紡ぐ作業なのでまだ書き出しに困ることは少ないが、こっちの「偶然日記」の方は少し辛い。書きたいことがたくさんあるし、書き直したいこともたくさんある、書いてること自体についても書きたくなる。

前回も書いたが一昨日の日曜、友人から夜中に送られてきたLINEのメッセージ

読みたいことを、書けばいい。
by 田中泰延

をもらって、自分が読みたいことって何だろう?と考え、もう少し意識的に自分が好きな書き手の文章をもっと眺めてみようと思った。

僕はイシューの掘り下げやグラフィック・デザインが得意だ。その分野では好きな思想や作品が、それなりに自分の中に溜まっている。

手を動かしている内に、出てくるものが自分の好きな型に寄って来る。そしてピントがピンっと合う。

文章も同じく、好きなものを溜めれば、そのピントが合う感触を得られるかもしれない。きっとそうだ。あとは焦らず「ちょっと落ち着いて丁寧に書いてみよう」。

こんなことを一昨日は考えた。

でも、早々に考えを改めた。書ける今は書き続けよう。

noteを書き始めて最初の一ヶ月は周りの人たちに内容を見せなかった。「書き続けること」に対する余計なインセンティブを付加したくなかったから。そして「書きたいから書く」という行為がニュートラルな状態で続けられた。四日連続の飲み会の山も越えられた。

「ビールとお通し、ここに置いときますね」友人は仕事が長引いてるらしい。パクチーサラダを注文し、ビールを一口飲む。

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先週から少しずつnoteのURLを周りに公開し始めた。だいたいチラッとは開いてはくれたようだ。何人かは面白いと反応をくれた。ありがたい。後から考えてみると、普段から会話が弾むメンバー。

なるほど。広めるために書いてたつもりだったけど、深めるために書いてたのか。

数時間飲んだり、LINE電話したりしても話が尽きない。彼らとの話は広がって行き、その中で流れ星が何本も何本も落ちてくる。ここnoteには、その番外編を書いているのか。

昨日夜中の0時過ぎ、3ヶ月ぶりにドイツで生きている香川(仮)ーイギリスのファイン・アート学科での同級生ーにLINEを送った。

僕 :「雄手舟瑞です」
香川:「ん?なにですか?」
僕 :「ブログを1ヶ月ちょい毎日書き続けてたけど飽きてきた」

香川から「偶然日記」を読み始めてくれたとのLINEが来たので、すかさずLINE電話を掛けてみた。

僕:どう?

香川:面白いんじゃないんですか。いいと思います。10年前も最初Webとか作ってたけど、巡り巡ってやっと表現がShuさんに合って来たんじゃないんですか。前はアート=ペインティングとか、そういうのに囚われすぎてたのかもしれませんね。

僕:そうなのよ。そこからやっと抜け出した気がする。絵とかいわゆる巧く描けないし、不器用だからこそ、「下手な奴が何言ってんだ?」と言われるかもしれないと勝手に恐れて、引け目を感じてWebとか脇に置いて形式の中に自ら閉じこもりに行ってところはあるね。

香川:だから今の感じで良いんじゃないですか。色々試してみたら。写真と言葉の組み合わせも面白いですよ。

時は遡って10年前。

あなたはペインター?それともコンテンポラリー・アーティストなの?

ファイン・アート学科の3年生のときにSueという学部主任の先生に苛立ちながら言われた言葉だ。その時、僕はさっきの通りペインティングに拘っていた。いわゆる「腕を振っちゃうぞ(がんばるぞ)」じゃなく、物理的に全然、腕が振るわない。巧くないが故に絵の具を溶いたり、筆を振ったりするのにCPUをフルに使ってしまい、アウトプットされたキャンバスに「自分」を存在させられていなかった。

Sueも、いつも鋭い。僕は答えに窮して、思わず出たのが、

ペ、ぺ、ペインター、、、です

Sueは、「じゃあ、超絶技術をマスターしないとね。」と呆れ気味にアドバイスをくれた。。。

僕がデザインやアートをやりたいと思った理由は二つ。

・自分の考えは日本だと浮いてるが、世界なら通用するんじゃないか。
・英語が苦手だから、視覚的な表現を使ったらいいんじゃないか。

自分の考えってなんだ。英語が苦手だからってなんだ。Sueは全部お見通しなのだ。自分の考えがない、あるいは内に向かった状態だから、コンテンポラリー・アーティストと名乗れなかったし、表現手法が手段じゃなくて目的になっていたから、ペインターと言ってしまった。

今は元々好きな言葉を使って、話したいことがある。出てきた言葉が、さらに言葉を生み出す。書きたいことをたくさん書けばいいし、書き直したいことをたくさん書けばいいし、書いてること自体についても書けばいいんだ。

Facebookのmessengerから通知が来た。

今、踏切のところなので、もう着きます。


靄が一瞬晴れた気がした夜だった。そして、今も晴れている気がする。


※次回の「偶然日記」は8/9金曜日予定。「偶然日記:今の日常を綴る」と「雄手舟瑞物語:青い鳥を探し続けた男が見つけたもの」を毎日交互に掲載しています。明日は「雄手舟瑞物語」です。


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