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テストシナリオの作り方

ユーザービリティテストやユーザーテストのシナリオが詳細に設計されていない場合、知りたい内容が回収できていない可能性があります。
今回は、回収漏れを防ぎ改善のヒントをより深くもらえる「テストシナリオ」の作り方についてまとめていきます。

シナリオの重要性

私自身、過去あまりシナリオを意識せずにテストをしていて、例えば検索窓を使っているかどうかを確認するためのシナリオは「この商品を探してください」といったなんともお粗末なものでした..
しかし、シナリオの前提条件によって、全くユーザーの動きは変わってしまいます。テストの目的となる「知りたいこと」がきちんと確認できるようにシナリオの選定は力を入れましょう。

まずはテストで知りたいことを再確認

まずは目的とターゲットの確認です。
あれもこれもテストしたい/ 知りたいが増えていくと煩雑になり、結果が分析しにくくなります。テストではあまり長いタスクはお勧めしません。知りたいスポットをきちんと限定すると良いでしょう。
少なくともタスクごとにきちんと分け、複雑な作業が発生しないようにしましょう。タスクをシンプルにすることで、対象者選定や時間の調整もしやすくなります。
ターゲットが漏れてることもありますのできちんと確認しましょう。

今回は例としてアパレルサイト「hogema」のテストの設定でシナリオを作ってみます。

知りたいこと:ユーザーが検索窓の活用方法
ターゲット:「hogema」サイトの利用経験ありのユーザー

主たる目的タスクを決める

検索窓の活用をチェックしたいので、「商品を探してもらう」というタスクが良さそうです。言うまでもないですが検索窓を使ってみてくださいと言うような直接的な行動指示ではなく、それを手段として到達したい「目的タスクの指示」にしましょう。

目的タスク:商品を「hogema」で探す

タスクの「直前の動機」を洗いだす

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タスクを行う「ユーザー」の直前の動機はなんでしょうか。
そこを洗い出していきます。
今回はなぜ商品を探しているのかを抽出します。

商品を探す動機:
広告で良さそうな服があって気になった
SNSで気に入った服を見かけた
フォローしているインスタの投稿を見て良いと思った
DMでポイント有効期限が通知されたので、何か買いたいと思った
新しい服がほしくなった

行動の前には、様々な状態があります。
事前にアンケートなどで調査をしていれば、それの中から選んでも良いですし、アンケートがない場合は、チームで案出しをしても良いでしょう。

動機ごとに「状態」や「条件」をまとめる

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次は動機ごとに、テストタスクと関わるユーザーの状態や条件を追記していきます。状態や条件はタスクによって異なりますが、下記はマストで入れておきましょう。

・ 直前の場所:どこから来たか
・ 事前情報:行動前に知っている情報

実際に入れ込んでみましょう。

SNSで気に入った服を見かけた
-> 直前の場所:twitter  /   事前情報:画像
フォローしているインスタの投稿を見て良いと思った
-> 直前の場所:Instagram  /   事前情報:ブランド or 商品名、画像
保有ポイントを期限が切れる前に使いたい
-> 直前の場所:メール  /   事前情報:保有ポイント数

前提条件は、よく使われている条件の上位で選ぶか、事前情報のバリエーションで選ぶと良いと思います。
今回は検索なので、検索の仕方が異なるようなシナリを選ぶと、違いがよりわかりやすくなります。例えば、服の画像イメージだけあるところから検索するのと、ブランド名や商品名が分かっているのとでは検索方法はまるで異なりますよね。
このように検索方法1つとっても、行動前の場所や事前情報によってメインタスクに大きな影響を与えることが想像できると思います。

シナリオをつくる

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先ほどまとめた前提条件にストーリーをのせてシナリオを作ります。
直前の場所などが具体的に記載されている方が、被験者はイメージがしやすいです。

シナリオ1
twitterで流れてきたhogemaで購入したというこちらの服が気になりました。以前服を購入したことがある「hogema」にあるかどうか探してください。
-> ツイート画面を見せる
シナリオ2
フォローしているブランドAのインスタでこちらの服が気に入りました。「hogema」にあるかどうか探してください。
-> Instagram投稿画面を見せる
シナリオ3
hogemaから保有している3000ポイントが切れてしまうと言うメールが来ました。もったいないので、何か買いたいと思います。「hogema」で探してください。
-> メール画面を見せる

事前情報の条件のもとに、上記のようなシナリオができました!

シナリオを支えるセットを用意

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与える情報がなんの媒体を通じて得られたかも重要です。必要に応じてスマホ実機や印刷された紙などそれぞれの媒体をテスト用に準備しましょう。
ここが欠けていると、ユーザーが通常と異なる動きをしてしまう可能性もあります。手を抜かずに用意しましょう。

以上、シナリオの作り方でした!
もしテスト時の参考になれば幸いです。

  - おまけ -  シナリオごとにターゲットを変えるべきか
個人的には全てのシナリオは全被験者にやってもらい、ただしその順番を変更すると良いと思っています。複数シナリオをこなすことで、タスク処理に差が出る場合もありますが、同じ人物の目線でそろったテスト結果も得られるし、学習度を判定することもできます。
時間にもよりますが可能であれば、被験者ごとに順番を変えてすべてのシナリオを行ってもらうと良いと思います。
そうすれば1回目の検索で要領がつかめるかどうか、どの検索からすれば感覚がつかみやすいかなどがわかります。(ヒントの表示にも役立ちます)


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